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「シブヤ大学」が、思った以上に刺激的で楽しかった話。

 私は、情報弱者に近いのだけど、それでも動画で、情報を得ることが、以前より多くなった。

 本当だったら、同じ空間にいて、話を聞くことで、内容だけでなく、その人の気配も含めて伝わってくる要素が多く、そのことで、内容の細かいニュアンスや、その時の場所の居心地もあるから、より記憶に残る。

 結果として、学ぶ総量のようなものが、圧倒的に多くなるので、やっぱり、できたら、直接会った方がいい。

 でも、今のコロナ禍では、人と会うことが、とんでもなく難しく、ぜいたくなことになった。

社会運動の話

 その一方で、以前だったら、動画で話をしてくれなさそうな人たちが、オンラインで、画面の向こうで話をしてくれる機会が増えて、それは、豊かさにつながるし、嬉しいことだった。

 ラジオの話し方を聞いて、著書を読んで、さらにテレビ出演をしながらも、いつも試行錯誤に見えるし、社会運動をテーマにしながらも、その社会運動の正しさについても、常に疑いを持ったような話し方をしているので、まとまった時間、話を聞いてみたかった一人が、社会学者の富永京子氏だった。

 その人が、1時間くらい講義のように話をして、それをオンラインで見るチャンスがあるのを知った。

 「シブヤ大学」は、まだ外を普通に歩けた頃、講義のようなものを行っていたのを、表参道かどこかで見て、面白そうだと思ったこともあったが、恥ずかしながら、どういう組織かもよく分からず、やはり、指定された時刻に出かけることはハードルが高く、ただ名前を知っている程度だった。

 だけど、今回は富永京子氏の話を聞ける、というチャンスだったので、申し込んだ。無料で見られるというのもありがたく、質問を直接できるパターンもあったのだけど、それは数に限りがあって、すぐに締め切られたので、一般視聴で、話を聞いた。

 最初は、ちょっと緊張したけれど(まだ動画慣れしてないせいで)、すぐに慣れて、社会運動がどうして日本社会では嫌がられるのか?といったことを改めて、考えささられて、それでも、やはり、声をあげることをしないと、どうしようもなく、それ自体も社会運動ではないか、といったことも考えたりできた。

 さらに、視聴者からの質問などに、富永氏が答えることで、具体性が増して、見え方が明確になった。

●モヤモヤ:他者に家族の話をすると「かわいそう」という反応のみで、私個人の問題に収斂されてしまう。
富永さん:日本社会は家族に対して「正常の像」が強い。経営学の「心理的安全性」の概念にも通ずるが、まわりの人々が各人の失敗などを共有できる信頼性をつくることが大切。「皆、何かしらの傷がある」と思うこと、その意識をもって他者に接してみると良いのでは。
⇒確かに家族の話題は「重い話」と捉えられがち。政治の話と同じく、他の人にしづらいことですよね。

 これは、その中の一部であり、このサイトに他の質疑応答も載っているので、それを読むだけでも意味があると思えるが、後になって、こうした文章を読んで、理解が広がるように思えるのは、動画とはいっても、直接話す姿を見たからだと思う。

 オンラインでも、編集されずに、仕草や話す間や戸惑いや少しの沈黙など、ぎこちない部分にも触れることで、確かに、そこに人がいる感覚を味わえ、だから、文章に対しても、近く感じられるようになるのかもしれない。

大人のリベラルアーツ

 オンラインでの「講義」が、思ったよりも、面白く、興味深かったので、他の「授業」を探したら、「大人のリベラルアーツ」というシリーズで、次は、第2回、テーマは「哲学」で、講師は東浩紀と知り、さっそく申し込んだ。

 著書も読んだことはあるし、「ゲンロンカフェ」でも話を聞いたことがあるが、今回は、聞き手にも恵まれたこともあり、またさらに「開かれた」話をしているように思えた。

 哲学は必要だし、生きていくことが、イコール哲学ではないか、といった内容で、この息苦しい時代に、自分の理解は浅いのかもしれないけれど、何しろ、久しぶりに少し明るい気持ちになれた。やっぱり考えることは必要だ、と素直に思えるような話だった。

 第3回は、「アート」がテーマだった。

 これまでは、活字を通してしか知らなかった藤原えりみ、という人が、オンラインだけど、話をしている姿は初めて見た。そのことで、印象も変わったし、これから文章を読むときも、変わってきそうだったし、話してもらった内容で、美術の歴史、というものが少し身近に感じられるようになった、と思う。(著書も、改めて、読んでみたいと思いました)。

 思った以上に楽しい時間だった。


「シブヤ大学」

「シブヤ大学」は、2006年から始まっている組織だと初めて知った。もう15年はたっていて、できたら、続けて欲しい気持ちもあるので、ほんの少しでも、(寄付などで)協力できたら、という思いにもなった。(まだ、何もしていなくてすみませんが)。

 どちらにしても、場所を問わず、またアーカイブもあるので、見てすぐに「楽しい」というような動画ではないのだけど、考えることをしたいと思う時には、触れる価値があるのが「シブヤ大学」だと思いました。



(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでいただければ、うれしいです)。



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