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8回デートしたのに付き合わなかったあの人

彼氏の好きな所のひとつに、「言葉選びが上手」というのがある。

付き合う前に「この人嫌な所が全然無いなぁ」と思ったのだけど、理由は多分、コミュニケーションの中で使う言葉がわかりやすいかつ、嫌味が無かったからだと今では分かる。

付き合う人は絶対言葉に気をつける人じゃないと嫌だ!!!なんて思ったことは無かったけれど、今考えれば必然。だって私は、自分の父親の選ぶ“言葉”も“言い方”もとにかく好きじゃない、と常々思っていたからだ。反面教師ってやつ。

自分自身、気を許し過ぎると言葉がキツいと言われることもあって、実はものすごく気を付けている。気をつけているお陰で「嫌な気持ちにさせない言い方するよね〜」と褒めてもらえることもある。ありがたいけど努力の末なのだよ…

どんなに仕事ができても、どんなに根がいい人でも、上から目線な物言いや余計な一言で全てがパァになる事もある。

言葉の使い方というのは、コミュニケーションの上で死ぬほど大事だと思ってるし、それさえ出来てれば正直他の出来が悪くても意外に生きやすい。ということを、どれだけの人が知ってるんだろう??



一年半くらい前に、マッチングアプリで出会って8回もデートをしたのに付き合うに至らなかった人がいた。

自然消滅となったその彼と、なぜ付き合えなかった(付き合わなかった)んだろう…と考えて、「性格の相性が悪かった」「タイミングが悪かった」と色々言い訳したりもしていたのだけど、私は思い出したのだ。

私は彼に対して、「ああ、これは我慢できない」と思った事件があったんだった。

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その彼は私と同い年で当時23歳だった。私は社会人3年目に突入していて、彼は大学院生。誰でも知っている都内の超理系大学の、超理系専攻だった。決して派手では無いけれど、顔とスタイルは好みだった。

私には理系の理の字も無いというか、物理と化学と数学が足を引っ張ってるみたいな成績で、完全に理系とは無縁の人生だったけれど、彼は自分の専攻している分野について小学生でもわかるような説明をしてくれたのでなんとなく分かった。(今は覚えてないけど)

感覚重視な私とは真反対で、理屈で物を考える感じは尊敬したし、「こういう会社に勤めたい」「こうやって生きたい」みたいな話は、社会人3年目の私にとっては「オイオイ坊ちゃん世の中ナメてんのか…?」なんて思う所もあったはあったけど、こんなに頭が良い人なら出来ちゃうのかもね!と切り替えてウンウンと受け入れた。聞くだけだったし、将来像が鮮明にある所もなんか良かった。

そんな感じで第一印象はとても良く、1回目のデートは終えてまた会おうね〜と約束をし、毎日LINEを続けていた。

その後も、2回目、3回目のデートをしたけれど、男女っぽいアクション(手を握るとか、駆け引きっぽいやりとりとか)もなく、なんとなく時間が過ぎて行った。

3回目ってなんとなく何か起きそうな予感のするタイミングだったのだけど、あまりにも何も起きなかった為に少しガッカリする自分がいた。私から多少のアプローチも仕掛けたつもりが、気付いていないようだった。鈍感すぎる。

4回目のデートの約束もしている。すごくコレと言ったアクションは無いものの、好意は何となく感じる。私も、彼のことは好きだと思う。彼はめちゃくちゃシャイで鈍感だ。女の子慣れしてる感じも無い。私はそれもまた良いと思っている。

2人のタイミングで、ゆっくり関係を深めて行こう。

そう思ったのにも関わらず、4回目、5回目、6回目…と日に日に私の彼に対する気持ちはシュルシュルと小さくなっていった。

毎日のLINEも、返すのがどんどん億劫になる。

彼との日々の会話は、知らないことをたくさん教えてくれて、新しい世界が見える楽しさがあったけれど、違和感というか、噛み合わなさを感じるシーンも多々あった。

感覚で話す私は論理的な彼に論破される事もあったし、論破されたところで私は「そんなことどっちでも良く無いか??」といつも思っていた。「その話、難しいから辞めない?」って優しく言った事もある。

「はっ?????」と思う程の難しい専門的な質問をされる事もあったし、デリカシーの無い物言いで「無礼者!!!」ってふざけてる風に怒ってしまった事もある。

まずこの時点で何故頑張ってデートをし続けてたのか?と思うのだが、彼は本当に根はいい人だったのだ。優しい、面白いと感じることも多かったし、私は人の感情を汲み取ってしまう方なので、ある程度の好意も感じていた分突き放せなかった。



ある日彼はLINEでこう言った。

「気を遣うの面倒くさいんだよね」

この発言の真意はわかっていた。話の流れ的にも、シャイな彼が私に対して気を使わなくてラクだ、という褒め言葉だった。

褒め言葉だとわかっていても、シュルシュルと気持ちが小さくなり続けている私は、この発言にモヤモヤしてしまっていた。

なんかなぁ。と思った。

「その言い方は無礼だよ(笑)」と返すと、「いい意味だと受け取って(笑)」と返事が来た。

私は傷ついていた。良い意味に受け取る余裕が無かったんだろう。

6回もデートしても良い雰囲気にもならず、毎日LINEもして、論破されたり意味わからない話をされても、こちらから傷つけないような言い方でケリをつけて、彼の真意を見抜きつつ、自分の意見も角の立たない言い方で伝え続けて、それで、

「気を遣うのが面倒くさい」だと????

モヤモヤが残り続けた私は、7回目のデートの帰りに、お酒の入った彼にこう言った。

「あのライン、すごく嫌な気持ちになった。

わかってるけど、雑に扱われてる感じがしたの。

ああいう時はさ、

”honoちゃんといると素で話せて楽だよ”って言うんだよ?」



付き合っても無いのによくこんな説教じみたことを言ったな、と思う。一応勇気を出して、嫌じゃない言い方を選んだつもりではいたけども。

彼は酔いながらも、「そうか、ごめんね」ととりあえずは言っていた。

私はただ、言い方を選んで欲しかったのだ。誰かにとってはわがままなのかもしれない。だけど、20年以上日本語を喋り続けて、頭も良くて語彙力だってあるはずなのに、どうしてそこでそんなに角の立つ、カド!カド!カド!みたいな言葉を選ぶんだ??と。

結果的に私の真意は彼には届かず、響いていなかったのか酔って聞いていなかったのか、真相はわからないけど8回目のデートで私は「もうダメだ」と思った。

8回目のデートは恐ろしいほどに記憶がない。何も楽しく無かったんだろう。というか気持ちが冷め切っていたんだと思う。

とにかく、お互い好きとか好きじゃないとかそういう話もせず、傷つけ合わずに終わらせよう、と決心してLINEも会話も自然消滅させた。

こうして、8回デートした彼とは終わった。これぞ減点方式!な恋だった。(恋だったのか?)



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もしこの彼と3回目のデート辺りで付き合って、その後にこういう言葉選び問題が発生していたら、彼女として精一杯向き合うなり受け入れるなりしていたと思う。

ただ、付き合う前の関係性の中でこの問題にぶち当たると、もう私はどうしようもない。向き合いきれなかった。彼が悪いわけでは無い。いや、悪い。

ただわかって欲しかった。言い方ひとつで、嫌になること。疲弊したし、傷ついたし、せっかく勇気を出して伝えたものの響いていないなんて「ウソだろ…?」と思う。

今思えば、あんなに会っていたけど「好き」って言われた事とか、せめて褒めてくれた事とか、あったっけ…??無いなきっと。

キラキラな少女漫画を見て育ってきたし、シャイでクールなオトコの魅力もまあわかるけれども。そういうのも確かに好きだけど。

私には抱えきれなかった。
だからこそ、

「髪結んだの??似合うね、おれそれ好き!」と褒めながら好みを教えてくれるのも、

「honoちゃんといると楽しいよ、ずっと話していられるね」と好意を伝えてくれるのも、

最っっっっっ高に楽だ。めちゃくちゃ楽だ。ストレスが無い。
彼氏にはずっとこのままでいて欲しい。

「あなたの言葉の選び方が私は本当に好き!」「さすが褒め上手!嬉しい!ありがとう〜!」

こうやって日々その思いを伝えている。褒め上手の彼を褒めている。

重要視しているからこそ、彼の言葉選びの上手さには日々感謝せざるを得ない。




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