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イノチミジカシコイセヨオトメ

「私たちのハァハァ」という映画がある。田舎に住む、女子高生4人が主人公の物語だ。大好きなバンドのライブを目指して、北九州から東京へ、自転車で向かうというストーリーなのだが、これが、なかなかイタい。

ひとりではできないようなことが、4人ならできる。しかし、それぞれが違いを受け入れられずぶつかったり、好きなものへの愛が高まるが故に、世間的なモラルから外れてしまう。少し大袈裟ではあるけど、女子高生同士の関係や感情が生々しく描かれている。

かくいう私も、高校生の時、大好きなバンドがいた。
Mr.Childrenというバンドを、知っているだろうか。

継続して現在もファンクラブ会員であり、新譜が出れば買い、ライブがあれば行くのが、当時の沼り具合と言ったら、愛していた、と言っても過言ではなかった。当然、当時の携帯のロックパスワードは、メンバーの誕生日にしていた。そこまでにしておけばよかったのである。

私はさまざまな会員登録に、メンバーの誕生日を登録したのだ。彼らの誕生日に、各サイトからお祝いのメルマガが届くのが、なんか嬉しかった、という単純な理由だった。

しかし、あれから10年以上の月日が経ち、この事がとんでもない状況を招いたのである。
そのアカウントで作られた楽天カードを、正しい誕生日で登録された楽天口座に紐付けようとした結果、なんやかんやでポイント機能が失効してしまったのだ。しかもそれを今更なおそうとするのには、かなり面倒な手続を踏まないといけないのである。

私はそれから何度も、楽天ポイントが貯まるガソリンスタンドなどで、悔しい思いをすることになった。そこで貯まるポイントなど、1回の給油で数十円分の事なのだが、なんだか異常な悔しさがある。
ガソリンを満タンにしたあと1円/1Lでも安いスタンドを見つけてしまった時のやるせなさや、特に急いでいるわけでもないのに、混んでいるレジに並んでしまった時に感じる敗北感と同じようなものである。

なによりも、「自分の誕生日を間違えて登録した馬鹿な奴と思われるかも」というリスクを背負った上で、楽天カードサービスセンターの窓口の女性に、誕生日を間違えて登録したことを必死に伝えたのに、状況は何ひとつ変わらなかったのだ。ただ馬鹿な奴と思われただけである。ちがう。そうではないのだ。誤解しないでくれ。しかし、そうなのである。

ああ、私は毎度毎度、楽天ポイントカードを求められるたびに、過去の失敗に塩を塗られる気分なのだ。まさにイタい過ちである。

しかし、それほどまでに何かを愛したという事も同時に、思い知らされるのである。


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