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初めて歩いた通りには、「居心地がいいカフェ」が出来ていた。

 珍しく、午前中に人と会う約束をした。

 そして、どこで会うかを考えた時に、比較的、どちらかでも行きやすい場所がいいと思い、一度は行くつもりだったハンバーガー屋も考えた。

ハンバーガー

 テレビ番組の影響もあって、一時期は、グルメバーガーと言われるハンバーガーを食べたい時があった。

 それで、出かけるついでに寄れる場所に何ヶ所か行き、本当に美味しいと思う店もあったし、また行きたいと思える場所もあった。

 その中で、比較的、地元に近い場所に出来たハンバーガー屋に行って、そこは、駅から、そんなに遠くないのに、行ったことがない通りで、こんな場所にハンバーガー屋が出来た、という新鮮な気持ちになったし、ゆったりも出来たし、おいしくも食べられた。

 それは「カクメイバーガー」という名前だったけれど、その店を出て、少し経ったら、後ろから声が聞こえて、それは、私が忘れたメガネを持ってきてくれたハンバーガー屋のスタッフの人だった。

 とてもありがたかった。

 その御礼をお店のメールに送ったら、丁寧な返事まで来た。

 コロナ禍も収束しないせいもあり、なかなか外出もできなったのだけど、そうした出来事もあったので、何かの時には、また行きたいと思っていて、この前、人と会うときに、行こうと思っていたのだけど、こちらの都合で出かけられなくなった。

 申し訳なくて、残念だった。

カフェ

 だから、次の機会があった時に、そのハンバーガー屋に行こうと思っていたのだけど、先方の都合で、午後12時近くには解散の予定だったので、開店時刻が午前11時で、ちょっとあわてる感じになるから、あきらめて、この姉妹店のカフェがあって、そこは午前10時に開店なのを知り、そこで待ち合わせることにした。

 今も外出を控える生活は続いているので、こうして、初めて行く場所は、楽しみだった。だけど、地図を見ても、その近辺の感じのイメージができなかったのは、駅から10分足らずのはずだけど、その辺りを歩く機会がなくて、行ったことがないせいだと気がついた。

初めての通り

 午前10時前の電車は思ったよりも混んでいた。

 平日は、やっぱり人が多いのだろうと思った。

 これまで、30年にわたって、どれだけ利用したか分からない駅で、駅構内の公衆電話がなくなったり、という変化は知っていたのだけど、駅前のドン・キホーテは変わらずにあるものの、その脇の道路にある飲食店は、様変わりしていた。

 焼きスパゲッティの店、ミートソース専門店、行列のできるラーメン屋と、そのそばのそれほど混んでいないラーメン店。この通りの名前は、大学の名前を冠しているのだから、ボリュームがある食事を提供する店が多いのだろうけど、久しぶりに来たら、その店の顔ぶれがかなり変わっているように思った。

 その通りを歩いていくと、以前からあった専門学校が、大学も併設するようになって、さらに大規模になり、新しい大きな建物が並び、それだけで印象が全く変わっていた。

 きれいな通りになっている。

 その近辺までは行って、確かラーメン屋に寄った記憶もあるのだけど、そこから先は記憶になかった。

 地図を見ると、目指すカフェは、その先だった。

 雨のなか、妻と二人で歩いて、すぐに見つかった。

 だけど、まだ午前10時までは10分くらいあった。妻に聞いてもらったら、やっぱりまだお店には入れないみたいだった。

ソファー

 そこは商店街でもあるみたいで、ほぼ直線の道路が長く続いて、どこまでつながっているのだろうという気持ちにもなるけれど、妻の提案で少し商店街を歩いた。卓球の専門店などもあったけれど、整体以外は、閉まっていたので、わりとすぐにUターンをして、再び、カフェの前に来た。

 スタッフが顔を出して、「5分前ですが、よかったら、中へどうぞ」と言われ、まだ誰もいないカフェに入る。広くてきれいで、心地よくオシャレさもある。

 どこに座っても、と言われ、奥のソファーでも、とすすめてもらって、店の奥のソファー席に妻と二人で座って、待ち合わせのもう一人の人を待つ。

 ほどなく、その人はあらわれ、3人で、注文をした。

 私は、メニューの中の「究極のエルヴィスサンド」が気になって、頼んだ。それは、しっかりと甘さもあったけれど、新鮮で美味しかった。

 気がついたら、いろいろなお客さんが入店し、店を出て行った。90分ごとにオーダーをして欲しい、という言葉もあったので、途中で、コーヒーのおかわりなどを頼んで、11時40分頃には、解散した。

 ずっと気持ちいい時間だった。

 また行きたいカフェになった。

事故

 ホームページで、巻き込まれ事故で、そのカフェが損傷したことがあり、その修復のために、クラウドファンディングも行っていた場所だというのも知った。

「カクメイバーガー」のサイトでも感じていたのだけど、この「巻き込まれ事故」を伝える難しいことを、的確にできるほど、文章で伝える技術も高く、なんだか感心もして、そういえば、カフェのスタッフの方々も、自然に感じが良かったし、開店時刻前に店に入れてもくれたし、お客との距離感も、適度に保っていたことも、思い出した。

 伝える力と、店を運営していく力は、関係あるのだろうか。



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