リアの影法師

リアの影法師だい。

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The Greatest Footballman

生きよう 輝こう 君の炎を明るく燃やそう 5年も前の映画を、いまさらせっせと映画館で鑑賞し始めた。毎週火曜日の19時からTOHOシネマズ日比谷で放映している『グレイテスト・ショーマン』。年明けに初めて映画館で鑑賞してから、同じ演目ばかり10回以上。流石にやりすぎだ。 なんといっても音楽がいい。世はサブスク大航海時代だが、例えば「The other side」で小物や革靴が立てる音など、映画館のでっかいスピーカーでしか味わえないものも全部ひっくるめて「映画音楽」と言うんじゃな

    • 光ある道をゆけ

      宮内悠介著『ラウリ・クースクを探して』が面白かった。幼少期からプログラミングに稀有な才覚を発揮していたエストニアの少年が、多感な中学時代にソ連の崩壊による親友との別離を経験し、その後友人たちから消息を絶つ。時代の波に飲まれて行ったラウリを『わたし』が探して回る物語だ。 まず、なんと言っても主要な登場人物がかなり限られているので途中で(この人誰だっけ……)とならないのがとても良い。シェイクスピア、サリンジャーなど少しは海外文学も嗜んできたものの、1番頭を悩ませてきたのは『カタカ

      • 【積んでた読紹介】未読の悪魔を乗り越えて

        文庫本は何冊積んだら倒れるか。 積んだことはない。いや、めっちゃ積んでるんだけど検証を目的に本を積んだことはない。 じゃあなんなのかと聞かれたら、本のタイトルである。本の雑誌社で出版されたこちらは、本に関わる様々な「気になる」を徹底検証しまとめたもので、わたしは帯にあった『ジャン・バルジャンはいつまで出てこないのか』云々を見て買おうと決めた。 ちょうど(いつまでビヤンブニュ司教の話しとんねん……)と50ページまで読んだレミゼを積んだところで、この本を読んだ結果先に進める気が

        • 衝動買い道中膝栗毛〜第2回タイトル買い選手権〜

          むかーし、『読書コンサルタント』みたいな人にSNSで絡まれたことがある。「失敗しない本選び!」とか言ってるビジネス書みたいに上から目線の人で、「へぇ、見解の相違ですね」と鼻白んで縁を切った。 ハズレを引いて「これ合わねぇわぁ」と思いながらも読み切ったり、読み切れずに積むのも私にとっては本選びの一興なのである。失敗しない本選びとか余計なお世話だ。 そんな私もかつてはそれなりにおっかなびっくり本を選んでいた。昔は自由に使えるお金も多くなかったし、積み本への罪悪感も大きかった。その

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        The Greatest Footballman

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        • 読書
          15本
        • ガンバ大阪
          14本

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          拝啓、蜜の壺より

          やばい。 のっけからボキャブラリーもクソもないご挨拶となってしまったが、久しぶりに胸が高鳴っている。 新たな推し作家を開拓したかもしれない 趣味・読書(ただし小説に限る)という俗物的文化的な人間には死活問題である。かつては伊坂幸太郎に始まり、シェイクスピア、本多孝好、伊与原新。筆致に惚れ込んで作家ローラー作戦を決行、著作をほとんど制覇した作家たちだ。堂場瞬一は恐ろしく筆が早いので全制覇は諦めました。叙述が気に入るとページをめくる手も進むのが読書好きの常だが、人間が書いてい

          拝啓、蜜の壺より

          鏡の世界はないけれど

          なんとなく、人生のタイヤが一つ、はまっていないまま線路を走っているような気がしている。 誰かの厚意を素直に受け取れず腹のうちを勘ぐってみるときとか、誰かと時間を共にしたあとに、(あのときこう言ってしまったのはまずかったのでは)と一人反省会をして落ち込んでいるときとか。脱線まではしていないけど、どこかで何かの拍子にほんの少し軌道が狂って、普通の生き方をするために人よりパワーが必要になった。そうやって消費カロリーの多い普通を生きる同志はそれなりにいるのはわかるので、人と比べて悲壮

          鏡の世界はないけれど

          【火アリの方】国名シリーズをさくっと紹介してみた

          「オランダの首都ってどこだっけ」 「あー、あそこだよ。あの……」 「待って。自分で考える。ヒントちょうだい」 「ヒントねぇ。『ア』で始まる7文字」 「ア……ア……あ、アルゼンチン!」 南米か。かつて一世を風靡した有名なツッコミが脳裏に浮かんだ。そもそもアルゼンチンって6文字じゃねぇか。 賢い読者の皆様はご存知であろうが、答えは『アムステルダム』です。日本という島の外にはろくに出たこともないくせに、世界各国の首都が好きで中学時代は地図帳とにらめっこしていた。なんといっても語感

          【火アリの方】国名シリーズをさくっと紹介してみた

          100の0に寄せて

          「いい感じのカーブ投げるピッチャー紹介してよ。推すから。長身だとなおいい。左右は問わない」 MLBファンの友人に聞いてみたら、自らが推すチームのエースを紹介された。マックス・フリード。その選手が昨日、ワールドチャンピオンを決めた試合の勝利投手になった。 まず顔と声がいい。いいとこのお坊ちゃんのような可愛らしいタレ目をしている。ミーハーなんて言うけどね、見てくれはとっかかりとして結構大事だ。そして軸足を思い切り蹴りあげるピッチングフォームがいい。長身で痩身なのでマウンドによく映

          100の0に寄せて

          出戻りCB奮闘記

          アトランタ・ブレーブス、22年振りワールドシリーズ進出!!! アトランタファンの友人が歓喜していた。歓喜と言ってもヒャッハーしていたわけではなく、「よくぞここまで」と感慨に浸っていたから、彼のアトランタ愛は結構重い。チームの顔、アクーニャJr.が前十字断裂で今季絶望、主砲オスーナもDVで逮捕。前年度に不安視されていた先発投手陣をオフに補強していただけに、今度は外野か!とファンは頭を抱えたのではないだろうか。 ところがどっこい、離脱しまくった外野陣の穴を夏場のトレードでせかせか

          出戻りCB奮闘記

          No Day But Today

          「少しチクッとしますよ」 刺すのは5回目なのに少しもクソもないだろう。とはいえ狼狽する看護師さんの気持ちもよくわかったので、つとめて明るく「はーい」と答える。 右で2回、左で1回。頼みの綱の手の甲でも右で1度失敗し、看護師さんは2人がかりで難攻不落の血管攻略に躍起になった。左手の甲、人差し指の付け根あたりにぷすりと針が刺さる。それでも出てこない頑固なわたしの血液に業を煮やし、針を動かすこと2〜3回。 「××さん、シリンジ引いて、早く!」 最後は看護師さんたちの粘り勝ちであった

          No Day But Today

          【メンヘラ】自己肯定感を破壊してくる小説選んでみた【集まれ】

          七夕の夜に祈ったのは、『世界平和』だった。 残念ながら影法師はそんなに性格がよくない。祈ったのはとあるプロ野球選手であった。中継ぎから先発転向したルーキーは、ここまで4先発4勝と想定外の活躍を見せている。神様からすれば、先発して勝つことこそが世界平和への近道だと思ってるのかもしれない。 ……というのは置いておいて、チームの優勝やら個人の成績ではなく世界平和を祈っちゃうふてぶてしさは単純に羨ましいと思った。良い意味で空気を読まないのは才能である。チームの悪い雰囲気にも飲まれな

          【メンヘラ】自己肯定感を破壊してくる小説選んでみた【集まれ】

          ノーモア スペランカー

          初めて知ったネットスラングは『スペる』だった。引用元はなんじぇいスタジアムである。 当時の推し野球選手がやらたと『スペ体質』と言われていたせいだ。ここぞという時に最高の仕事をする代走の切り札だった。出てくるだけで試合の流れを変える規格外な選手であったが、現役ラストプレーは牽制死、コーチ就任後も日本シリーズ直前に文春砲を喰らって電撃退任という晩節を汚しまくった選手でもある。この一件を経て、推し選手の条件に『法律を侵さない』が加わったのはここだけの話だ。 さて、このスペ体質と

          ノーモア スペランカー

          宮本恒靖という生き方

          無茶苦茶だよ……。 7勤1休6勤1休5勤。次の試合までに一本noteを上げるという努力目標は、見事に努力目標に終わった。特に誰も期待してないnoteとはいえ、更新パツンと途絶えてごめんなさい。 起きたらもう仕事に行かないといけない時間で、帰宅したらもう寝ないと明日に響く時間である。それでもワーカホリックな影法師はせっせとDAZNで試合を眺めていた。ときに自室で寝落ちしながら、ときに通勤電車に揺られながら。 大した社員じゃないのにな。使えないということは、使い潰せるということだ

          宮本恒靖という生き方

          A列車で行こう

          「A列車で行こう」というタイトルを聞くと、何の脈絡もないのに奥田民生の『風は西から』が脳内に流れて止まらなくなる今日この頃ですみなさんこんにちは。 ついさっき調べた付け焼き刃の知識だが、ジャズの名曲、「A列車で行こう」のA列車は、ニューヨークのマンハッタン、ハーレム125番地にあるアポロ・シアター付近を走る地下鉄を指してるらしい。 案内系統はA。A列車に乗って、黒人ミュージシャンの聖地ともなっているそのミュージックホールへ行こう。つまり、ナイスな音楽を聞きたいならアポロ・シ

          A列車で行こう

          またこの日常が

          観客側でクラスターは発生してないのに、選手側はあちこちのクラブや球団で陽性者が観測されている世知辛い世の中だ。 名古屋戦行っちゃおうかな、終電間に合わないから流石に無理だなと思っていた3月3日、ガンバ大阪でクラスターが発生した。一度は活動再開したものの陽性者が増えたことで二週間のチーム活動休止。代表ウィークも重なり、気が付けば3月は羊のように過ぎ去っていた。ブランク1ヶ月、今季消化済みのリーグ戦は、たったの1試合。今年こそ優勝やと意気込んだ2021シーズンは、初っ端から思いっ

          またこの日常が

          風と共に走りぬ

          100回以上読み返した小説がある。 装丁は擦り切れた部分をセロテープでせっせと補強し、表紙は手垢で黒ずんでいる。保存用観賞用布教用自慢用に4冊持っているから、1冊は思い切り読み潰すぐらいでいい。最近は再読する頻度も減ったが、それでも年末から年明けにかけては毎年何度か読み返していた。 ありきたりに言ってしまえばわたしの人生のバイブル。好きな部分はそらで言えるし、読む度に違う部分に共感して感銘を受ける。 三浦しをん『風が強く吹いている』(新潮社)とは、そういう本だ。 あらすじは

          風と共に走りぬ