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カラスノエンドウ  不思議な黒 つづき

 先日、カラスノエンドウのことを書いた。

 そんなことをしていたせいか、妻が河川敷に行ったときに、カラスノエンドウ を見つけて、持ってきてくれた。

それは、真っ黒になっていて、中にまだタネがあるらしく膨らんでいるさやと、緑のままのさやと、黒くなりかかっているさやが、混在しているものだった。もちろん、これがすべてではないはずなのは、分かっているけれど、緑のさやが、先端部分から急に、不思議な深い黒になって、それが、元に向かって進んでいくのが、カラスノエンドウ のようだった。

 茶色っぽい色から濃くなっていく、という過程を通るのではなく、緑の中に突然、黒が生まれて、広がっていく。それは、カラスノエンドウ にとって必要なことだろうし、ここまで生き残ってきたのだから、必然なのだろうと思う。でも、体の一部が急に真っ黒になって、それがどんどん広がっていって、全部が真っ黒になっていくのは、その深い黒はかっこいいと思っても、ちょっとびっくりするというか、熟すというよりは、こうしたことを全く知らない(ちょっと前の私みたいな)人が見たら、あ、もうこの植物はダメになったのではないか、と思ってもおかしくないように感じた。植物の病気のように見えても、おかしくない。

 もちろん、これは前回に引き続き、植物に詳しい方から考えたら、失笑ものなのだろうけど、その黒くなっていく途中経過を、少しでも見ることで、さらに不思議な印象は強くなった。どうして、こんな風に不思議な黒に、急になっていくのだろう。

 最近、妻のお姉さんから、妻が貸してもらった本があって(ありがたいです)、それは、表紙もかっこよくて、妻はとても嬉しそうに読んでいたのだけど、カラスノエンドウ の黒さが不思議だ、と私が言っていたのも、覚えていてくれて、そこに色のことがあると教えてくれた。

『大空を自由に飛び回る鳥に託して種子を運ぶ。この方法を選んだ植物は多い。(中略)果実は逃げ隠れしないどころではない。若い緑果は緑の葉蔭に隠れているが、熟すと赤や黒に色づき、鳥に「おいで」と合図を送る』。

 カラスノエンドウ のさやが真っ黒になるのは、こういうことに関係あるのかもしれない。などと思っていたら、その20ページあとに、「カラスノエンドウ 」「自力で種子を弾き飛ばす」植物として写真が載っていた。

『果皮が乾燥すると収縮する動きで種子を飛ばすというもの。弾けて飛び散った種子は、迷彩色をまとっているものが多い。池上を歩き回って餌を探すキジやハトなどの鳥や小動物に見つかりにくいのかもしれない』。

 それで、カラスノエンドウ の種の色は、茶色っぽいと分かったのだけど、ほんの少し前に、「カラスノエンドウ が黒くなるのは、鳥に見つけてもらうためかも」と思った仮説は、すぐに否定されてしまったみたいな気持ちになった。自分の思考が浅くて、なかなか届かないままだった。


 それで思い出したのは、今年、急にカラスノエンドウ が気になったのは、アマリリスの赤い花のそばにあって、赤と黒とコントラストが目をひいたからだった。「種子のデザイン」の中でも、「果実の色で鳥を呼ぶ」といった表現があったが、そのページには、赤い木の実をついばむ鳥の写真があり、黒が出てくるのは、赤との組み合わせの果実だった。


 話はずれるが、黒だけでなく、赤と対比されることで、その意味合いは、より強くなる印象がある。
 たしか、歌舞伎の世界では、赤と黒の色は「異世界」を表す約束事があると、どこかで読んだ記憶がある(違っていたら、すみません)。
 そういえば、昔の話になるが、日本のプロレス界は、ジャイアント馬場と、アントニオ猪木が支えていたといっていい時代があった。馬場のパンツは赤で、猪木は黒だった。
 ちょっと強引な対比だけど、サッカーのマンチェスターユナイテッドは「赤い悪魔」といわれ、ラグビーのニュージーランド代表は「オールブラックス」であり、どちらのチームも「世界一」と表現されることがある。

 カラスノエンドウ の不思議な黒だけでなく、鮮やかな赤といっしょであることで、より意味と印象が強くなるはずだ。
 そして、鮮やかな赤といえば、唐辛子だと思った。いつも当たり前に、食卓にあって、あの鮮やかな赤の凄さを忘れていた。

 カラスノエンドウ と唐辛子が、大量に、一面に生えている草原は、ちょっと見てみたいと思った。季節は違うかもしれないけれど、できたら、黒と赤のピークが揃った姿は、すごいのではないか、と本当に勝手な妄想だけど、そう思った。


 今回は、ここまでです。
 相変わらず、無知が突き進んでいるみたいになってしまいまして、詳しい方には申し訳ないとは思うのですが、いろいろと考えることができました。カラスノエンドウ について、また何か考えた時は、書きたいと思います。(これで終わりかもしれませんが、その時はすみません)。
 よろしくお願いします。



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「不思議な球体」  あいまいな記憶の育ち方

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