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テレビについて⑰『キョコロヒー』に一票

 深夜に、ダンステーマにしたバラエティーが始まるらしい。

 そんなことができるんだろうかと思って、少しだけ調べた時は「キョコロヒー」という番組名と出演者だけが分かった。

 ヒコロヒーは、最近、見たり聞いたり本で読んだりして「新しい芸人」だと思っていたのだけど、「日向坂」のメンバーで齊藤京子と言っても、オードリーが出るので、深夜の番組を見た時は、「アイドル」という印象が強かったし、深夜の2時台という深い時間帯なので、一応、録画して、面白かったら、その後も見る、という薄い期待から始まった。

(この本↓でも、ヒコロヒーが論じられています)。

「キョコロヒー」

 最近、テレビ界は「若い視聴者向けに」という方向へ進むことを決めたらしく、そういう気配があちこちに見えている。

 それに、微妙な違和感を持ちつつも、例えば、テレビ朝日の深夜枠に、多くのバラエティが始まり、情報弱者の私にまで、それまで知らなかった人たちが見られるというのは、ありがたかった。

 その「バラバラ大作戦」という枠の中で、全部の番組は見ていないけれど、「キョコロヒー」は、見続けるたびに、変な印象が強まっていった。

 アイドルと芸人。
 二人が並んで、そして、外見は正統派アイドルの齊藤京子が、低めの声で早口で、自分が話したいことだけ話をして、自分で笑っている姿は、面白かった。その変な感じを萎縮することなく出せる空気を作りつつ、番組のテンポを守っているように見えるヒコロヒーは、安定して見えて、その上で、面白い。

 こうして二人のトークが中心になると、馴れ合いのような空気が出てしまうのだけど、回を重ねても、無理に距離を縮めようとしていない感じも、心地よかった。

 出演者の間に立っているアクリルボードが、こんなにしっくりくる番組も少ないかもしれない。


 アイドルと、女芸人。
 この言葉で規定されている像から、二人とも、はみ出し(この表現自体が当てはまらないかもしれない)、自分独自の方法を確立していこうという共通点があるから、このキャスティングになったのかもしれない。

 そこで、ずっと微妙な違和感が残り続けている感じが、例えば、「その番組は、どこが面白いの?」と聞かれても、答えにくいような感じを作っているかもしれないし、古いスタイルに媚びない(これも古い表現かも)姿が、ずっと映っているから、見てしまうのかもしれない。

「教養番組」としての側面

 そういえば、齊藤京子は、アイドルとして、ダンスが日常のはずなのに、その凄さをまだ一度も、この番組で見た記憶はないものの、その一方で、VTRで出演する様々なジャンルのダンサーの方達が、いろいろな言葉を、ダンスで表現してもらったりする姿で、身体表現、というものの深みが、私のような、ダンスに無縁な視聴者にも届きつつある。

 さらに振付師、という、普段は、変わった格好をしてテレビで見かけてきた人たち(ラッキィ池田氏らの印象が強すぎるのかもしれない)だったけれど、その印象も確実に変わった。

 ここまで出演した振付師の中でも「TAKAHIRO」氏は、人の動きを解説してくれる際、気持ちが盛り上がると、立ち上がってしまい、画面から見えなくなるようなことをしていて、それも含めて面白さをプラスしていたのだけど、身体表現とは何か?も教えてくれた。

 こちらが視聴者として、どこまで理解しているかは自信がないが、例えば、芸人の原西孝幸(FUJIWARA)のギャグの動きが、どうして、印象に強いのか?ということを、「TAKAHIRO」氏が解説してくれたおかげで、人間の体の動きや、空間の使い方を見る解像度が、ほんの少しだけだけど、上がったと思う。

 そういう意味では、ダンスに関しては、「教養番組」だとも思う。

今後への期待

 齊藤京子は、少なくともこの番組では、かなり「そのまま」に近いのだと思う。(熱心なファンの方から見たら、浅い見方なのは承知しています)。それでも面白さが生まれる、ということは、ヒコロヒーという芸人がいてこそ、それが証明できたと思うのだけど、ダンスをテーマにしているのだから、アイドルしてのダンスについては、そのうち、きちんと語ってほしいと思う。

 さらには、ヒコロヒーという言語表現のプロが、ダンスが苦手であっても、それだからこそ見えるダンス、というものを、(実際にダンスを体験しつつ)今後提示してほしいと思う。

 あと、蛇足かもしれないが、ラジオやテレビで独特の言語感覚を見せている「アイドルダンス」の振付師の竹中夏海(先生)の出演を希望しています。

「トゲアリトゲナシトゲトゲ」と「あのちゃんねる」について

 6月には、このテレビ朝日の、深夜のバラエティ「バラバラ大作戦」で、どの番組を推しますか?という企画があった。「大選挙」という名称がついていた。

 うちでも、妻と相談をした。候補が、いくつかになった。
「トゲアリトゲナシトゲトゲ」と、「あのちゃんねる」「キョコロヒー」。

「トゲアリトゲナシトゲトゲ」に関しては、妻は未来を感じたと推したのだけど、私自身は、3人の芸人の力を生かしきれていないという意味でも、新しさを感じた「キョコロヒー」がいいのではないかと伝える。「あのちゃんねる」は、ロンドンブーツ田村淳をゲストに招いた時も、ナチュラルな凄さも感じて、だから、こういう時に、一票を入れなくてもいいのではないか、という気持ちになった。

 特に「トゲアリトゲナシトゲトゲ」に関しては、どういう番組が見たいのだろう、と勝手に考えたのだけど、せっかく3人の力のある芸人が出ているのだから、1対1で正面からトークする姿は見たいと思った。組み合わせは3通りになるから、3週に分けて、全部トークの時があってもいいのに、と勝手に提案させていただきます。

「キョコロヒー」に一票

 そんな過程があった後、テレ朝のサイトを開き、「キョコロヒー」に一票入れた。

 その「大選挙」のことを忘れかけた頃、「キョコロヒー」を見ていたら、この番組が、1位になったことを知った。

 通常の選挙も含めて、自分が1票を入れると、当選したりすることはまずないので、意外だったけれど、やはり、アイドルファンの力なのか、などと疑ってしまった。それでも、私たちのような「テレビ好きなだけの人間」も一票を入れているのだから、純粋な期待も集まっていたのだと、思いたい。

 この結果に対しての2人のコメントがあるのだけど、特に「ヒコロヒー」の言葉が、正直でいながら、とても人に届くと思えたので、その3分の2を引用します。特番だからといって、力み過ぎず、いつものような番組を、一票を入れた視聴者としても、期待しています。

 私は芸歴11年の中で諦めることがとても得意になってしまいました。今回の大選挙も期待をするとショックを受けるので、このチームで特番をやれれば嬉しいけれど、1位を取ると掲げることは怖くてできませんでした。しかしガサツで鬱陶しくワガママで人の話を全く聞かない生意気な横の女は向こう見ずに、未来を信じて前向きな希望をたくさん語っていました。
 きっと視聴者の皆さんにも、その明るい希望が届いたのかなと思います。視聴者の皆さんが好きになってくれた色を大切にしながら、より多くの方にも愛していただけるような、この番組らしい特番をお見せしたいです。



(他にもいろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでいただければ、うれしいです)。


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