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「資本家」が、しばられている(かもしれない)「資本主義の呪い」を、難しいけど想像してみる。

 「100分de名著」という番組を見るたびに、伊集院光の理解力と、分かるところと、分からないところを明確に区別する姿を見て、感心もし、こうして仕事をしていく上で、さらに学んでいるのだから、もっと賢くなり、仕事も増えるかと思うと、うらやましいような気持ちにもなる。

 確か、伊集院氏は、高校中退という学歴のはずだから、それから、おそらくは独学でいろいろなことを教養として身につけていて、そのアウトプットのあり方も品があるので、そのうちに、伊集院光が「学び方」についての本を出してくれたら、それが独学者のバイブルとなって、この「100分de名著」で扱ったら、それが最終回になるのかも、などと勝手な妄想に近い想像もできる。

 2021年1月の「名著」は、「資本論」で、そういえば、このところコロナ禍で「経済」そのものへの再考がされるようになったせいか、他の場所でも「資本論」のことを聞く機会が多くなったような印象がある。

 この番組では斎藤幸平という「話題の」研究者が「資本論」を、これからの社会を生かせる優れた思想としても語っていて、番組を見ていると、資本主義の中で生きていくことが、貧乏な人間にとってはひたすら働かされる「呪い」にかけられるようで、改めて怖くもなるが、だけど、まずは現状を知った上でないと、これからのことも考えられないのだろう、と思いながら見ていた。

資本家の気持ち

   この番組の中で、「資本家」は、何度もデフォルメされた存在として出てきているのだけど、その時に、これまで、ごくたまに思っていたことを、思い出した。

「資本家」と言われる人たちも、「資本主義」の呪いにかかっているのではないか。

 本当に薄い記憶で申し訳ないのだけど、確か世界の中でも指折りの大富豪と言われる一族がいて、その家訓は、この一族の財産を引き継いだ者は、自分の生涯をかけて必ず倍にすること。だと言われていたらしい。

 ただ、その一族が、誰だったのか?も申し訳ないのだけど、覚えていないし、少しでも考えれば、一族の家訓が、外へ漏れるということ自体がおかしいのだから、信憑性も薄いのだと思う。それに、もし、それが本当であれば、「呪い」に近い言葉になる可能性もある。

 やたらと資産がある人たちが、どんな思いでいるのは、想像しにくい。普段も、ここにはお金持ちが住んでいるはず、という下品な気持ちで、高めの塀に囲まれている、大きな家の前を通り過ぎる時は、ほぼ例外なく、その中から声や音が聞こえてきた記憶はない。


 だけど、資産を倍にする。といった家訓が架空の存在だとしても、資産家の気持ちを想像するとすれば、もしかしたら、もう十分以上の資産があったとしても、資産が多いほど、増やすときにも、その増え方がとても大きくなるはずだから、その増大そのものに他では得られない快楽があるのかもしれない。

 さらには、どれだけ資産があったとしても、人は損をすることをすごく嫌がる存在でもある、といったことを聞いたこともあるから、もしかしたら、莫大な資産を保有していたとしても、とにかく減らしたくない。かなり贅沢な使い方をしたとしても、その数字が減ることに、恐怖を感じていたとしたら、それは、どれだけ儲けたとしても「もっと、もっと」になってしまうのかもしれない。

 もしくは、自分の行動が、「資産をより増やすこと」に限定されてしまっているとすれば、そこに自由は少ない可能性もある。

 具体的に目標がなく、「より多く」ということに取り憑かれてしまっているとすれば、それは、俗な言葉を作れば「お金中毒」「資産減少フォビア」といった気持ちに近いだろうから、それは、すでに症状に近くなり、苦しいものかもしれない。

 そして、そこに苦しさがあったとしても、それは共有もされないし、ましてや同情もされにくい、と想像する。

資本家の苦しみ

 こうしたことを想像する時に、貧乏人の限界を感じるのだけど、「資本家の気持ち」をもっとリアルに知る機会があったらしいことも、何かで聞いた事も思い出した。(あいまいに、あいまいを重ねていて、すみませんが)

「とてつもない金持ちに生まれた人間の苦しみなんて普通の人には分からんだろうな」

 今も「金持ち」の上に「権力者」でもある麻生太郎が、このような発言を首相時代に語ったと言われていて、それは毎日新聞が報じたのだから、その信憑性もある程度以上はあると思う。

 その上で、これは、ただの傲慢な発言に聞こえてしまい、確かに実際に「あの口調」で目の前で言われたら、その瞬間に嫌な気持ちになるかもしれないのだけど、ただ、こうした言葉が出てきたとしたら、この続きもきちんと聞いて欲しかった。


 とてつもない金持ちに生まれた人間の苦しみについて、どのようなものなのかを、もう少し詳しく教えてもらえませんか?


 もしかしたら、そうした質問で、意外なことが語られるかもしれないし、「資本家の苦しみ」を解くことが、富の偏在の度合いを少なくすることと、イコールになる可能性があるかもしれない、の検討の機会の一つにはなったと思う。それに、「とてつもない金持ち」はなかなか表に出てこないから、余計に、そうしたことが聞けなかったことに、残念な気持ちもある。


 資本主義が呪いのように、「とてつもない金持ち」まで苦しめているとしたら、それも含めて、呪いを解くことを考えれば、少しは世の中も変わっていくかもしれない。

 とても素朴すぎる発想だとは思うのだけど、人類の幸せのために資本主義があったはずなのに、だんだん資本主義のために人類が頑張るようになったような気もしている。それは、お金に振り回される、ということになっているのを、どこかで止めないと、いろいろな人がもっと優れた言い方で指摘しているように、地球も資本主義が食い尽くしてしまうところにいるように思う。




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