#36 氷の王国
Oliviaのお母さんが鍵を取り出して
街の扉を開けると
ちらちらと雪の降る冬景色が広がっていた。
1歩踏み入れると、
冷たい空気が私たちを包み込んだ。
「あ、そうだった。」
思い出したように呟きながら
Oliviaのお母さんは
自分、Olivia、私の頭を杖でツンッと突いた。
すると、
芯まで冷えそうな空気と自分との境に
1枚ベールを挟んだかのように
暖かい何かで体が覆われた。
2人は何事もなかったかのように
スタスタと歩き出したので、
私も慌ててついて行った。
氷の王国は
Oliviaの街やEveの町とはまた違った
荘厳な雰囲気の国だった。
「Olivia、ここって氷の国なんだよね?
国ってことは、入るのに何か要るの?
こっちにもあるのかな…パスポートみたいな。」
「いらないわよ、大丈夫。
入っちゃいけないような人は
鍵を持っていないか、扉を通れないもの。」
「あ、扉ってそういう役目もあるのか。」
「そう、ただ、ここは王国制だから
もし王様に会うようなことがあれば
失礼の無いようにね。
追い出されて二度と来れないかも。
まぁ、会わないと思うけど。」
Oliviaはふふっと笑った。
「他の街や国もそうだけど、
鍵がないとダメってことは、
私1人ではどこへも行けないってことだよね。
それか、どこかで作ってもらったりとかするの?」
「あなたのあの鍵で
すでに行けるところもあると思うけど。
1人で行っても良いって判断されれば、
鍵はどんどん成長していくわ。」
「鍵が…成長…?」
「えぇ。あれ、知らなかったっけ?」
「みんな、色んな街の鍵を
ジャラジャラ持っているのかと思ってた!」
「そんなめんどくさいことしないわよ~」
Oliviaは大きく笑って説明してくれた。
「それぞれ皆持っている鍵は、
装飾や色が変わっていくの。
稀に、見た目が全く変わらないけど
実はどんどん行ける場所が増えている鍵も
あるらしいわ。
シンプルでかっこいいけど、
見た目が変わらないってことは
扉で試してみないとわからないから
それってちょっと困るわよね。」
「成長ってそういうことか…
カスタマイズされていくみたいな感じかな。」
「あなたの鍵、見せて。」
私はあちらの世界を知るきっかけとなった
あの鍵を見せた。
「う~ん、ハッキリはわからないけど
たぶんこのシンプルな形の鍵のベースは
私の街っぽいわね。
だから、あの街に通じたのよ。
この色と光る感じは…
もしかしたらこの氷の王国かしら。
トカゲは妖精の森かも。
歯車はどこだろう…」
Oliviaと、私の鍵について考えていた時、
少し前を歩いていたOliviaのお母さんが
振り返って声をかけた。
これが氷の王国に行った時のおはなし。
続きはまた次回に。
最後までお読みいただき
ありがとうございます。
サポート、フォロー、スキしてくださった方
応援のお気持ち大変嬉しいです。
ありがとうございます。
あちらの世界で仕入れたものは
minneにてアクセサリーにして
販売しています。
他、ギャラリーの裏側なども
SNSにて発信していますので
ご興味あればこちらもご覧くださいね。
https://twitter.com/3count_m
https://www.instagram.com/3count_m
サポートは、あちらの世界での仕入れやパーツ、活動の幅を広げる為の資金にさせていただきます。