「チャンミーグヮー」本を読んだ感想

「チャンミーグヮー」  今野 敏(著者)

 タイトルからして「沖縄だな」と分かる作品。もちろん内容はその通りで、琉球空手の流祖、喜屋武朝徳の人生を描いた作品。

 沖縄が琉球藩となったころ、名家の三男として生まれた朝徳は体も気も小さかったが「手(ティー)」と出会い、少しずつ変わっていく。

 青年期には一時、うつつを抜かして自分を見失ってしまい、どん底まで落ちてしまうが、自分には「手」しか残っていないと気づき、「手」で名をあげていく中「強さ」は何かを悟る。

 男が強さを求める王道の物語だけど、これは実在した人物の物語であり、緻密な取材をもとに書き上げた作者には脱帽してしまう。

 僕自身も空手をやっていたとき、「型」が何を意味しているのか、何のためにやるのかが分かっていなかったし、それは今までもずっとそうだった。でも「型」には「体の使い方のベースとなる部分を身につける」ということや、「暗くて視界が悪いときにはこう動く」といった深い意味がそれぞれに込められている。実際に空手家でもある作者だからこそ空手の一つ一つの動きの深い意味の部分まで理解しそれを分かりやすく描写できたのだと思う。

 正直作者の他の警察小説を読んで、あまりおもしろくなかったので期待していなかったが、これはめちゃくちゃおもしろかった。これを読んで、自分もまた空手を学びたくなってきた。もちろん琉球の伝統的な流派のものを。

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