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【障害のこと】頑張ったらつぶれた。再起したらスタートは周回遅れになるのは悲しい

就労移行支援、という業界で働いている。

障害や精神疾患、発達障害やそこから派生するうつや不安障害など。
ありとあらゆる診断名といきづらさを抱えた人が、「働き続ける」というゴールに向けて準備する場所。

発達障害や元々の性格から、うつや不安障害、統合失調症などを二次障害として発症し、障害者手帳を取得して再就職を目指す人は多い。

障害者枠で入社し、配慮も得やすいからだ。

心の健康を大きくを損なう人は、概して真面目で努力家の人が多い。
特性上、断りきれなかったり、完璧を求めすぎて働き根を詰める人もいる。

彼らは他人が80%でOKを出すところを、常に120%で取り組む。

そして、体と心に限界が来る。

このパターンの人たちをを少ない職歴のなかで数多く見てきた。

わたしは大概憤っている。

就職を目指す彼ら、リミットを計れない彼らにではない。
大きく言えば彼らが働く「社会」に対してだ。

確かに自分の限界を知り、バランスを保って働くスキルは社会人に必要不可欠だ。

だが、企業は「ノー」といえない彼らを率先して登用する。
「無理しすぎじゃない?」とは言わない。
仕事の完成度は高いし、要求には従順に応えてくれる。そして彼らの業務量は増えに増え、そしてパンクしてしまう。

誰かがその手前で、「頑張らなくて良いんだよ」とブレーキをかけられる社会であれば、そんな企業の形態であれば。
彼らは病気にならなくて済んだのかもしれない。
自分を追い詰めず、自己を過小評価する生き方を選ばずに済んだのかもしれない。

さらに言えば、障害者求人の場合、その多くが非正規雇用で、給与も独り暮らしができるほど高くない。
障害や疾患を負わなければ、そんな割りの合わない生き方をしなくてよかったかも知れないのに。

精神疾患の人には、家族に大きな問題を抱え、実家暮らしどころではない人もいる。

会社の経済発展に、精一杯貢献してきたはずの人たちが、いつの間にか経済社会から遠いところにいる。という皮肉。

精神疾患やメンタル不調で再就職をした人たちが、元の生活レベルを取り戻すことはかなりの高いハードルがある。
働くことだけではない。
回復にも多くの時間と協力が必要になるからだ。

そもそも再スタートしようと思えるエネルギーを貯めることすら困難な場合もある。

全ての会社がそうだとは言わない。
だが、目一杯働かせておいて、働けなくなったらさようなら。
またスタートするときは、最低賃金の非正規からね。
そんなの、あまりにも無責任ではないか。

そして、そんな彼らが再スタートするには、あまりにその道筋は険しいものになっている。

やり直しがしやすい社会作りを、とよく言われるようになってきた。
だが、やっと、やり直ししようと思えたとき、私たちはすでに周回遅れになっていないだろうか?
もといた場所からまたスタートできるのか?
もしくは、走りきろうと思えるほどの希望がその先に見えなかったら?
それまでの経験が0カウントにされていたら?

そんな社会、わたしは嫌だ。

「頑張らなくていいよ」が普通になる社会がいい。

会社に使われるのではなく、会社を使って、その人たちが全うに自分のスキルを発揮できる環境と風土ができればいい。

そうしたら、何度挫折しても「はじめからスタート」でなく「また続きからリスタート」できる。

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