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テレビについて㉖「伊藤家の食卓」を見てみたかった……「オズワルド」伊藤俊介と、俳優・伊藤沙莉のいた言語環境。

 言葉を扱い、言葉を考えるテレビ番組を見ていた。

 実は、これ自体が再放送だと後で気がつくのだけど、その出演者の中で、伊藤沙莉は俳優ということもあるのか、言葉を自分のものとして使いながら、それが独特に思えて、かなり説得力があった。特に、自分の思いの表現が、とても新鮮だった。

言葉を使う力

 この番組の「第二夜」のテーマは「恋に落ちた瞬間」だった。

 伊藤沙莉は出演者の最初の発言として、「持ってかれた」と言い、それに関して、『ハート泥棒』という表現を他の出演者がするのを受けて、「よくあるじゃないですか、盗むぜ、みたいなとか、でも、クサいな、と思いつつも、ほんとにそうで、マジで、返してほしくて、追っかけちゃうんですよ」と続ける。

 視聴者として、「持ってかれた」瞬間だった。
 言葉を、自分のものとして使う力が、とても優れているのだと思った。

言葉のチューニング

 「M-1」は、時間があれば、どうしても見てしまい、そして、2021年は、「錦鯉」が優勝して、見ている側も、祝福する気持ちになったし、このドキュメンタリーを見て、他の出場者たちも、比較的素直に拍手しているように見えたが、おそらく、最も悔しかったのが「オズワルド」だと思う(このような推測をするのも失礼だけど)。

 個人的には、「オズワルド」が、今年は優勝すると思っていたし、その言葉の使い方は、新鮮で、新しく、その上で、面白かった。

 そして、このドキュメンタリーで、「オズワルド」が、ファミレスのような場所で「ネタ合わせ」をしているシーンがあった。二人とも目を合わさずに、微妙に同じ方向を向いて、小さめの声で、早口で話し合っている。

 それは、言葉の使い方について、普通は気にしないようなレベルの、とても小さな違いについて、二人で最後まで妥協せずに確かめ合っている姿に見えた。

 それは、ほんの少しでも面白くするための作業なのだろうけど、まるで高速のスピードで走っているクルマ同士にも見えたから、そこに他の誰かが参加するのは危険に思えたし、神経の使い方を想像すると怖さも感じたが、言葉のチューニング限界以上まで出来る相手が、お互いにいることは、うらやましくも思った。

 これだけの言葉の使い方ができる、「オズワルド」の伊藤俊介は、俳優・伊藤沙莉の兄でもある。

「伊藤家の食卓」

 この伊藤のプロフィールによると、母子家庭で、父親がかなりの人のようだから、何も知らない人間が、何かを言うこともできないと思う。

 だけど、この兄と妹を見ていると、それぞれ、その仕事の一流のプロだから当然なのかもしれないけれど、これだけの「言葉の使い手」でもある二人が、同じ家庭に育ったのだから、その家の「言葉の環境」は、かなり恵まれていたのではないか、と想像してしまう。

 そして、勝手な推測は失礼かもしれないけれど、「伊藤家の食卓」で、どんな会話が交わされていたのかは、見てみたい気持ちには、やはりなってしまう。




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