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ゆっくり移動しています。メモ帳。主に閲覧用。 noteはBSK(僕の方が先に考えた話)の証明として使っているので、新規投稿は推敲前の完全版ではありません。乱文等ご了承ください。 移動先▶https://sanzu.cloudfree.jp/

マガジン

  • Original Sin①[第1話から第16話]現在連載中

    「大人になったら『普通』になりたい」 ▶マガジン②[第17話以降]🍎*⋆https://note.com/3z_s/m/mdb76130a69bf

  • ラストモーメント

    「私の話をしたいの」 「それから私達の話をしよう」

  • Original Sin③[第33話から]現在連載中

    「おうちに帰るまでは『りんね』です」 マガジン①https://note.com/3z_s/m/mcc32d71a0849🦀⋆*マガジン②https://note.com/3z_s/m/mdb76130a69bf🌖˖ ࣪⊹

  • ■(雑)学解説集【Original Sin🍎サブタイトル】

    雑学集です。小説【Original Sin】のサブタイトルに使った言葉を私なりに解説しております🦀

  • Original Sin②[第17話から第32話]現在連載中

    「おうちに帰るまでは『りんね』です」 ▶マガジン➂https://note.com/3z_s/m/mb2317ffdfdd9🌔⋆*▶マガジン①https://note.com/3z_s/m/mcc32d71a0849🦀⋆*

最近の記事

第47話.ブルーマンデーキッズ【Original Sin】

「修治がこれから乗る飛行機。……落ちないと良いな?」 「縁起でもない事、云わないでください。他の人も乗るんですから」 「いや、敢えて云わせて。もう誰か亡くすの嫌なんだよ」  バッグを置いたまま、梶は立ち上がる。その間も目の前の飛行場は忙しない。 「修治が見繕ってくれた資料、3分の2程、目を通した」 「朝迄、事務所に居たんですか」 「一旦、家に帰ったよ。昔、勉強してた頃の手帳を取りに戻って」  瞬きもせず、話し続ける梶。黙って横顔を眺めている國村。 「思い出してた。気が合う友人

    • 第46話.404 outside range【Original Sin】

       不揃いに並んだ歩道との仕切り石。両開きの木製の扉の前に一匹の白い猫。被っていたフードを外し、石を跨いで、コンクリートの上にしゃがむ鏡花。 「最近、変なんだ、私。昨日も仕事、休んじゃったの。本当は私が居なくても、真屋先生の治療院、困らないと思う」  鏡花が撫でても温和しくしている猫。 「此処何処だろう? お寺?」  立ち上がって、古い扉に触れようとした手を伸ばした途端、仰向けに転る猫が鏡花の脚にぶつかる。体制を斜めに崩した鏡花の周りに突然、現れるスチールのドア枠。思わず、銀色

      • 第45話.ニュートンのキャットドア【Original Sin】

        降車ボタンを押す怜莉。手元のケータイを閉じて、暫くするとバスが停まる。降りた先には洋菓子店の駐車場。そして、千景が自分の車に寄りかかっている。 「ごめん。急用だった?」  声を掛ける怜莉。 「千景、此処、従業員用じゃないの?」 「明日のハロウィンのお菓子、追加注文に来て、店長の出勤待ち」  未だ開いていない店の入り口を見る二人。白と青がアンバランスに配置された店の壁にアンティーク調のガラスドア。 「ごめん。昨日、電話貰ったの、さっき思い出した」 「変だよね?」 「何が?」 リ

        • 第44話.ビオ・サバールの法則【Original Sin】

           怜莉は手を伸ばし、コンロのつまみを回す。 「……名前」  云うと其の場に座り込もうとする鏡花を右腕で抱え込む怜莉。それから左腕も添える。 「怜莉さん。私は……りんねだよ」  顔を覆い、泣いている鏡花が答える。下がる掌に落ちるフリースの袖。 「……うん」  怜莉は背にあるうさ耳のフードを静かに被せる。前に垂れる白く長い耳が鏡花の顔を隠す。 「りんね。落ち着いて。大丈夫。ずっと一緒にいるから」  兎の片方の耳に触れた後。いつもよりも僅かに背の低い『りんね』を、怜莉は強く抱き締め

        第47話.ブルーマンデーキッズ【Original Sin】

        マガジン

        • Original Sin①[第1話から第16話]現在連載中
          5本
        • ラストモーメント
          0本
        • Original Sin③[第33話から]現在連載中
          11本
        • ■(雑)学解説集【Original Sin🍎サブタイトル】
          5本
        • Original Sin②[第17話から第32話]現在連載中
          16本

        記事

          第43話.シミュレーション仮説【Original Sin】

           警察署内の廊下を歩く梶と刑事の小松。 「朝から訪ねてきて、一体何なんですか?」 「警察って24時間いつでも来て良いんじゃないの?」 「大体、何ですか? あの時の部屋って」  立ち止まる梶を振り返る小松。 「小松が協力的なのは分かるよ? 結果的に怜莉を傷付けたの気にしてるんだろ? 他はどうよ?」 「他? 民間人に協力してもらえる範囲なんて限られています」 「そうじゃなくてさ。同じ場所に同じ人が居て、毎回決まった話を繰り返している。何処に行っても基本は変わらない。でも時折、重要

          第43話.シミュレーション仮説【Original Sin】

          第42話.亀がアキレスに言ったこと【Original Sin】

          「怜莉さん。今日は2007年10月29日で合ってる……?」 2001年10月。 仕事中のまりかは積み重ねた段ボールを抱え、店の裏口から出る。従業員用の自転車が複数並べてある方向。誰かに名前を呼ばれ、顔を上げる。 「……梶さん」 「どうして、あたしの事、思い出したの?」  店の裏の低いブロック塀に軽く寄りかかる梶。天壇青の様な色のスーツを着ている。まりかもまたカナリア色のエプロン姿で、塀に寄りかかる。それからスーツの内ポケットからソフトパックの煙草を取り出す梶。 「忘れてい

          第42話.亀がアキレスに言ったこと【Original Sin】

          第41話.Image of God【Original Sin】

           それから千景は運転席側のドアを開ける。ケータイを耳に当て、呼び出し音を聴くものの応答は無い。  遠くから響く音で目を覚ます、りんね。突き当りには白い壁。身体を起こし、逆さまになったウーパールーパーのぬいぐるみを抱き締める。シルクのパジャマを着たりんねはぬいぐるみを抱いたまま、寝室と居間の間の小部屋から、複数の音がするキッチンを覗く。 正面を向き直すと見慣れたローソファの背凭れ。黒いテーブルの上でケータイが振動している。 「過去の報告によれば、多くはイブが泣いている処にア

          第41話.Image of God【Original Sin】

          更新ペースを落とした訳は。【お知らせ】

          家庭の事情です。 こちらでの【Original Sin】更新は続けますが、 気持としては、 初期から書き上げたものの記録の意味合いが大きく、 後程、少しずつ手直しをする前提での掲載です。 しかし他にも思う事があって、個人サイトを作ったので、そちらにゆっくり引越し中です。 今後のメインは個人サイトになります。 私事になりますが、以上、報告でした。 ❥・・ ┈┈┈┈┈┈┈ ・・🦀 追伸 年内に【Original Sin 第41話】をupします。 いつもありがとうございま

          更新ペースを落とした訳は。【お知らせ】

          第40話.ロッシュ限界【Original Sin】

             水を含む緩い土に桜海の草履が沈む。千景は玄関ポーチから庭全体に広がる薄い水溜りに目を移す。 「まりかちゃんの事、覚えているの?」 「それなりには」  梶は桜海にそう返すと、また玄関前のコンクリートにしゃがみ込み、大きな溜息を吐く。 「千景はどうする? 此処で話を訊き続けたら、いよいよ巻き込まれると思うけど?」 「乗り掛かった舟状態だと」 「沈んでいる船なのに?」  動かない千景と、其の場に影を作る梶。 「二人とも何の話しているの?」  桜海が様子を交互に窺いながら、声

          第40話.ロッシュ限界【Original Sin】

          第39話.天空のティーポット【Original Sin】

             和室の床の間に押し込まれて置かれた本棚と、床脇の地袋上の本立てに資料集を戻し終える千景。松田が部屋を出た後、梶と國村の前に積まれて、時折、手に取られる資料以外を綺麗に片付ける。 「平安時代から生きている人間の倫理観とか、道徳とか、善悪正邪ってどうなっているんでしょうね?」  足を崩して座っている二人の前に腰を下ろす千景。 「生まれ変わっているかもしれないなら父親と母親が必要ですし、少なくとも産まれる時には母親がいますね? 記憶を引き継げるとしても……あ。凄いスピードで成

          第39話.天空のティーポット【Original Sin】

          第38話.バックルームのプロバカートル【Original Sin】

             車の助手席に乗り込む八足(やたり)。後部座席には、ふわふわとした金髪ボブカット、紺色の制服を着た少女が座っている。傍らにはラベンダー色のランドセル。 「落ち込んでる?」「別に」「連絡先、教えたんでしょ? 来たくなったら来ると思うよ」  八足がシートベルトを締めたのを確認して、車を出す千景。 「莉恋(りこ)が熱出して、学校に迎えに行ってたんだよね。八足くんを塾で降ろしたら、今日は仕事早退するから」 「夏目先生」  車列の流れを見て、国道に入るタイミングを窺う千景。 「橘さ

          第38話.バックルームのプロバカートル【Original Sin】

          第37話.嘘つきのパラドックス【Original Sin】

           駅前のバス停のべンチ。白いスタンドカラーのブラウスと黒いジャンバースカート。黒いキャップを深く被った鏡花が灰色の横髪を俯くままに風に浮かせて、座っている。やがて、隣に通学バッグとクラフト紙の袋が置かれ、学ラン姿の八足(やたり)もべンチに座る。 「あんた、一時間半も待ってたの? 塾の説明はしたろ? 先に行っとけって」  硬い制服の袖を上げて、チープカシオの針を確認する八足は気まずそうに「……メールしろよ。何で黙って待ってんだよ」と独り言の様に呟く。 「……八足くんが此処の駅で

          第37話.嘘つきのパラドックス【Original Sin】

          第36話.燻製ニシンの虚偽【Original Sin】

          「……こういうのって、お金が入っているんじゃないの?」  地面に落ちた香典袋をしゃがんで拾い集める八足(やたり)の背を、定まらない視界の中、見つめている鏡花。渡したら即座に立ち去るつもりだった八足は、黒と白の水引を直視して、溜息を吐く。 「……葬式で渡すものじゃん」  受け取りを拒まれた袋を集め終えて立ち上がる八足。鏡花は動きにつられて上を向いて、しかし顔を強張らせ、動けない。 「昔からなんだよ。知らない人に声掛けられたり、頼まれたり」  あからさまに嫌な顔をして、押し付けら

          第36話.燻製ニシンの虚偽【Original Sin】

          【雑学解説集⑤】【Original Sin🍎サブタイトル】

          全ての専門に精通している訳ではないので、説明としては、とても簡易(雑なもの)になってしまいますので、より詳しく知りたい方は此の機会に是非、他の方のnoteや他のサイトの検索もおすすめします🐰 では簡単に説明していきます🦀 第21話.ハーディング現象  "herding phenomenon"の"herd"は【群れ】と訳する事が出来ます。  多数派(集団)に同調する事により、『安心感を得られる』『孤立を避けられる』『考える行為から解放される(楽)』とのメリット故に、無意

          【雑学解説集⑤】【Original Sin🍎サブタイトル】

          第35話.シダー・アップル・ラスト【Original Sin】

           目の前に置かれた花梨のコンポートの入った器と和珈琲の淹れられたカップ。冊子を開く怜莉。表紙には【KAREN】【11月号】と赤い字で書かれている。 「水野花さんは、創刊時からのメンバー兼ライターです」  顔を上げる怜莉。 「元はシダーウッドというNPO法人内の会報。フリーペーパーとして、近隣の医療機関、公共施設に置かれる様になったのが……5年前?」  考えながら話す律。黙ったまま此方を見る怜莉に気が付き、畳に目を逸らす。「コンセプトは『不幸を癒しに変える』というものですが、

          第35話.シダー・アップル・ラスト【Original Sin】

          櫂を使えど #詩 (15篇)

          櫂を使えど 櫂を使えど 辿り着けないのは 此の湖を広いと見ていないから 舟の中での話をしても 役には立たず 個と個のやりとりを 眺めても 此の湖を広いとわからないまま 櫂の漕ぎ方を説かれても 解は決して其処にはなくて ═════════════════ 浅く。 弱っていて、長く。 数えても、短く。 臥せていて、深く。 夢を見る。浅く。 ═════════════════ 星の墜落地 道の終わりを考えるとき 観察者は 自分の言葉の欠如を自覚している

          櫂を使えど #詩 (15篇)