見出し画像

緊張写真。

 資格の更新のために証明写真が必要になった。

 前回は、駅前に写真を扱う店があって、そこでスタッフの方に撮影してもらった。

 カメラを向けられると一瞬で緊張してしまう。
 顔がかたくなるのが自分でわかる。

 一緒に妻に行ってもらったから、なんとか、もう少し柔らかくなったけれど、でも、緊張写真になってしまった。

 それは、証明写真だから珍しくワイシャツを着て、ネクタイをしめて、ジャケットも身につけていたから、普段と違って、余計にかたくなったのだと思う。

 自然な表情で写真におさまるのが、どれだけ難しいのかが、わかる。


ホームセンター

 近所には、撮影してもらう場所がなくなり、自転車で行ける隣町に一軒、写真屋があって、そこでは撮影ができるようだった。

 だけど、歩いていけて、時々、買い物にも行くホームセンターの壁際に一つあったことを思い出し、そこに行こうと思ったのだけど、それほど頻繁に訪れないから、それで、なんとなくちゅうちょしていた。

 ただ、自転車のタイヤの空気を入れても割とすぐに抜けてしまって、その修理もあるので、それも行くのがおっくうだったのだけど、それと合わせて行ければ、と思っていた。

 そうなると、ワイシャツにネクタイをしめて、ジャケットを着て、それで、タイヤの空気が抜け気味の自転車には乗らずに引っ張って行くことになるから、それをイメージして、やっぱり、さらにおっくうになった。

 ただ、それでも行かなくてはいけないから、妻と相談して、一緒に行ってもらうことにした。

 修理と、買い物と、写真。

 その3つを同時にできれば、気持ちは重いが、いろいろと一気に片付く、と思いたい。

機械

 自転車を引っ張って、妻と一緒にホームセンターに行った。

 自転車のコーナーに修理をお願いして、1時間くらいかかると言われたので、その間に、まずは写真を撮影しようと思った。

 ホームセンターの外に、証明写真機があって、久しぶりにこうした機械を使うので、それだけですでに微妙に緊張していて、心持ち、その機械が大きく見えた。

 平日の昼間なので、他には誰もいないので、その機械をゆっくり使えるのは、ちょっと気持ちが楽だったけれど、外側には「美肌修正」という言葉もあって、以前(すでにいつかわからなくなるくらい昔だけど)は、そういう機能もなく、ただ、証明写真で、そういう修正はいいのだろうか。とも思ったのだけど、その制限の中で、よりよくするという努力と工夫なのだとは思った。

 ネクタイが曲がっているかどうかを見て、全体の姿を妻にも確認してもらって、それから、その機械の中に入った。

証明写真

 とにかく、こうした機械は、失敗が許されない、といった思いが強かったせいで、すでに緊張もしていたのだけど、まずは、目の前の説明を見て、お金を入れた。今は900円。美肌修正は、もう少し高くなるけれど、それを選ぶ勇気もなかった。

 5年前に資格の更新のために写真を撮ってもらったときは、確実に1000円を超えていたから、それを考えると、ちょっと安くなるようだ。

 少し遠く感じる画面に、自分が映っている。

 以前は、小さい鏡で確認をして、それから、カメラのレンズに向き合って、フラッシュの光を我慢しなくてはいけない、という記憶があったけど、どうやら、少し様子が違っていた。

 そんなことを思うほど、時間が経っている。

 自分の姿が写っていて、そこにまず真ん中にラインがあって、体の中心を合わせる。そのあとは、二本の横のラインが出て、そこから頭とアゴが出ないようにおさめる。そんなふうにするために、体や顔を少し動かす。

 そのため、また少し緊張する。

 だけど、目の前に自分の姿が、比較的、大きめに写っていて、これがそのまま写真になるかと思うと、ちょっと気が楽で、だけど、このボタンを押して、何秒後かに撮影します、という表示が出ると、やっぱりまた緊張して、そして、写真が撮影された。

 そんなにまぶしくはなかった。

撮影

 昔は、これで終了で、今回も、また緊張するのは嫌なので、もう終わりにしたかったのだけど、もし、今撮影された写真が気に入らなかったら、もう一枚撮れるということで、すぐに写真が、目の前に出てきた。

 老眼鏡がないとよく見えないので、妻を呼んで、確認してもらい、ちょっと微妙な表情をしているから、とにかくもう一枚、撮ってもらった方が、と言われたので、もう一度、同じ手順を踏んで、撮影した。

 一枚目よりも、もう少しイスに座る場所を移動して、妻のアドバイス通り、背筋を伸ばして、アゴをひいて、撮った。

 自分では違いが分からなかったけれど、その後、撮影した2枚の写真が、少し浮いているように目の前にあった。

 私だけでは、老眼もあるし、よく確認できないので、妻に声をかけて、見てもらって、少し考えてから、2枚目のものを選んでもらい、その確認のボタンを押すときは、また緊張した。

 これで決定するからだ。

緊張写真

 免許証のサイズと同じ写真が、しばらく経ってから、機会の外の小さい箱のところに出てきた。

 いつも写真を見ると、緊張しているのは伝わってくる。

 妻が見て、笑っていた。

 それは、普段と違って、やはり、ウソみたいにかたい表情だから、という理由だった。

 自分でも、緊張写真だとは思うけれど、そこまで違うとは思わなくて、まあ、こんなもので、本人確認ができればいいというくらいで、だけど、5年ごとだから、着実に老けてきている。

 ただ、どうしてこんなに緊張するのかを少し考えると、圧倒的に慣れていないことに気がつく。写真を撮られる機会が少ないし、そういう場面でも、なるべくこそっと隅っこで写ることが多くなった。

 そういうときは、だいたいが表情がややかたくなっていて、ちょっと笑っているくらいで、Vサインを出すのもどうかな、と戸惑っているうちに写真が撮られるから、体の動きも不自然で、ぎこちないまま画面におさまっていることが多い。

 あまり写真を撮られるのは好きではない。

 だけど、こうしてnoteを始めてからは、毎日のように写真を撮るようになった。スマホなども持っていないままだから、デジタルコンパクトカメラを使っていて、それが古くなって一台壊れてしまい、新しく買ったら、もう、そういうカメラ自体がだんだん珍しくなっていることを知った。

 そんな時間の中でも、いわゆる自撮りもしたことがない。

 だから、写真を撮られることに慣れていないのだけど、それならば、日常的に自撮りをしている人にとっては、証明写真も、それほど緊張しないのだろうか。

 そうしたら、そういう練習をすれば、もうちょっと、この証明写真機の中の時間もリラックスできるのかも、などと思うが、思っただけで、自撮りをしている自分が想像できないままだ。

 ただ、証明写真は、これからは機械で撮影もできそうだ、というメドはちょっとついた。

 少し安心する。



(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。





#最近の学び   #この経験に学べ   #写真   #証明写真
#免許証サイズ   #証明写真機   #撮り直し #緊張
#緊張写真   #美肌修正   #撮影   #毎日投稿

記事を読んでいただき、ありがとうございました。もし、面白かったり、役に立ったのであれば、サポートをお願いできたら、有り難く思います。より良い文章を書こうとする試みを、続けるための力になります。