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カンヌライオンズ2023 速報 - デザイン、インダストリークラフト部門

世界最大級のクリエイティブの祭典、カンヌライオンズ2023が開催されています。
このマガジンではカンヌライオンズの各部門のグランプリ受賞事例について、速報的にまとめていきます。


2日目は
・デザイン
・デジタルクラフト

・フィルムクラフト
・インダストリークラフト
・エンターテイメント
・エンターテイメント for ゲーミング

・エンターテイメント for ミュージック
・エンターテイメント for スポーツ

の8部門の受賞事例が発表されました。

この記事では
・デザイン
・インダストリークラフト

のグランプリを簡単にまとめます。


Microsoft
「ADLaM - an Alphabet to Preserve a Culture」

デザイン部門 グランプリ
Agency:McCann

西アフリカに住む世界最大の遊牧民集団フラニ族の母語であるプラール語は、元々話し言葉のみの言語であり、長らくアルファベットが存在していなかった。
そのため、フラニ族は他の言語のアルファベット(アラビア文字)を代用することを余儀なくされた。しかし、それではプラール語を完全に表現することはできず、プラール語独自の言葉の意味やニュアンスはフラニ族の伝統や物語や歌とともに失われていった。

この状況に対抗するため、30年前にフラニ族のバリー兄弟がプラール語のアルファベットを開発した。彼らはこの文字を「人々を消滅から守るアルファベット(Alkule Dandayɗe Leñol Mulugol)」の頭文字をとって「ADLaM」と呼んだ。

ADLaMの開発をはじめた頃のバリー兄弟
2人が開発したADLaM

その後ADLaMは普及していったが、デジタルデバイスを使用する機会が増えている現代において、これをさらに普及させていくためにはデジタルデバイスで使用できるフォントを開発する必要があった。

バリー兄弟はデジタルフォントの初期バージョンを作成していたが、それがフラニ族のコミュニティでさらに広く受け入れられるようにするため、Microsoft、McCann New York、そして著名なフォントデザイナーとともにSNSプラットフォームに特化した改訂版フォント「ADLaM Display」を作成した。
これは、フラニ文化の伝統的な毛布や帽子や織物に見られる斑点や三角形、菱形、山型の紋様からインスピレーションを得てつくられている。

新たに開発された「ADLaM Display」
バリー兄弟の近影

プロジェクトチームはさらに、ADLaMとフラニ文化を教えるための児童書や学習教材も制作した。

「ADLaM Display」は現在、Microsoftのプロジェクトサイトでダウンロード可能となっており、2023年の夏にはMicrosoft 365アプリでネイティブに展開される予定である。


JRグループ
「My Japan Railway」

インダストリークラフト部門 グランプリ
Agency:電通

インダストリークラフト部門のグランプリは、アートディレクションカテゴリーでエントリーしていたJRグループの「My Japan Railway」が受賞した。

これは鉄道開業150年を記念したキャンペーンで、もはや当たり前のものになってしまっている鉄道に対する人々のワクワク感を呼び覚ますために実施された。

JRグループは、日本全国600駅の木版画風デジタルスタンプ「STATION STAMP」を制作し、各駅を通過することでデジタルスタンプをコレクションできるWEBアプリ「TRAIN TRIP」を公開した。

これによって鉄道旅行はより楽しいものになり、人々はスタンプを集めるために多くの駅を訪れ、毎日の通勤が冒険となった。
そして鉄道について考え、新しい視点でこの国を見るように促した。


その他の部門

残りの
・デジタルクラフト
・フィルムクラフト
・エンターテイメント
・エンターテイメント for ゲーミング
・エンターテイメント for ミュージック
・エンターテイメント for スポーツ
のグランプリについてはこちらをご覧ください。



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