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遠い場所の声が聞こえてくること----「武田砂鉄」 富山の講演。

 ラジオの聞き方が偏っている気がするけれど、金曜日の夜のラジオを、土曜日の夜にYouTubeで聞くのは、今のところ習慣になっている。

 そこで、パーソナリティの武田砂鉄氏が、トークショーではなく、講演会を行うのを知り、だけど、富山という地名を聞いて諦め、その後にオンラインでも可能といった言葉を聞いて、だけど、30名といった数字が出てきて、もう一度、やめようと思ったけれど、せっかくだから、と申し込むことにした。

 自分としては、焦る気持ちもあったのだけど、珍しくテキパキとした作業をして、申し込みを受け付けましたメールをもらい、だけど、これは自動応答のはずだから、と勝手に不安を持っていたら、さらに、当日用のURLも送られてきて、ちょっと安心をした。

 県外の人間にまで、こうして視聴の機会を与えてくれるのは、素直にありがたい気持ちになった。

講演

 日曜日の午後1時30分開始なので、妻にお願いをして、少し昼ごはんを早くしてもらい、食器も洗って、始まりに備えた。その頃に、昼に少し休んでいた妻も起きてきて、一緒に見ることができた。

 画面には、YouTubeの映像で見ていた武田砂鉄氏が、この前見ていた、出版社に作ってもらったという自分の名前を、武田氏が愛好と支持を公言しているヘヴィメタルバンド風のロゴにしたというTシャツを着ていた。

 それも、半袖一枚で話を始めたのだけど、富山県は、たとえば、私たちが視聴している東京都内と比べても、寒いはずなのに、と思っていたが、この映っている部屋が暖かいのではないか、というような話を妻とした。

 武田氏がアップになる前は、会場の全体が後方から映っていたのだけど、それは、いかにも公的な施設の会議室の感じで、さらに推測だけで語るのは申し訳ないのだけど、参加者の平均年齢が高そうなのは、私自身も、公的な講演会などに出かけて、自分自身も含めて感じていたことだったけれど、どうやら、予定は30名程度、という文字だったのに、実際は90人が集まったらしい。

 90人は、多いと思うのは、個人的には70人くらいを前に、介護について話をさせてもらった時があって、30人くらいと違って、急に人の圧力が増した記憶があったからだけど、そんな自分の経験と比べるのもおこがましいくらい、今は武田砂鉄氏は集客力があるのが、改めてわかった気がした。

客観性

 半袖のTシャツのまま、ラジオの時と同様に、落ち着いた声と語り口で、だけど、途中で「眠くなる声だと思いますので、寝ても大丈夫です」といった笑いも忘れずに、1時間を話し切った。

 スライドなどに頼らず、多少の原稿の準備はあったのかもしれないけれど、前を向いて、淀みなく、聞き手も飽きさせることなく、話をしていた。

 一緒に見ていた妻が、最後まで見通したのが、意外だったのだけど、「ずっと客観性を持って話をしてくれたので、なんというか、こちらも考えられるすき間があるような感じがして、よかった」といった感想を教えてくれた。

 今の書き手は、こうして話をして、人が聞いてくれるような能力がないと、やっていけないとしたら、すごいハードルも高いけれど、同時に、改めて能力が高い人なのだと思った。


 そして、話の中で、気がついたのが、2000年前後に、いくつかの凶悪事件があって、その時の加害者が、同世代であったことで「キレる17歳」などと言われていたが、武田砂鉄氏は、ちょうどその世代だった、ということだった。

 あの時、あんなふうにひとくくりに言われていた世代はどう思っていたのか気になっていて、その経験も武田氏の視点の形成に影響を与えていたのかもしれない、と思わせた。

遠いところからの声

 都内にいて、こたつに入って、富山県で話されている声を聞く。
 それも音声だけではなく、手元のコンピュータで、映像まで見られる。

 直線距離で、約250キロはあって、当たり前だけど、電波などが飛んできて、そして、最近、うちでは光回線にして、Wi-Fiにもかえたので、室内でさえ、線でつながっていない。

 コロナ禍になって、こうしてズームのようなアプリを使うことが多くなって、だから、今はライブで行われているイベントの多くも、同時に配信もあるので、今も、コロナ感染に気をつけながら暮らしている私のような人間にとっても、そういう意味では有難い。


 それでも、あの空の向こうの遠いところからの声が聞こえてくる、と思うと、とても昔の人ではないにしても、やっぱり不思議だった。

 講演の映像は、話も終わり、質問に応える時間のあと、武田氏が最近、希望者には配っているというウサギのバッジは、30個ほど用意していたのが、予定よりも多い参加者になったので、その希望者にはジャンケンで決める、という様子まで流れていた。

 そして、武田氏と「勝負」する形で行われた一斉ジャンケンで、どうやら一回で、ほぼ30名に決まったようだった。それも、珍しいことだと思った。





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