しろいろの街の、その骨の体温の 村田沙耶香
思い出したくなかったことを全て思い出してしまった。
多感すぎたあの頃、特に話したこともないような人から急に嫌われ、負けないように自分も誰かを嫌った。
すれ違いざまに嫌なことを言われるのが怖くてもちろん学校も行きたくなかったけど、行かなくて親に心配される勇気も、少しでも教室の噂になる勇気も待ち合わせていなかった。毎晩お風呂の中で泣きそうになりながら、好きなバンドを大音量で耳の中に流し、ただ時が過ぎることをひたすらに願った。学校では周りの友達に、別の人の悪口を言うことで、何と