見出し画像

バラが咲いた

 携帯もスマホも持っていないので、うちには固定電話がある。時々、いわゆる営業の電話がかかってくるので、電話を出るときに名乗らないこともある。

 その日も午前中に電話が鳴って、この前も九州の水、みたいな内容だったから、今回もそんなようなことではと思ってとったら、庭に花が咲いて、といったことを言われ、微妙に身構えてしまったが、どうやら妻への電話だった。

 それは、ご近所の方で、季節によって庭に見事がバラが咲くお宅で、妻がその頃になると訪れて見させてもらっている人だった。

 今年は、満開になったことを、わざわざ知らせてくれたのだった。

 ありがたい。

バラ

 妻が電話に出て、しばらく話をしていた。

 弾んだ会話、というものだった。

 そして妻は出かけて、少し経ってから帰ってきた。もっとゆっくりしていていいのに、という話もしたが十分に堪能できた、ということだった。

 バラももらってきていた。

 一輪は和室に、もう一輪は台所に飾られた。

 いつもは庭の草花を中心に妻がつんでくれていて、それも季節も感じられるし、思った以上にいろいろな花が咲いていて、かわいいのだけどバラはやはり異質な感じだった。

 花びらが重なり、花も大きく、ゴージャスだった。

 こんなに華やかな花だったことを改めて知る。

 とても浅い知識だけど、確かバラはすごく多くの改良品種があって、もしかしたら花の中で最も種類が多い花になっているのかもしれない。それに、赤いバラにも、もちろん花言葉があるのだけど、確かその本数によって意味が違ってくるはずだ。

 やっぱり特別な存在なのだと思う。


関係

 そこまでの出来事の流れはとてもスムーズで自然だったのだけど、ちょっと考えたら、やや珍しいことではないかとも思えてくる。

 ご近所とはいっても、少し歩くし、買い物などに出かけるときの途中のお宅でもないので、意識して出かけないと辿り着けない場所だった。だから、最初は、もちろん妻にとってもバラがきれいな庭の家、ということだけだったはずだが、いつの間にか言葉を交わすようになり、秋になるとうちの庭の柿を持っていったり、と交流をするようになっている。

 だから、今回も「バラが咲いた」という電話をいただいたのだけど、そういう関係は、昔だったらご近所付き合い、というのだと思うけれど、なんだかこちらまでちょっとうれしくなるような、ありがたい関係だとも思った。

 花びんにさしてあるけれど、おかげで、うちでもバラが咲いている。


 


(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。






#今月の振り返り #この街がすき #バラ #バラが咲いた #ご近所 #電話
#庭 #報告 #花びん #花言葉 #ゴージャス #毎日投稿 #花



この記事が参加している募集

この街がすき

今月の振り返り

記事を読んでいただき、ありがとうございました。もし、面白かったり、役に立ったのであれば、サポートをお願いできたら、有り難く思います。より良い文章を書こうとする試みを、続けるための力になります。