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【ただの日記】読書メモとおじさんとの思い出
僕は、大学4年の頃から、本を読んだら読書メモを必ず取るようにしている。小説でも実用書でも、本を読んで持った感想、疑問、発見をメモにする。
僕にとってのインプットの結晶ともいえるこの読書メモの一冊目が今日、すべて文字で満たされた。
興味がないことへの記憶力がダンゴムシ並みの僕にとって、読書メモを始めたことはとても大きなことだった。
振り返って読み返すと、「こんなこと書いたっけ」と自分の記憶力の無さを目の当たりにできた。
今となっては愛着も湧いて、割と僕の宝物だ。
一冊目を終えて、妙な達成感とともに、1ページ目から読書メモを振り返った。
1ページ目を開くと、読書メモを始めたのは、あるおじさんからの勧めだったのを思い出す。
少し、そのおじさんとの記憶をここにメモしとこうと思う。
そのおじさんとの出会いは、大学の剣道の稽古会で手合わせしたことから始まった。
剣道では礼儀として、歳下の後輩が年上である先輩に手合わせをお願いするべきなのだが、ぼーっと突っ立っていた僕に対して、そのおじさんは、「稽古の相手をお願いします」と言ってきた。
見た目的には50代で、性格の真面目さが良く表れた戦い方をする人だった。
4分程の手合わせが終わり、軽く挨拶をする。
僕「ありがとうございました。」
おじさん「ありがと!またやろうね!」
大体、手合わせが終わるとアドバイスや反省トークが始まることが多いのだが、そのおじさんはそんなことはなく、次の稽古へと次々に進んだ。
ストイックな人だなぁと思った。
その後、稽古の時間が終わり、全員が整列して、面を取り、黙想をする。
そして、「お互いに礼!!」という掛け声と共に、礼をして、稽古が終わる。
剣道の礼儀と慣習として、稽古が終わったら、自分の相手をしてくれた人に対して、上座に座っている人から順に「ありがとうございました。」と挨拶に回り、アドバイスを貰う。
僕もいつも通り、挨拶をして周り、そのおじさんにも挨拶をした。どんなアドバイスをもらったかは覚えてないが、とりあえず、シャワー室がどこかを聞かれたのは覚えている。
僕は案内をした。
部活の一年生が綺麗に畳んだタオルを差し出して、シャワー室まで連れて行った。
僕の在籍する剣道部のルールとして、年上の人がシャワー室で脱いだ道着は主に1.2年生が管理し、畳んで返さなければならない。
シャワー室まで案内したが、そこにたまたま1年生がいなかったので、僕が道着を預かった。
道場に戻ると、1年生と2年生がいろんな人の道着をひたすらに畳みまくっていて、3.4年はタバコとかジュースを買いに行っていたので、僕がこの人の道着を畳むことにした。
自分の持っている道着の名前と道場に置かれた防具の名前を照らし合わせて、それら全てを纏めて、防具袋に詰める。
防具袋を開けたら、あるタレネームがあった。
タレネームとはこうゆうやつだ。
しかし、そこで見つけたタレネームは中々見ないものだった。
上の部分に「財務省」と書かれていた。
え、この人財務省の人なん?と一気に興味がでた。
数分経つと、その人が私服で帰ってきて、畳終わった僕のところにきた。
「畳んでくれたんだ!ありがとう!」
と言ってくれた。
財務省の人と絡める機会はそうそうないので、僕は色々話がしたかった。
そこで、敢えて「財務省」というタレネームは見なかったことにして、雑談を始めた。
最近のニュースや、関連する経済的なことを話した。
するとびっくりするくらい盛り上がった。
その会話の中で、普通の大人ではない知識量と視点を目の当たりにして、衝撃だった。
何より、ずっと目を見て喋ってくるのが印象的だった。言葉を繋ぐ時、人は目を逸らして考えながら話すことが多いが、このおじさんはずっと目を見続けて話してきたため、威圧感がある中でも、「伝える力」を感じた。
「財務省」という先入観を無しにしても、普通の大人ではない印象だ。
一時間くらい話しただろうか。
1.2.3年生は、4年生の僕がシャワーを浴びないので、シャワーを浴びれない。
チロチロと見てくるのを感じたので、先に入っていいよと言ってまでおじさんとの話を続けた。
その中で、僕は最近本が好きという話をした。
すると、読書メモはしているのか?と訊かれた。
してないです。と答えた。
読書メモなんてとらなくても、記憶のどこかに保存されているでしょ。と僕は思っていた。
すると、人間の記憶は曖昧だから読書メモはしたほうが良いよ。とおじさんは勧めてきた。
僕は、その時流行っていた『アウトプット大全』を読んで、インプットだけではいけないということを学んでいたが、実行には移せていなかった。
このおじさんの導きにあって、僕は読書メモを始めた。
その折、おじさんは『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』という本が面白かったと勧めてきた。
よって、僕の読書メモの1ページ目がこれである。
なんて汚い字!!
雑に書いていいんだよ!というおじさんの言葉のままに思ったこと・感じたことをパパッと書いた。
この1ページ目を見て、すごく懐かしく思う。
おじさんとはその後の稽古会でも、3回会った。僕のことを覚えてくれていて、毎回いろんな長話をした。
最後に会ったのは、僕が四年生の終わりの時期に開かれた剣道関連の祝賀会だった。
おじさんを見つけて、挨拶に行き、最近の近況報告ともうすぐ部活を卒業する旨を伝えた。
おじさんは「今度飲みに行こうよ」と言ってくれた。僕は「是非是非!」と言って喜んだが、連絡先を渡すのを忘れた。
おい!渡しとけよ!
と昔の自分を叱りたい気分だ。
いずれにしても、この人との出会いは、僕の人生をより豊かなものにするための起点になったと振り返って思う。
読書メモをすることで、本を読むのが楽しくなったし、インプットされる情報量のキャパが圧倒的に増えた。
勧められた読書メモを僕は約二年間継続して続けている訳だが、おじさんに伝えたら喜んでくれるだろうか。
コロナが収まったら、稽古会に顔を出そうと思う。
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