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#43 可憐なメタルローズ

Oliviaが次に取り出したのは
小さな一輪の花だった。

しかし、自然の色とは思えないほど
輝いていて金属のような質感だった。

「これも、持って行ってって
言われたものよ。」

「これって薔薇の花?」

「そうよ、メタルローズっていう名前の
薔薇の花よ。」

「確かに、すごいメタリックだよね。
でも、メタル感すごいのに
どこか可憐な感じするよね。」


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「そうよね~。
薔薇特有の繊細な感じ?

珍しい品種らしくて
ここまで輝きを出すのは難しいみたいだし、
さすがEve!って感じなんだけど
Eveのお庭には合わないわよね~。」

「うん…」

「だから、持って行ってって。」
Oliviaは苦笑いをしていた。


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「そういってEveからは
よくお花をもらうのよ。
まぁ、Eveなりの気遣いかもね。
ただ貰ってばかりだと
気を使っちゃうかも、とかね。」

「Eveさんなら、そんな気遣いしそう…
でも、本当に育てすぎたとかもありえそう。」

確かに、と
2人で笑っていると住居スペースの方から
声が聞こえてきた。

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Jose(ホセ)!ただいま!」
Alexの声だった。

「やぁ、母さん。」

聞いたことのない若い男の子の声だった。

そのまま2人が楽しそうに話しながら
カフェの方へ出てきた。


謎の声の主は
Oliviaと同じ世代の黒髪で短髪
色白で真面目そうな青年だった。

その青年は私を見つけて
一瞬ハッとしたような表情になった。
それを見てOliviaが紹介し始めた。

「Joseは彼女と会うの初めてだったよね?」

「うん、噂の彼女だね。
初めまして。Oliviaの弟のJoseです。」

「初めまして。M.です。
弟さんがいたなんて知らなかった。
よろしくね。」

Joseは真面目そうだが
話してみるととても親しみやすい人だった。


「Joseはね、天文学を学んでいるところなの。
普段は学校の寮にいるんだけど
観測がない週末は
たまに帰ってくるのよ。」

「天文学!?面白そう!」

「興味あるの?
このすぐ近くに天文学に使う道具とかを
取り扱ってるお店があるよ。
今日も友達とそこに行ってたんだ。」

「そうなんだ。
私もそろそろ帰るから寄ってみようかな。」


「そっか、そろそろ帰るのね…」
Oliviaは寂しそうに言った。

「そのお店だけど、
オーナーのFrancesco(フランチェスコ)さんの占いは
すごいから、聞いてみて。」

「占い?さっき氷の王国で
危ない目に遭うって言われたからなぁ…」

「まぁ、そう言わずに、聞いてみて。」

「わかった、聞いてみる。」


帰る前に、Oliviaのお母さんとお父さんに
そろそろ帰ります、と言うと
2人は、名前で呼んで、と言った。

そしてAlexは
「そうだ、洞窟での採掘、一緒に行くからね!
3週間後の土曜日に出発よ。
このカフェに朝10時だから、来てね!」
とOliviaと同じく強引な口調で言った。

「楽しみにしてます!」

と私はカフェを後にした。



これが可憐なメタルローズ
仕入れた時のおはなし。
続きはまた次回に。


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