職探しにおける「やりたいこと」論争にピリオドを。
「やりたいことが見つからない」。思えば多くの人がこの言葉や偉人の名言に感化されて常にやりたいことを探している状態に「おちいっている」気がする。かくいう転職を繰り返している私も「自分は一体何者で、何がしたくて、どこに向かっているのか。そもそも人生とは。。。(以下同文)」とか悩みに悩んでいる時期が無かったわけでもないが、いい加減、自身の中にはある種の結論が出ているので、それを言語化していきたいと思う。
1.やりたいことは見つけられなかった
私自身、何冊か「やりたいことを見つけることを手伝ってくれる本」を読み、実践してみたことがある。それでも、やりたいことと言うのは究極的には見つけられなかった。
理由は、本を読んでも自己分析に100%の自身が持てないからだ。そもそもそれが分かっていれば迷いはない。自分が迷っていて、そして本を読んで自分の考え方は「これだ!」と思えれば良いが「こうかな?」とか思いながら自己分析をしても、結局辿り着いた解を100%確信とすることはできない。100%確信できないことはそもそも「やりたいこと」なのかという悪循環にハマり、結局は元に戻る。
2.やりたいことではなく「やってみたいこと」ではないのか。
30代の後半になってくると、さすがに新しいことに挑戦する(真新しいこと)という気概は無くなってくるし、そんな場合ではないと思えてくる。そんな中、過去に自分がやりたいと思ったことと言うのは「やってみたいこと」レベルではなかったか、といつも思う。
どの人間にはやってみたいことはあると思う。例えば絵を書くのが好きな人が「正式に絵を書いて売ってみたい」と頭の片隅に考えることがあるように、どの人にも自分の特性に基づいたやってみたいことはある。
「やりたいこと」というのはこういうことを示唆しているのではないかと思うことがある。ただ、確実に稼げるようになるか、とかやってみたいことの付き合い方は選べない可能性は高い。
具体的に言うと、例えば「スポーツに関わる仕事がしたい」と考えている人は企業に勤めて教える人をサポートするのか、自分が教えるのかなど選択肢は多くなり、給与レンジも幅が出る。
3.転職におけるこの論点との付き合い方
就職や転職において「やりたいこと」を考えることは必要ないと思う。そもそも人事側も、あまり個人の「やりたいこと」を深く考えられているわけでもないし、分かっているわけでもない。そんな神人事がいたら是非ともレクチャーこうむりたい。
転職におけるこの論点に対して有利な点は「自分がなぜ転職したいか」という点をぶつけることができるからである。
転職においての仕事は「やりたいこと」という観点ではなく「続けられること、という観点で考えた方が良い。転職は何度もできるものではなく、基本的には一生続けられる仕事というスタンスで探すべきだからである(日本では特に)。
辞める理由が業務内容であれば、それは今の仕事を続けられないことを意味しているので、その部分を考慮すればいいし、単純に給与を上げたいという動機なのであれば、現在の業種から大きく動かすことはしない方が賢明である。仕事内容には特に問題が無いということなのだから。
職探しにおいて「やりたいこと」は何か。というのは常套句化し、多くの、特に若者を悩ませている気がしないでもない。ただ、そろそろ人類の叡智を集約させ「そもそもそんなことはあまり考えなくていい」という結論としたい。この悩みが、ある種現代の幸せの総量を目減りさせて気がしている気がしてならない。
良い、ケセラセラ。