見出し画像

#36 氷の王国

Oliviaのお母さんが鍵を取り出して
街の扉を開けると
ちらちらと雪の降る冬景色が広がっていた。


1歩踏み入れると、
冷たい空気が私たちを包み込んだ。

「あ、そうだった。」
思い出したように呟きながら
Oliviaのお母さんは
自分、Olivia、私の頭を杖でツンッと突いた。

すると、
芯まで冷えそうな空気と自分との境に
1枚ベールを挟んだかのように
暖かい何かで体が覆われた。

2人は何事もなかったかのように
スタスタと歩き出したので、
私も慌ててついて行った。

写真 2020-08-22 7 29 34

氷の王国は
Oliviaの街Eveの町とはまた違った
荘厳な雰囲気の国だった。

「Olivia、ここって氷の国なんだよね?
国ってことは、入るのに何か要るの?
こっちにもあるのかな…パスポートみたいな。」

「いらないわよ、大丈夫。
入っちゃいけないような人は
鍵を持っていないか、扉を通れないもの。

「あ、扉ってそういう役目もあるのか。」

「そう、ただ、ここは王国制だから
もし王様に会うようなことがあれば
失礼の無いようにね。
追い出されて二度と来れないかも。
まぁ、会わないと思うけど。」

Oliviaはふふっと笑った。


「他の街や国もそうだけど、
鍵がないとダメってことは、
私1人ではどこへも行けないってことだよね。
それか、どこかで作ってもらったりとかするの?」

「あなたのあの鍵で
すでに行けるところもあると思うけど。
1人で行っても良いって判断されれば、
鍵はどんどん成長していくわ。

「鍵が…成長…?」

「えぇ。あれ、知らなかったっけ?」

「みんな、色んな街の鍵を
ジャラジャラ持っているのかと思ってた!」

「そんなめんどくさいことしないわよ~」
Oliviaは大きく笑って説明してくれた。

「それぞれ皆持っている鍵は、
装飾や色が変わっていくの。
稀に、見た目が全く変わらないけど
実はどんどん行ける場所が増えている鍵も
あるらしいわ。

シンプルでかっこいいけど、
見た目が変わらないってことは
扉で試してみないとわからないから
それってちょっと困るわよね。」

「成長ってそういうことか…
カスタマイズされていくみたいな感じかな。」

「あなたの鍵、見せて。」

私はあちらの世界を知るきっかけとなった
あの鍵を見せた。

写真 2020-04-15 16 01 57

「う~ん、ハッキリはわからないけど
たぶんこのシンプルな形の鍵のベースは
私の街っぽいわね。
だから、あの街に通じたのよ。

この色と光る感じは…
もしかしたらこの氷の王国かしら。
トカゲは妖精の森かも。
歯車はどこだろう…」

Oliviaと、私の鍵について考えていた時、
少し前を歩いていたOliviaのお母さんが
振り返って声をかけた。



これが氷の王国に行った時のおはなし。
続きはまた次回に。


最後までお読みいただき
ありがとうございます。

サポート、フォロー、スキしてくださった方
応援のお気持ち大変嬉しいです。
ありがとうございます。


あちらの世界で仕入れたものは
minneにてアクセサリーにして
販売しています。


他、ギャラリーの裏側なども
SNSにて発信していますので
ご興味あればこちらもご覧くださいね。

https://twitter.com/3count_m
https://www.instagram.com/3count_m

サポートは、あちらの世界での仕入れやパーツ、活動の幅を広げる為の資金にさせていただきます。