歳の取り方の正解を教えてもらった日
久々に母校の専門学校に行った。お世話になった先生は、髪色が明るくなっていたけど他は何も変わっていないように思えた。
専門を卒業してもう4年も経つこととか、震災から10年も経つこととか、日々バタバタしていたらこんな風に時間は過ぎていて実感が湧かない。
「毎日忙しくて、その日その日のやるべき事を精一杯こなしているなら、それが一番良い歳の取り方だよ」
先生はそう言っていて、なんだかジーンとしてしまった。
あれがしたい、これもしたいって思っていても時間が無くて出来ないのがもどかしい、そんな風に思っている全大人を肯定する言葉だ。
本を読むとか語学を習得するとか、本当はやりたい事がいっぱいあるのに出来ていない私自身も救われた気がした。
専門学校に久しぶりに行ったら、先生も校舎も全然変わっていなくて、卒業したのが何年前だろうと私を含む卒業生たちはきっと変わってないだろうな、なんて、そんな風に思った。
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専門を卒業してからの私は何か変わったのかなって考えたら、全然変わってないと思う。
ていうか、私自身、16歳あたりから何も変わってない気がする。
何事もどっぷりハマっていきなり飽きるところは変わることなく、タイプで言えばずっと塩顔長身イケメンが好きだ。
高校生の時から大好きなチャットモンチーが解散してしまっても、今もなお定期的にハマって聞いている。
「NANA」「花より男子」を読んでは心震えてサイコーーーって思うし、旅行が大好きだし、本屋があったら入ってしまうところも変わらない。
友達と会ってすることも特に変わらず、おいしいものを食べに行ってひたすら喋るだけ。とにかくよく喋る。
服が好きなことも、仕事が楽しくなきゃ嫌なことも、自分に似合う色も、髪質も、変わらない。
変わらないことが、すごくたくさんある。
それなのに、当たり前に歳をとって時間は流れる。
昔ほどご飯を沢山食べられないし、排卵日前の体調がすこぶる悪くなった。
ニキビは出来にくくなったけど乾燥しがちになったし、なんかお腹も出てきた気がする。
タイプの塩顔長身はどこへやら、顔が濃くて身長もそんなに高くない彼氏と仲良くやっている。
邦ロックしか聞いていなかったのに、洋楽にハマったりKPOPも聴くようになった。最近の若い子は何聞くの〜って思うようになった。
大嫌いだった「環境の変化」も、自ら望むようになった。
当たり前なことだけど、変わらないように見えて、ちゃんと変わっている。
「変わった」と「変わらない」が、
2つの真反対の言葉がぴったりハマる自分が、共存していて不思議な気持ちになる。
きっとみんなそうなんだけど、友達も自分も、変わっていないと思い込んで変わっている。
変わるつもりは無いのに、意図せず変わってしまったことがたくさんあるのだ。
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ずっと3月が嫌いだった。
クラス替えも嫌だし、卒業も嫌だった。小中高専門と、全ての卒業式で泣いた。
飽き性なクセに環境が変わることは嫌だったし、仲のいい友達と、居心地の良い教室で過ごす毎日を手放したくなかった。
大人になったら、卒業っていうのは自分で決めるものになってしまって、概念が変わったような変な感じだ。
転職するも、引っ越すも、終わりや区切りというものが3月にやってくる事は無くなった。
自分の好きな時に卒業していいわけだ。
だから、私はもう3月が嫌いじゃない。
卒業も怖くないし、むしろ自ら卒業を求めたりする。
先生が言うように、毎日忙しくて、その日その日のやるべき事を精一杯こなしていたら、気付かずに変化していた私。
ぴちぴちで無敵だった学生時代よりも、可愛く美しい大人になったんだろうか。カメラアプリが発展し過ぎてもう分からない。
歳を取ることって、女性にとってはある意味恐怖でもある。
だけど、変わるも変わらないも受け入れて、気付いたら何年も経って歳をとっていくことが、楽しそうな先生を見ていたらなんだかすごく素敵だと思えた。
「毎日を一生懸命生きて勝手に歳を取って、飽き性でお喋りで塩顔長身イケメンにときめける、ハッピーおばさんになる!」っていう、新しい夢を追加した。
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