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#39 銀の手が持つ預言者の珠

「さて、そろそろ街に戻りましょうか。」

私たちは来た道を帰り始めた。


公園を出て少し行ったところで
後ろから年配の女性に声を掛けられた。

「お嬢さん方、占いはいかが?
たぶん、聞いた方が良いねぇ。」

Oliviaは嬉しそうな顔で振り返った。


「占い!?
ねぇ、ママ、寄ってっていい?」

「えぇ、すぐ済むならね。」

少し呆れたような表情をしながら
先を歩いていたOliviaのお母さんが戻ってきた。

そのまま私たちは女性の出てきた
古びた建物の中に入っていった。


建物の玄関を通り過ぎると
丸いテーブルの上に手の平いっぱいくらいの
大きな水晶玉が置いてあった。

その水晶玉の中では
何か煙のようなものがモヤモヤと蠢いていた


「寄ってくれてありがとう。
私はInes(イネス)だよ。預言者の1人さ。
どうぞ、座ってくださいな。」

預言者のInesは、そう言って杖をヒョイと振った。

すると3つのイスが部屋の隅から飛んできた。

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「さて、まずは
こちらの元気なお嬢さんを観ましょうかね。」
とOliviaの方を見て言った。

「はい!恋愛について見て欲しいの。」
Oliviaは食い気味にそうお願いした。


Inesは水晶に手をかざしたり
なぞったり、つついたりし始めた。

「そうだねぇ。。。
今デートしている男性がいるんだね。
その人はお嬢さんのこと、大事に思っているよ。

だけど、、、
彼がもっとも興味のあるものは別にある
2年以内には遠くに行くことになるよ。
彼が遠くに行くと少しずつズレが生まれてしまうね。

お嬢さんはどうしても彼なのかい?
もしそうなら、グッと堪えて信じて待つか
彼と一緒に行くことだねぇ。」

「え…そうなの…」
Oliviaはショックを受けているようだった。

何か深く考え込んでいるようにも見えた。


「あんまり良い話じゃないのね…」

「そうだねぇ。
でも、何の障害もない人の方が珍しいし、
絆は緩みやすいからねぇ。」

「まぁ、そうね…」


ショックを受けているOliviaの肩に
Oliviaのお母さんはそっと手を置いて
きっとなんとかなるわよ、と励ましていた。

Oliviaはどちらかというと
何かを考え込んでいる様子で
沈黙のままでいた。

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「ところでそちらのお嬢さん!」
Inesは急にの方を見て声を上げた。

「え、私!?」

「そう。
お嬢さんは1年以内に危険な目に遭う可能性がある。
ただし、そこで嬉しい発見がある。

でも、あまり無理なことはしないように。
取り返しのつかないことになるビジョンも見える。
周りの人との信頼関係は人一倍大事にしなさい。

「えっ!あ、はい。気をつけます…」

嬉しい話ではないが
警告を聞けたのは良いのかもしれないと思った。


「占いを聞いてくれたから
これを安くするよ
私の力を込めた小さな珠だ。」

Inesがテーブルの下のから出してきたのは
銀の手がしっかりと握る珠だった。

「この銀の手が悪い気から珠を守っているんだ。
中にモヤが見えるだろう?
毎日眺めているとモヤが動くようになるよ。
訓練すればお嬢さん方が知りたい未来を
ビジョンとして見ることができる。」

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「その都度、どうすればよいか、
この珠で観れるようになるってことね!」

Oliviaの顔には
また嬉しそうな笑顔が戻っていた。

「そう。大きなことやずーっと先のことは
とても複雑だから難しいけど
少し先のこと、小さな悩みは解決してくれるさ。」

「訓練すれば観れるようになるんですね!
でも、私みたいな魔法使いじゃない人でも?」

「もちろん。私が力を込めたんだ。
お嬢さんみたいに別の世界から来た人でも
訓練すれば見えるさ。」

Inesは、私が別の世界から来たことも
見透かしていた。


「さぁ、好きな色の珠を持っていなさいな。」

「ありがとう。」
と私達は御守りの珠を受け取った。



これが銀の手が持つ預言者の珠
仕入れた時のおはなし。
続きはまた次回に。


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