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大丈夫、大人は楽しい

夕食後、アイスを食べようとした妹に向かって母が言う。「ねぇ、今日ちゃんと出た??」

出た?とは、💩←これのことだ。

私には歳の離れた妹がいる。現在8歳の妹は便秘が酷く、「うんちが出た日しかアイスを食べれない」という、とんでもないルールを母に課せられている。

アイス食べたさに頑張って毎日トイレでいきむ妹を横目に、私は毎日アイスを食べている。

「お姉ちゃんは毎日毎日アイス食べれてズルい」

という妹に対して、悪びれもせずに私は答える。

「大人になったら毎日食べれるよ。」


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子供の頃、友達に合わせて「大人になりたくない」と言っていた。

特に何も考えずに、みんながそう言っているからという理由で。

確かに学校の先生も、自分の親も、特別幸せそうには見えなかった。

「子供はいいよねぇ、何も考えなくていいし」とかいうやさぐれた大人にも出会った。

子供は働かなくていいし、自由だと思っていた。何もしなくても大人がお小遣いをくれるし、友達とたくさん遊べる。

大人になったら嫌なことがたくさん待ち受けるのだと思っていた。
やりたくもない仕事をやらなきゃいけないし、
労働は辛いものだと思っていた。


でも、そんなの全て思い違いだった。
今の私はこう思う。

大人の方が1億倍くらい楽しいよ。


中学を卒業して高校生になった時、初めてアルバイトをしてみたけど、特に何も苦痛じゃなかった。多少怒られたこともあったけど、お金をもらえるなら仕方ないことだと思えたし、頑張ったお金で好きなことが出来ることが嬉しかった。

大学進学するかを考えた時、自分が座学が全く好きじゃないことに改めて気づいた。

やりたいことはよくわからなかったけど、何かを作ることが好きだったから、ほぼ直感でデザイナーになる道を選んだ。

服飾の専門学校に入ってからは、週5日学校に入り浸って、土日はほぼバイトに明け暮れたけど、ものすごく辛かったかと言われたらそうでもない。

好きなことだけを学ぶ5日間と、嫌いでもないカフェでの労働と、その隙間を埋めてくれる相性の良い友達や先輩との時間。振り返っても楽しい思い出ばかりだ。

寝る時間がない程の課題とか、精神的に追い詰められた就活とか、確かに辛かったけど、あれはあれで好きなことを過剰にやらされていただけだ。

このタイミングで既に20歳を超えている私は、1人の大人として楽しい生活を送っていた。

専門学校を卒業する時も、「辛い社会人生活が待ってるんだろうな」と思った。

ああ、ここからが「本物の大人=社会人」なんだろう、と。

散々辛そうだった「大人」になってしまうんだ



そうして3年半が経った今。私はどうなっただろうか。


毎日をそこそこ楽しんでいる、超健康的な大人になった。


週5日やりたかった仕事をして、土日は好きな友達と会って、年に数回海外旅行に行っている。

思い立ってジムに通ったり、習い事を初めて見たり、

○万円する服や鞄を衝動的に買ってみたり、

1ヶ月に3回もディズニーランドに行ったり、


こんなことは子供には到底出来ない。



何時に寝てもいい、何時に起きてもいい、何時に何を食べてもいい、家族と暮らしてもいい、一人暮らしをしてもいい、お金を好きなことに使っていい。

どこで働いてもいい、嫌いな友達と遊ばなくていい、学校という選べなくて狭い世界にいなくていい、好きな仕事をしてもいい、嫌なら辞めたっていい、正社員でもアルバイトでもいい。

突然明日アメリカに行ってもいいし、イランに行ってもいい。引きこもってもいいし、一日中寝ても誰にも何も言われない。

勉強をしてもいいし、しなくてもいいし、したくなったらすればいい。

駄菓子を山ほど食べてもいいし、お腹壊すまでアイスを食べてもいい。1人で焼肉を食べてもいいし、好きな友達を集めて大勢でパーティーしたっていい。

恋人がいてもいいし、いなくてもいい。家族がいてもいなくても、自分1人でも、生きていければ、それでいい。


大人って、子供よりも

遥かに自由で楽しい。


無限の選択肢の中で、自分の好きなものだけを選んで、その先にある未来は自分以外の誰にも責める権利が無い。
これは捉え方によってはすごく怖いことでもあるけれど、すごく自由で幸せなことでもある。

だれにも縛られないのは、本当に自由なのは、
子供ではなく大人だ、絶対に。


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子供の頃に勝手に思い込んでいた大人像とはかけ離れた大人になった。

こんな風に言えるのは私の性格や、たまたま運が良かっただけかもしれない。

病気になってしまったり、後戻りできないような不幸が待ち受けているかもしれない。今後の未来はわからない。

だけど私はやりたく無いことや、合わない人から離れる努力を何よりもしてきたと言えるし、

取捨選択の中で好きなものだけを見極め、選んできて今がある。

間違いなく自分のことに責任を持ってここまで来たし、これからもそうしていくつもりだ。


どんなに残業があっても、給料が安くても、自分の生活に見合ってさえいれば今したい仕事をするのが良い。それは私の価値観で、それを誰にも否定する権利はない。

辞めたくなったら、ほかにやりたいことが出来たら、驚くほど簡単に辞めるだろう。
それが許されるのが大人であって、頑張るのも
辛いのも、その先に楽しいが待っているのも私次第だとわかっているから。

8歳の妹にはこれからも好きなことだけをしているお姉ちゃんを見せていく。

「お姉ちゃんはいいなあ」と言われれば「大人だからね」と言うし、

「学校が辛い」と言い出したら「大人になったら好きな所だけ行けるようになるよ」と言う。

「大人になったら、うんちが出なくてもアイスが食べれるし。」



「大人は辛い」の呪いは絶対にかけてあげない。

辛い大人になるか、幸せな大人になるかは必ず自分で決めていけるし、

「大丈夫、大人は楽しいよ」と、身を持って私が教えてあげる。


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