- 運営しているクリエイター
記事一覧
君は永遠にそいつらより若い 津村記久子
優しいなあと思ったホリガイさんは。
どうしようもなく弱っている人のことを放っておけない。特に思い入れもない友達の彼女のリストカットや、一度飲み会で出会っただけの友達の友達、テレビの特番で見ただけの男の子、そしてまだ出会っていない幼い頃のイノギさん。
どうしようもない人生の暗闇に足掻くことすらしなかった、できなかった人たちのことを心の中にいつも留めている。
でも、そこに自惚れじみた正義感は一切
自転しながら公転する 山本文緒
淡々とした日常を描きつつも、常に一歩先が気になる展開で、スイスイと読み進めることができた一冊でした。
読み始める前に「あんたには多分分かんないと思うよ」と渡された通り、只今モラトリアム期にいる私は、アラサーの悩みに完全に共感することはできない。これから先どうなるか分かんないし、何が起こるか予測するのも無理だし、でもまぁ結局は何とかなるだろうから大丈夫っしょ!て今何となーく感じている部分が、きっと
アイネクライネナハトムジーク 伊坂幸太郎
伊坂幸太郎さんの本は初めて読みましたが、登場人物のことがとても好きになれる作品でした。
特に、織田一真さんが好きです。
伊坂幸太郎で唯一読んだのが恋愛短編小説ってなんか申し訳ないですけど。最後点と点が見事に繋がっていくオシャレさに、これがそれか〜となりました。
織田一真みたいな人は、アホっぽいのに芯があって、謎理論っぽいのになんか筋が通ってる気がする、要は魅力的なヤツです。
なんでか分から
むらさきのスカートの女 今村夏子
「あぁ、、こういうの、あるよなあー、、」と思わせる天才かなと思う、今村夏子さん。
今回も、気味が悪い、しかし気味が悪いと言うのは何だかいけないことな気がする、(だって誰の周りにもこういう人いるしorいたことあるし…)みたいな。気味悪がっちゃいけないよあんた、それ失礼だよ、いいの?みたいな絶妙なラインを、よくもあんなリアルに、、短い文章で、、みたいな。
読む人が持ってる「別にトラウマでも何でもな
フランス人は10着しか服を持たない ジェニファー・L・スコット
読みました。
いいですね、私の目指す女性像みたいなものが変わりました。私は単純なのですぐ変わります。
この本を読み終わったばかりの今は、「洗練された女性」になろうと決意しています。
「洗練された」というのは、「今あるものに満足し、それを大事にする。上質なものを丁寧に使う。良いものを心から味わう」のような感じ。
まぁ、でもね、無理なんですよ。
私汚い言葉も大好きだしやんちゃな文化も魅力的だし、人
あのこは貴族 山内マリコ
※フェミ強め
女の幸せってなんなんでしょうね。
聞くところ昔話では、それこそ結婚して良いとこの奥さんになって、子どもを産んで…。
人生を選択するまでもなく、男を選択する、もはや男を選択するまでもなく、決められた人生のレールに乗る。
時代は変わって、男のために捧げる人生なんてクソくらえ!女だって自分の人生は自分で決めていくんだい!となって。
しかしそれでも押し寄せてくる、「けっこんしないの〜
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー ブレイディみかこ
最近、何をするにも多様性の尊重がすごくセンシティブに、重大に取り扱われるなぁと感じる。
発言のひとつひとつが切り取られて容易にバッシングを受ける時代。
でも現場にいる人が、実際にどんな問題にどんなふうに立ち向かっているのかは知らない。
現場に住む人々が向かい合う問題を読みながら改めて、国際政治や人種についてのマクロな問題は、日常のミクロな破片に散りばめられているのだ!と痛感。
焼き鳥の肉と串
『君の名前で僕を呼んで』アンドレ・アシマン
原作について。
映画ではセリフがカットされていたり、心情を顔や仕草で表現しているところが多かったので(そこが素晴らしい👏👏👏)あー、エリオこんなにいっぱい考えてたんだなぁ、て自分の解釈の答え合わせにもなった。私の想像の5倍は色々考えてるみたいだった。
2人で過ごした時間がどんなに印象強く2人の中に残っていても、結婚した奥さんや生まれた子どもには何も関係がないことが切ない。
誰もがみんなパ
『ライ麦畑でつかまえて』J.Dサリンジャー
読んでいてとても面白かったところは、
最初はホールデン視点で、アクリーやストラドレーターがおかしな人間達に見えるのに、放浪を続けるうちに、ホールデンがなんだかおかしな人間に見えてくること。
周囲の人の接し方に呆れ色が混じってて、ホールデン自身の傷つき方への言い訳じみた言葉もなんか痛くて…。
スケート場デートでの会話は本当に最悪だった。痛い。
大人の世界にインチキさを感じているのに、大人ぶってみた