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12月の小さい散歩。

 自宅から歩いて数分の、駅のそばの郵便局が建て替えのために、今は更地になって、再び利用できるようになるまで、まだ半年くらいかかる。

 だから、郵便局に行くためには、隣町まで行かなくてはいけないけれど、郵便局に口座もあるし、意外と利用する機会が多いことと、少しだけでも遠くに行くのが、かなり面倒くさいことにも気がついた。

 家から線路に向かっていって、右側に向かう郵便局は、病院の帰りに利用した。
 そして、左側の隣町にある郵便局は、図書館に行く時に使った。

 何かのついで、でないと、なんとなくおっくうになっている。

カフェラテ

 その、左側の隣町にある郵便局へは、妻が行ったことがないので、一度、出かけたいとも言っていた。だから、散歩がてら、歩いていくことを、約束して、そして、晴れた日に出かける。

 午後3時前に、家を出る。

 空は青い。

 道路を歩き始めたら、通り過ぎた高齢女性を妻がずっと見ていた。

 その理由を聞いたら、「あの人が知り合いかも、と思って。〇〇ちゃんと一緒にいると、分かるんだけど、一人だけでいると、分からなくて、でも、そうかなって、思って…」と答えてくれる。

 それから、郵便局に向かうけれど、歩くと15分ほどかかるので、最初は、ソフトクリームでも食べながら、という提案をしたのだけど、初冬は思った以上に気温が低く、だから、妻と相談の上、コンビニのホットドリンクになった。

 コンビニには、もっとキャラメルマキアート的なものもあるかと思ったが、基本的にはオーソドックスなメニューで、その中で、カフェラテのMにした。一緒に飲みながら、歩いたけれど、思ったよりおいしく感じる。妻も、うれしそうで、まろやか、と笑顔だったので、よかった、と思う。

小菊

 線路ぎわに、中味が多過ぎて、ふくらんでいるプランターが置いてあり、そこに花が咲いている。

 小さい花。妻は、小菊だ、と平熱な指摘をする。

 そして、私には、半分ちぎれているように見えた花は、半分だけ咲いていて、もしかしたら、これから全部咲くかもしれないという説明までしてくれて、なんだか感心もする。

 そして、寒い中で咲いていて珍しいのかも、と思っている私に対して、小菊は、この初冬の頃が季節だから、咲いているのが自然、といった指摘もされた。

 詳しい。

年賀状

 長い間、妻が年賀状のデザインを考え、イラストも描いてくれて、それを普通紙の年賀状に印刷を頼んで、という習慣が続いてきた。

 地元の印刷会社でも、いろいろな変化があったけれど、やっと今も印刷をお願いする場所があって、ありがたく、この前、お願いしていたのが完成したという電話をもらったので、歩く途中に引き取りに行く。

 ショップの外は、クリスマス仕様になっていた。

バス通り

 以前は、バスが通っていて、バス停もあった道路は、今はその路線も廃止されたけれど、どうしても「バス通り」と呼んでしまう道を、どんな店があるのか知りたいと、妻のリクエストもあって、歩く。

 変わった外壁のマンションがある。

 今では珍しくなった瓦屋根の家もある。

 もしかしたら、ずっとあったのかもしれないけれど、気がついていなかった。

 さらに歩くと、以前はパン屋だったのが、魚屋に変わる途中で、大きい看板がかけられているのも見える。

 今では珍しくなってきたクリスマスのイルミネーションで覆われている民家もある。

植物

 少し奥まった道路へ曲がる。

 道端に枯れていると思った植物が並んでいる。

 と思ったら、妻が、ボケの花が咲いてる、と言った。

 この冬枯れの風景の中で、植物を見つける能力が高いと思った。

 
 そのあと、坂道のところで、少し立ち止まっているので、その理由を聞いたら、あそこにクズがあって、あのツルは、リースに使えるかもしれない、だけど、これから帰りは買い物もするから、やめよう、と思っていた、と話す。

 そのあとは、お寺の横を通ると、その境内で、風でゆっくり回る物体を、しばらく眺める。

 普段は、自転車で急いで通り過ぎると、全く目に入っていないものが多いことに気がつく。

 あ、あんなところにエンゼルトランペットが。

 妻が声に出して、近寄ると、下に向いて咲く独特の花が咲いているが、今の季節は珍しいかも、と言葉の熱が少し上がっている。

「エンゼルトランペット」

 だけど、私には、その熱を共有することができなかったし、道のそばの、今は枯れ木になっている「ベニカナメモチ」と札が立っている低い樹木の前で、妻は、足を止めて、枯れてるけど、ガクだけ残っていて、可愛い、と言ったのも、最初は気がつかなかった。

「ベニカナメモチ」

 他にも民家の前のサボテンのプランターに目を止めたり、メガネを長くかけていて、視力もそれほど高くないはずなのに、妻の植物視力はとても高いと思う。

郵便局

 そして、やっと、というか、道路を曲がって、郵便局に着いたが、直前まで、妻は気がつかず、郵便局の表示の赤が薄くなっていると言ったが、私も、この郵便局に初めて来た時は、かなり見つけにくく、迷ったことを伝えた。

 それでも、ATMでお金を下ろし、私がグズグスしている時に、妻は、並んでいる女性と短い世間話をしていた。

 そこからは、帰り道になる。

違う道

 行きとは違う道を歩く。

 そして、そこは、もしかしたら、かなり近所のはずなのに、初めて通った道路かもしれなかった。

 その道から、ちょっと離れた場所に、エンゼルトランペットが咲いているのを、また妻が見つけ、その一角は、他にも植物があって、「斑入りの葉っぱが可愛い、珍しい、青いこの花は〇〇かもしれない、エンゼルトランペットのつぼみもある」と妻は言葉を続ける。

 自分にとっては、あまり知らない単語も連発し、そして、撮影しようとしたら、風で揺れて、うまく撮れなかった、のを後で知った。申し訳ない。

「エンゼルトランペットのつぼみ」

 
 そして、空き地があると、そこにも、あ、という声と共に、ジュズダマや、ワルナスビや、さらにはミニトマトまで発見していた。そこに以前、住んでいた人が植えたものが、残ったのではないか、という話になった。

「ジュズダマ」
「ワルナスビ」
「ミニトマト」


そこから、さらに歩くと、変わった家があったり、全く知らない場所を見たりした。

 面白いね。たまに違う道を歩くと。

 妻は楽しそうだった。

 帰りは、スーパーで買い物をして、サーターアンダギーも買って、家に戻ってから、コタツで食べた。おいしかった。

 良かった。

 ゆっくり歩いたせいか、1時間半くらい経っていて、帰りは、すっかり夕暮れで、空はだいだい色になっていた。




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