【ゲーム紹介03】はじめてのゲーム・フィッシング
今回は、3歳前のお子さんとゲーム遊びをしたいという方に、おすすめの「はじめてのゲーム・フィッシング」をご紹介します。
おすすめポイント3つ
1)ゲームができない3歳前は「釣りのおもちゃ」、3歳からは「釣りのゲーム」として遊べるので1つで2役
2)魚が大きくて重い、磁石も強くて「釣った感」がすごい
3)簡単な穴あきパズルを完成させる、というゴールが明確で達成感がある。
入っているもの
木製の海の生き物が6匹、色も形も違います。赤、青、黄、緑、紫、白(キラキラ)、タコやヒトデ、タツノオトシゴなどがいます。大きさは大体5cmくらい、厚さは2cmとかなり大ぶりで、重さも30g前後あります(ベビーチーズ2個くらいですね)。表と裏があって、表面には、魚の顔や模様、そしておもちゃが描かれていて、真ん中には磁石でくっつくように丸い鉄が埋め込まれています。裏には何も書かれていません。
釣竿:16cmの棒の先に15cmのひも、その先にミミズ?が付いていて、底の部分に強力な磁石が埋め込まれています。このミミズ、ウインクしてベロをペロッと出してたりしてて可愛いんです。なにせ、磁石で釣るので、食べられる心配がないんでしょうね(笑)。
ボードが4枚(5個のおもちゃがくり抜かれたパズルになっている、赤いバケツ、青いスコップ、黄色いアヒル、緑のボール、紫のジョウロ=三原色+二次色)
それから大きな木製のサイコロ、一辺3cmあります。これも小さな子には持ちやすく、振りやすく、しかも見やすい。重さがあるのでボテボテっと転がるので、遠くに飛んでっちゃうことが少なくなります。
パーツとしては以上ですが、面白いのはお弁当箱タイプのパッケージの下側の箱に海の底の絵が描いてあることなんですね。その中に海の生き物を入れると、一気に海の雰囲気になります。テーブルの上に魚を置いて遊ぶこともできますが、こうすることで「箱の中は海、箱の外は海じゃない」という境界線が視覚的に明確になります。釣った魚を海に戻す、という操作も、魚を箱の中に戻せばいいんだと、子どもにもわかりやすくなるんですね。よくゲームでは「場」という概念があって、「釣った魚は場に戻しましょう」なんて書いてありますが、小さな子どもにとって、目に見えない抽象的な「場」よりも、明確に区切られた「海」の方がわかりやすいんですね。しかも釣り上げる時も、海の中から引き上げる雰囲気が出るので、楽しさも倍増です。
ゲームのパーツは以上です。大ぶりで重い6個の海の生き物、大きな木のサイコロ、釣竿の先の強力な磁石など、手が小さくて、まだそれほど手先が器用ではない子どもにも扱いやすくなっています。ゲームで楽しく遊ぶ中で、ごく自然に手先の器用さも育まれるんですね。
もちろん、日本語の説明書も入ってますよ。
3歳前の遊び方
3歳前は「おもちゃ」として自由に遊びしょう。釣りのおもちゃとしても、非常に優れています。
・磁石が強力なので、魚の上に来たら自然にくっつきます。手先の器用さがそこまで要求されないのも良い点です。
・しかも、磁石にくっ付く時の、「バチン!」という衝撃と音が明快で、目と耳と手への刺激で、釣れたことがはっきりと伝わります。
・海の生き物が大ぶりで重いので、釣り上げる時の重量感も味わえます。
遊びの中で、色や海の生き物の名前を言葉にしたり、それぞれの生き物が持っているおもちゃに付いても注目しましょう。例えば、赤い魚はエンゼルフィッシュのような形をしていて、赤いバケツが描かれています。これは、「海の生き物たちが楽しく泳いでいるときに、海の底に沈んでいたおもちゃを見つけて拾った」という物語があるからなんですね。これを理解しておくことがとても大切です。「赤いお魚は、赤いバケツを拾ったんだね」とか「赤いバケツを持っているね」といった感じで、自由に話もしてください。その際、赤い魚の隣に、パズルの赤いバケツのピースを並べると、対応がはっきりするかもしれませんね。
慣れてきたら、「赤い魚を釣ってみようか」と、狙いを定めて釣る遊び、さらに、サイコロを振って、出た色の生き物を釣る、という少しルールを入れた遊びに発展させてもいいでしょう。
ゲームとしての遊び方
[概要]
そんな遊びを十分してから、本来のルールで遊びましょう。このゲームは、サイコロを振って出た色の生き物を、釣り竿を使って釣ります。狙い通りに釣れたら、ご褒美としてその生き物が持っているおもちゃ(例えば赤いバケツ)をもらいます。そのおもちゃを自分のボードにはめ込みます。5種類のおもちゃを全部はめることができたら勝ちです。
[準備]
パッケージの下側の箱をテーブル中央に置き、その中に海の生き物6匹を入れます。各プレーヤーは自分の前にパズルのボードを置き、はまっている5種類のおもちゃのピースを取り外して、傍に置いておきます。釣竿とサイコロも箱のそばに置きます。
[進め方]
それではゲームを始めましょう。自分の番が来たら、まずサイコロを振ります。サイコロの6つの面には、赤青黄緑紫の5色とキラキラ光る魚のシルエットの目が描いてあります。
・色の目だったら:釣り竿を使って、同じ色の海の生き物を釣り上げましょう。例えば赤が出たら、赤い魚を釣ります。うまく釣れたら、その生き物からおもちゃのプレゼント、例えば赤いバケツをもらいます。そのおもちゃのピースをボードにはめ込みます。
・キラキラ魚だったら:釣り竿でキラキラ魚を釣りましょう。うまく釣れたら、キラキラ魚は願い事を叶えてくれるので、好きなおもちゃのピースを1つ選んでボードにはめ込みます。
・釣った魚が違っていたら:残念、おもちゃはもらえません。
終わったら、釣り上げた生き物を海に戻します。次の人も同じようにサイコロを振って、海の生き物を釣り上げます。
[終わり方]
パズルボードの5箇所をおもちゃのピースで埋めて完成させたらゲーム終了。このプレーヤーの勝ちです。
このゲームで育つもの
*注意*
これはあくまで「結果として」育つものであって、これを目的にして、子どもに押し付けたり、無理強いしたりしないようにしてください。「楽しく遊ぶ」ことが一番大事です。
・色の認識(赤・青・黄の3原色+緑紫←二次色としてはあとオレンジ)
・形の認識(パズルを通して理解)
・言葉
・サイコロに描かれたシンボルの理解
・サイコロの色の目と生き物の色との対応
・生き物が持っているおもちゃ=プレゼントでもらえるもの
今回注目したいのは、目と手の協応動作:これは、目で見た情報をもとに手を動かして対応することを言います。このゲームでは、「赤い魚」を直接手を伸ばして取るのではなく、釣竿を使って釣ります。釣竿の先から紐が垂れていて、その先に木製のミミズが付いています。このミミズを狙った生き物の上に持っていけば釣れるのですが、なんせ紐なのでミミズは揺れるんですね。最初は難しいです。狙ってない生き物が釣れちゃうことだってあります。でも、ミミズもそれなりの重さがあって安定しているし、ミミズに埋め込んである磁石も強力なので、ある程度近づけば勝手にくっついてくれます。この、ちょっと難しいくらいのレベルへのチャレンジを、デザインの力でサポートすることで、達成しやすくしています。うまくできたときの子どもの喜びは一入で、「またやりたい!」という気持ちになって、自然にうまくなるんですね。
プラスワン:一口メモ
・キラキラサカナの魅力:これは「はじめてのゲーム・果樹園」のバスケットの目にも相当する、オールマイティー、ラッキーな目です。このゲームでも最も幸運な目なので、キラキラしている。魚の色は白ですが、ウロコがキラキラしていて特別感があります。
・この魚を釣り上げた時は、ご褒美のおもちゃが好きなものが選べるので、まだはまっていないおもちゃを嵌められるチャンスなんです。
・「はじめてのゲーム・果樹園」だと、どの果物を選ぶか、という選択肢を前にして、ある程度ゲームに慣れた子なら、まだたくさん残っている果物を取ろう、ということになりますが、小さい子の場合は、単純に近いもの、目についたもの、好きなものを取ることも十分にあり得ます。つまり最善の手を打たない可能性が高い。
・一方、フィッシングの場合、まだはまっていないおもちゃを選ぶので、必然的に最善手になる=確実にゴールに近づく。
・キラキラの魚の、ラッキー感、特別感もわかりやすい。私なら、この魚に全てのおもちゃを持たせて、どのおもちゃでも良い、ことを視覚で伝えますが、おそらく逆に混乱を招く可能性もありますので、やめたのかもしれません。
ササユキ's EYE
・このゲームは2009年に登場した「はじめてのゲーム・果樹園」のあと、2012年に登場しました。
・大きな海の生き物、しっかりした釣り竿、強力な磁石による「バチン!」という感触など「はじめてのゲーム・果樹園」とはまた違う、感覚に直接訴える魅力があります。
・最初は、「赤い魚を釣ったら、赤いバケツをボードにはめる」というルールがわかりにくいような気がしました。赤い魚を釣ったのだから、赤い魚のピースの方が直感的にわかると思ったわけです。しかしながら、よくよく考えると、魚を釣ったあと、その魚を海に戻すので、手元に魚が残るのはなんとなく釈然としませんね。さらに、釣った魚を集めるというのも、なんとなく生々しい感じがします。それよりも、魚が持っていたおもちゃをくれて、海に帰っていった、おもちゃをプレゼントしてくれて、それを集めるんだ、という世界観の方が、物語に一貫性があります。釣りというテーマでありながら、どの生き物も死なないで平和に生きている、とってもピースフルな世界観なんですね〜。
一貫した物語性:最初にルールというものを理解する=一定の手続きに沿って操作する、ためには、「なぜそうするのか」という理由があったほうが理解しやすいのです。「理由はわからないけど、赤い魚を釣ったら赤いおもちゃをもらう」よりも、「赤い魚は海の底で拾ったおもちゃを持っていて、それを釣ったら、お魚さんがおもちゃをプレゼントしてくれる、そしてお魚は海に戻る」という物語があったほうが、自分が行う操作を理解しやすいのです。ここがハバ社の工夫した点だと思っています。
・さらに言えば、おもちゃを集めるにしても、ただ紙のピースを集めるだけでも、ゲームとしては十分成り立つんです。でも、穴あきパズルにした。これは、子どもにとってはめるのが楽しい、パズルとしても遊べる、というだけでなく、「まだ全部はまっていない」「全部はまった」という、自分の現在位置が一目瞭然にわかるんですね。そして「全部はまったら完成!」というゴールが明確になって、わかりやすい。この、おもちゃのボードパズルのアイデアは実に素晴らしいと思います。
・欲を言えば、全部はまっていないときに、「あとどの色(おもちゃ)がはまっていないか」がすぐにわかると良いのではないかと思いますが、現在の仕様だと、はまってないおもちゃのピースを見るか、穴の形から考えるか、という感じで直感的にはわかりにくいのが少し残念です。私だったら、絵よりもくり抜くサイズを少し小さくすることで、ボードの方におもちゃの輪郭が色込みで見えてる感じにしたいですね。そうすることで、「赤と青がはまっていない」ことが直感的にわかります。もしかしたら過剰な手助けかもしれませんが。
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音声でも聴けます!
10分間の音声番組です。この記事は、その台本ですが、実は10分では到底話しきれないので、音声の方が内容がコンパクトになっています。YouTubeと違い、通勤途中などに「ながら聞き」ができるので、オススメです。himalaya、Radiotalk、stand.fmユーザーの方は以下のリンクからどうぞ。ポッドキャストで聞く方は、さらにその下からどうぞ。
himalaya
Radiotalk
stand.fm
ポッドキャスト:iphoneの方向け
iPhoneをお持ちの方は、「Apple Podcast」というアプリが(おそらく)入っていますので、それで聞くことができます。
この下の画像のリンク↓をクリックしたら、自動的に「Apple Podcast」が起動して、聴けると思います(iPhone持ってないので自信がない)。
ポッドキャスト:Androidの方向け
Androidにはあらかじめ入っていないかもしれませんが、Googleが提供している「Google Podcast」というアプリがあるので、とりあえずそれをインストールすれば聴けます。
この下の画像のリンク↓をクリックしたら、自動的に「Google Podcast」が起動して、聴けます。
その他のポッドキャストアプリで聴く方へ:Podpage
色々なポッドキャストアプリへのリンクがある便利なページですが、更新が反映されるのが遅いのが残念。
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こちらはPodcastの検索サービスで、更新が早いのが嬉しい。