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#01 スタートアップで働く人に1度は読んで欲しい本

はじめに

「上司が無能だからMBAにきた」という言葉の中には、沢山の対人関係の間違いが含まれております。もし何が間違いなのかわからない方は、今後ビジネスにおいて失敗する確率が高いです。(ちなみに、MBAを取ること自体は大変良いことです。それは是非頑張ってください!)

特に初期のスタートアップで働く場合、ビジネス知識や開発技術と同じぐらい「他者と働く難しさ」を知っておかなければダイレクトに失敗に結びつきます。

なぜなら、問題を起こすのも、問題を持ってくるのも常に「」だからです。既にビジネスがあるのであれば別ですが、これからビジネスを作るのであれば対人関係に悩んでいる時間なんてありません。

今回紹介する本を読めば、他者と働くことで起きる問題が整理され、それを解決するための考え方を手に入れることができます。
ただ、本を読む時間がない人の為に、特にポイントとなる部分だけまとめていきたいと思います。

大きく課題は2種類に分けられる

①技術的課題 ← 知ってる人がいればすぐに解決される
知識で解決できる問題。プレゼン資料を作りたいとすると、パワーポイントを知っていれば簡単につくれる。

②適応課題 ← ☆多くの人が悩んでいる問題はこっち
関係性によって発生する問題。たとえば、開発部署の依頼を営業部署が協力してくれないなどのようにこれといった解決策が見つからない問題。この問題の原因は関係性にあるため、知識での解決は難しい。

「組織とはそもそも関係性」

何かしらの関係性をもつ集団のことを組織と呼ぶ。利害関係や協力関係など。しかし、関係性は見えないため向き合うのも解決するのも難しい。だけど、ほとんどの問題は適応課題から発生する。

適応課題には4種類ある

①対立型 
→ お互いの「コミットメント」が対立するケース。営業vs開発
②回避型
→ 本質的な問題の解決を回避したり、すり替えたりするケース。職場でメンタルの疾患を抱える人が出たときに、そうなった問題を解決するのではなく、社員にストレス耐性のトレーニングを受けさせるなど。
③ギャップ型 
→ 実際の価値観と行動が違うケース。恵まれない人のためになることをしたいという価値観なのに、実際はお金を儲けることしかしていないなど。
④抑圧型
→ 言いたいことが言えないケース。思ったことを言うと、厄介なことになるのがわかっており、言わないなど。

皆さんも上記の中のどれかで一度は悩んだことがあるかと多います。対人関係の悩みと言っても、上記の4種類に分けることができ、自分が今どれに悩んでいるのかしっかり理解しておく必要があります。

自分と違う意見をちゃんと聞けていますか?

日本人に特有の問題として、「お互いに同じ前提に立っている」と思い込んでしまうことがあります。まずはどんなに仲がよくても「お互い考えがあり、わかりあえていない」という前提で考えないといけません

これはとても見に覚えがあります。

会話の始まりが「これはこうだよね」「これはこっちのほうがいいよね」「最近はこれが当たり前だよね」から始まることが多く、「私はこう考えているけど、あなたはどう考えているのか聞きたい」といった会話から始まることがとても少ない。
海外のドラマなどをみていると必ずといっていいほど後者の会話から始まるのが印象的です。自分の常識が相手の常識ではありません。違う意見をいわれると否定されていると感じる人もたくさんいますし、常に意識していないと自然とやってしまいがちです。

道具的な関係性になっていませんか?

人間同士の関係性には2種類ある。「私とそれ」の関係と「私とあなた」の関係。「私とそれ」はレストランの店員に対する関係であり、一定のアウトプットと機能を求める関係であり、「私とあなた」は代わりが存在しないと思える関係のこと。

最初は「私とあなた」の関係でも、事業が上手く行かなかったり、勝手な期待をしてしまうと容易に「私とそれ」の道具的な関係になってしまいます。早く問題を解決したいという焦りによって、知らないうちに道具的な機能を要求するようになり、後々それが大きな溝をつくることになります。

既に関係性が悪化している場合、一度自らを振り返って道具的な要求ばかりしていたり、されていたりしていないか思い出してください。

道具的な関係であるならば、今後「目の前の相手は私であったかもしれない」と思うようにしてみてください。一度やってみると分かりますが、効果を実感できると思います。

自分と相手の「ナラティブ」を理解していますか?

ナラティブとは物語のこと、つまりその人自身が物事を認識するときに使用している「解釈の枠組み」のことです。例えば、男ならこうすべきや、女ならこういう存在であるはずだといった暗黙的な解釈の枠組みです。リストラという言葉は日本では批判されることが多いですが、アメリカの場合だと戦略的な経営判断として好意的に受け止められたりします。重要なのは、これはその人達が置かれている環境の「一般常識」から発生するものであり、どちらが正しいということではないということです。

まずは自分と相手のナラティブ、つまり「解釈の枠組み」が違うということを意識する必要があります。その後、自分のナラティブを脇におき、相手のナラティブを意識して観察してみます。

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*本の中身をそのまま引用いたしました。ナラティブ系の本で、こういったイラストで解説しているものは少ないです。オススメの理由の1つです。

良い観察は発見の連続である

対人関係で問題が起きたとき、すぐに対話をしようとする人が多いですが、先ずすべきことは観察です。図のようながあることに気づかなければ、対話をしようと近づいても深い溝に落ちていくだけです。そして最後には、「何をいっても伝わらない」と諦めるしかなくなります。

「上司が無能だからMBAにきた」に潜む危険性

上司は自分の考えていることをいつもよくわからない理屈にもならないような論理で、平気で潰してくる。このことがずっと繰り返されていて、とても腹が立って我慢ならない。自分はその上司よりも遥かに有能で、ものがわかっていることをMBAを取得することで見せつけてやりたい。そして、上司にこちらの言っていることの正しさをわからせてやりたい

MBAに来る人の中にこういう方が少なからずいるという本の中で紹介されている事例ですが、ここまで読んでいただけたならとても学びの多い事例だと分かると思います。

この方にとって、上司は自分の考えを通すための道具であり、上司の意見に耳を傾けることができていません。それは、なぜ上司がそういったことを言わなければならなかったのかといった、上司の置かれている環境が見えていなかったからです。

営業の人であれば、「エンジニアはいつもよくわからない理由で、依頼した開発をしてくれない」などといった状況に置き換えれば理解しやすいかもしれません。

最後に

この本では、お互いの「ナラティブ」の溝を渡るためのプロセスや方法を、イラストやケーススタディなどを使ってわかりやすく説明してくれています。

開発スキルやマーケティングスキルばかりに目が行きがちですが、他者と働くスキルがなければ上手くいきませんし、誰でも身につけられるスキルです。

もしこれからスタートアップで働く場合や対人関係で悩んでいるのであれば、できるだけ早く、もっと言えば同じ職場の全員が一度読んでおくことを強くオススメします。(実体験から)



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