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カンヌライオンズ2023 速報 - エンターテインメント、エンターテインメント for ゲーミング、エンターテインメント for ミュージック、エンターテインメント for スポーツ部門

カンヌライオンズ2023、2日目です。昨年に引き続き、各部門のグランプリ受賞作品について、速報的にまとめていきます。

2日目は
・デザイン(Track:Craft)
・デジタルクラフト(Track:Craft)
・フィルムクラフト(Track:Craft)
・インダストリークラフト(Track:Craft)
・エンターテインメント(Track:Entertainment)
・エンターテインメント for ゲーミング(Track:Entertainment)※新設
・エンターテインメント for ミュージック(Track:Entertainment)
・エンターテインメント for スポーツ(Track:Entertainment)

の8部門の受賞作品が発表されました。

この記事では
・エンターテインメント(Track:Entertainment)
・エンターテインメント for ゲーミング(Track:Entertainment)※新設
・エンターテインメント for ミュージック(Track:Entertainment)
・エンターテインメント for スポーツ(Track:Entertainment)

のグランプリを簡単にまとめます。

The Entertainment Lions celebrate creativity that turns branded content into culture.
エンターテインメント部門は、
ブランデッドコンテンツをカルチャーに変えるクリエイティビティを称えます。

The Entertainment Lions for Gaming celebrate creative work that connects people to brands through gameplay.
エンターテイメント for ゲーミング部門は、
ゲームプレイを通じて人々とブランドを結びつけるクリエイティブな作品を称えます。

The Entertainment Lions for Music celebrate creative musical collaborations and branded music content.
エンターテイメント for ミュージック部門は、
クリエーティブな音楽コラボレーションと
オリジナルのミュージックコンテンツを称えます。

The Entertainment Lions for Sport celebrate creativity that taps into fan culture and leverages the power of sports and esports in connecting people to brands.
エンターテイメント for スポーツ部門は、
ファンカルチャーを活用し、スポーツとeスポーツの力を利用することで人々とブランドに結び付けるクリエーティビティを称えます。



CLASH FROM THE PAST:エンターテインメント部門グランプリ

Client:CLASH OF CLANS

エンターテインメント部門は、フィンランドのSupercellが開発・運営するモバイルストラテジーゲームCLASH OF CLANSの"CLASH FROM THE PAST"がグランプリを受賞しました。

バーバリアンと呼ばれるこのキャラクターで有名なゲームです

*背景
モバイルストラテジーゲームのクラッシュ・オブ・クランは、ローンチから10周年を迎えた。


*アイデア
実際には2012年に生まれたゲームを、1982年から愛され続けてきたという設定をでっちあげた上で「架空の40周年施策」を実施。1980年代、1990年代、2000年代のそれぞれで”流行った”ミニゲームを制作し、それを振り返る20分あまりのドキュメンタリームービーを公開した。
ひと昔前のアーケードやプレイステーションのようなゲームがよく再現されたコンテンツで、あたかも40年間ポップカルチャーを支え続けてきた老舗ゲームであるかのように見せることに成功した。

※各年代に”流行った”として作られたミニゲーム
1980年代:「CLASH」というアーケードプラットフォーム。プレイヤーはクラッシュ・オブ・クランのバーバリアンとしてプレイし、剣を盗んだゴブリンたちから、建物を破壊しながら剣を取り戻さなければならない。
1990年代:「クラッシュダッシュ」というマリオカートのようなレーシングゲーム。プレイヤーはクラッシュ・オブ・クランの村を駆け抜け、バーバリアンの剣を奪ったゴブリンとのレースに勝たなければならない。
2000年代:「クラッシュ: クレイドル オブ ダークネス」というRPG。プレイヤーは時間を操る敵ゴブリンと戦い、バーバリアンの剣を取り戻すことで元のクラッシュ・オブ・クランの時間軸に戻さなければならない。


*結果
YouTubeトレンドで1位獲得。過去最高のブランドリフトを実現。





CLASH FROM THE PAST:エンターテインメント for ゲーミング部門グランプリ

Client:CLASH OF CLANS

今回新設となったエンターテインメント for ゲーミング部門も、エンターテインメント部門と同じくCLASH OF CLANSの"CLASH FROM THE PAST"がグランプリを受賞しました。

「エンタメ for」の名を冠しながら、エンタメそのものである「ゲーミング」を審査する新部門。クラッシュ・オブ・クランというゲーム自体のプロモーションであり、その手法として「架空のゲーム」が登場するというところに企画の面白さがあると思いました。





BEAUTIFUL LIFE:エンターテインメント for ミュージック部門グランプリ①

Client:MICHAEL KIWANUKA

エンターテインメント for ミュージック部門は、2作品がグランプリを受賞。1つ目は、MICHAEL KIWANUKA(マイケル・キワヌカ)の“BEAUTIFUL LIFE”です。
サブカテゴリを見ると「Branded Content for Music > Excellence in Music Video」ということで、MVが評価されているようです。公式のMVを貼ると年齢制限で遷移先でしか見られないので、同じく公式の本人出演ver.も貼っておきます。聞ける楽曲は同じです。

MVの内容は、色々な人種の若者が、一人ずつ拳銃を頭に当ててロシアンルーレットをしていくというもの。合間合間に、引き金を引く若者の過去の回想が挟み込まれます。最後の一人がついに頭を打ちぬいてしまう描写があるため、年齢制限がかかっていると思われます。
※そこまでショッキングな映像というわけではなく、普通に洋画を観たりする人なら大丈夫なレベルのはずです

ちなみにアーティスト情報と楽曲に対するコメントは下記の通り。

マイケル・サミュエル・キワヌカ(Michael Samuel Kiwanuka、1987年5月3日 - )は、コミュニオン・レコーズ(Communion Records)と契約を結ぶ、英国のソウル・ミュージシャンである

Wikipedia「マイケル・キワヌカ」

この曲では困難な状況でも美しさを探そうとする人間の精神には真の強さがあるという気持ちにフォーカスを当てたかったんだ

NME JAPAN(https://nme-jp.com/news/108154/)

歌詞では「It's a beautiful good life」が印象的に繰り返され、逆境の中にあっても美しく生きる尊さを綴っています。



THE GREATEST:エンターテインメント for ミュージック部門グランプリ②

Client:Apple

エンターテインメント for ミュージック部門、もう1つのグランプリは、Appleの“THE GREATEST”です。

*背景
Appleのアクセシビリティに対する継続的な取り組みを紹介したCM。


*アイデア
視覚や聴覚、運動機能などにハンディキャップを持つ7人の人々が日常生活を送る様子に追っている。持つ7人の人々の日常を追いながら、彼らが生活の中で実際に使っているAppleのアクセシビリティ機能を紹介。

腕のない女性はSiriを使って部屋のブラインドを開け、足を使ってアイメイクや運転をこなす。

四肢まひの男性は、ボイスでiPhoneに天気を表示するよう指示したり、声でカメラを操り自分の全身写真を撮影する。そして顔の表情を読み取らせることで写真を加工。

耳が聞こえない母親は、Apple Watchのアラートで赤ちゃんが泣いていることに気づいて抱きあげる。

…など。
ちなみに画面の様子をオーバーボイスで説明する「Audio Descriptions」バージョンも公開されており、アクションが行き届いている。


*結果
YouTube公開後1週間で1600万回再生。
「Audio Descriptions」バージョンも18万回以上再生された。





DREAMCASTER:エンターテインメント for スポーツ部門グランプリ

Client:MICHELOB ULTRA

エンターテインメント for スポーツ部門は、MICHELOB ULTRAの"DREAMCASTER"がグランプリを受賞しました。

*背景
世界の2億8400万人は、視覚障害によって音声でしかバスケットボールを視聴できないため、充分に楽しむことができていない。


*アイデア
ハプティクス(触覚フィードバック技術)、空間オーディオ、点字生成を組み合わせた「Dreamcaster」というテクノロジーを新たに開発。
これを利用(空間オーディオのブース内で振動する特別なベストを着用し、状況解説の点字が瞬時に現れるデバイスを触り)し、目が見えないスポーツジャーナリストのキャメロン・ブラック(34)がNBAのプレーを生放送で実況した。AIが解析した過去のデータベースをもとにしており、視覚を使わずともリアルタイムでプレーの状況がわかるようにした。
この仕組みは以降3年間で世界に広げていく目論見で、2023年10月にはアプリがリリースされる予定。


*結果
2万人以上がマディソン・スクエア・ガーデンで試合を体験。
1000万人以上の視聴者が生放送でキャメロン・ブラックの歴史を視聴。
Michelob ULTRAの検索ボリュームが55%増加。
Michelob ULTRAに関するソーシャル上の会話が44%増加。


カンヌ常連のミケロブウルトラは2020年からNBAの公式ビールパートナー。その文脈を踏まえながら、バスケファンに対するGoodを生み出した事例と言えます。



エンタメを一気見しましたが、
・エンターテインメント|テーマ:架空
・エンターテインメント for ゲーミング|テーマ:架空
・エンターテインメント for ミュージック|テーマ:逆境
・エンターテインメント for スポーツ|テーマ:アクセシビリティ
といった内容でした。
コロナの辛い現実を徐々に抜け出し、強さを身につけた我々が、時には空想を楽しみながら、あらゆる不自由を解消していく。それをエンタメで実現していくという時流なのではないかと、強引に結論づけてみました。



その他の部門

残りの
・デザイン(Track:Craft)
・デジタルクラフト(Track:Craft)
・フィルムクラフト(Track:Craft)
・インダストリークラフト(Track:Craft)
・エンターテインメント(Track:Entertainment)

のグランプリについてはこちらをご覧ください。


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