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#掌編小説
亡き姉からの【エール】ショート・ショート
まさに間一髪の出来事だった。もう二分出発が早ければ、目の前に広がる多重衝突事故の当事者の一人に名を連ねていたことだろう。
運が良かったの一言で片づけるのは簡単だが、私のこれまでの人生において、今回のように九死に一生を得た出来事は一度や二度ではない。
歴史に名を留めたほどの大惨事の先の震災の時も、実を言えば最も被害の大きかった東北地方最大の都市の海岸線の街でまさにあの時間に、仕事に当たっていたは
与太モンの兄貴 茅ヶ崎浩太郎
勘太から聞かされた突然の別れ話を、おみよは黙って受け容れるしかなかった。冬ざれの浅草の街は、年の瀬の人の流れで賑わいを見せていた。
「分かっておくれおみよ、お前に落ち度があっての話じゃねえ事は、お店(たな)のみんなも重々承知の上だ。だがなおみよ、お前の兄貴の吉松と来た日にゃ、始末がわるすぎらー。世間様がきゃつの事をなんてほざいてるか知ってるか?ごくつぶしの鏡だとよ、言い得て妙じゃねえか。お前も不