集客とブランディング
いつか役に立つ日がくるといいなと思いながら書いてみます。
随分前に40歳を超えましたが、今になってブランディングについてもっと勉強しておけばよかったなと感じます。
世の中の商売ってほとんどが集客とブランディングがしっかりできれば攻略できると思います。
しかし実践はおろか、そうした意識を持って取り組んでいる商店や企業、団体はもの凄く少ないなとも感じます。
集客ができる物や人はそれ自体に価値があります。販売や飲食といった仕事をしたことがある人にとってはよく理解できると思います。来店客数が増えれば売上げも上がりますからね。
芸能人だってそうです。この人が出演すれば視聴率が伸びるとか、会場に人がたくさん集まるとか、そういう効果があることに大きな価値があります。
お客さんが来なければ商品を売ることはできません。
お客さんが来なければ宣伝することもできません。
お客さんが来なければ色んな商品やサービスを見てもらうことすらできません。
つまり、お客さんがいなければやっていないのと同じなんです。
それは、どんなに革新的でクオリティが高くて、この世にふたつとない奇跡的なものであったとしても、知られていなければ世の中的には無いに等しいということです。
私は、商売やサービスを開発・展開している人であったとしても、ここの理解度があまりにも低いなとよく感じます。
とにかく見てもらう、ひとつでもいいから、なんでもいいから買ってもらう、ひとりでもいいから接点をもつ、とにかく知ってもらう、貪欲に人集めのことを考えてコツコツと続けることが集客力を高めていくと思います。
もちろんTVCMをうつ、デカい広告を駅や街の見られやすいところに出す、人気芸能人を起用してPRする、などすれば効果は大きくなるかもしれませんが、そんなの一部の企業しかできませんし、一時的には爆発力はあるかもしれませんが継続させるのは大変です。
業種や商品により集客の手法は異なりますが、そもそも集客がない時点でそのサービスや商売は失敗しているという認識は必要です。
ここからは私自身の体験談になりますが、私はかつて大阪でお笑い芸人をやっていました。まだ20代前半のときです。
そのときは事務所に所属せず、お笑い集団みたいなところに入っていました。いわゆるフリー芸人ってやつです。
集団に参加しているメンバーは、当時難波にあった古い演芸場に集まってはネタを考えたり練習したりしていました。もちろんそこでお客さんを呼んだ寄席(今風にいうとお笑いライブw)もしていたのですが、お客さんが1人とか2人とかがザラでした。
先輩たちはそれが当たり前状態で、また今日もひとりやったなーハッハッハッ!てなもんで、とくに問題視していませんでした。むしろ武勇伝くらいの勢いで話していましたね。そんなの寄席でもライブでもなんでもないです。というか、そもそも集客をしようとしていなかったんです。
私は単純に大勢のお客さんの前で漫才をしたかったので、なんとか人を集めようとしました。
当時はインターネットなんてありません。携帯電話の普及も程遠い時代です。
そんな中、なにかできることはと思ってやったのが、とにかく知っている人に片っ端から声をかけて手売りすることでした。
そのお笑い集団に参加している全員がひとり10人は連れこよう!というものです。出演者は10人前後はいたと思うのですが、ひとり10人連れくるだけで100人集まります。
知り合いを呼ぶことに抵抗を覚える人は必ず出てきますが、私はそのとき「自分の知り合いであってもほかの出演者の知り合いではない、ほかの出演者にとっては大切なお客さんになる」と周りのメンバーに言いきかせていました。
20代くらいの人間でも、普通に生活してれば友だちやバイト先の人などちゃんと考えれば10人くらいは当たれます。家族や親戚だって近くに住んでいれば誘えます。
たとえ、今回来てくれなくても次回、次回来てくれなくてもその次、いつかは絶対来てくれます。だって知り合いなんだから。その辺歩いてるなんの関係もない人よりは断り難いし、なにより知り合いが頑張っていると思えば、普通の関係なら応援しようとも思います。
そうしているうちに、次第にライブに来てくれる人が増えました。最初はやっぱり5人とか。こっちとしては1人~2人から5人になれば倍以上集まったことになるので、めっちゃ嬉しいんですが、お客さんとの距離感が近すぎたり、お客さんもちょっとどうしていいか分からない感じになっちゃうので、5人~10人くらいだと気まずさのほうが強かったりしますw
でも、だんだんと増えていきました。当時の記憶はあんまり鮮明ではないですが、私自身はそんなにめちゃめちゃ頑張ったとか、めちゃめちゃ押し売りしたとかって意識はないです。
バイト先でも、いついつライブあるんでよかったら来てくださいよ、って言うくらいです。そのバイト先の男性の店長がわりとノリノリで最初の頃(気まずさがある頃w)から、用事がなければ来てくれていましたね。
そういう人もいるんです。声をかけるだけで来てくれる人が意外といるんです。だから、やらないともったいないんです!
結局、私がそのお笑い集団に所属して最後のライブをやったときは、演芸場が満員になりました。立ち見にもなりました。ほんとに100人くらいは集まっていました。みんながきちんと10人集めた結果です。
たくさんの人に見られることによって、出演者もステージ自体も緊張感が生まれました。大喜利をやっていても下手なことはできない(実際は下手だったとは思いますw)とか、漫才のネタを間違えてはいけないとか…
お客さんが1人~2人のときはネタなんて飛ぼうが間違えようがお構いなしでした。出る順番も適当です。いつ誰がなんのネタをするのか自由でした。信じられない状態でした。
それが、人が集まって見られることによって、ちゃんとしなければいけない、失敗しちゃいけないという意識に変わります。
人が集まることによるパワーは色んなところに現れます。自分たちの意識改革やクオリティを上げる原動力としても集客はとても重要なんです。
結局、私はそのお笑い集団の主宰や先輩からよく思われなくなって自らその集団はやめて、のちにNSCに行くことになりました。その後、その集団がどうなったかは一切知りません。
お笑い芸人としては成功しませんでしたが、あのときの体験は私の中でのひとつの成功体験だったかもしれません。
人を集めることは凄く大変です。でも、それ以上に凄く重要です。繁盛しているお店も、人気の芸能人も、ディズニーランドだってそうです、集客力があるという確固たる強みが大きな価値になっています。
そして、ブランディングです。これは、先ほどの私のお笑い集団でのライブでもそうですが、次第にお客さんが増えていく中で、毎回来てくれる人が現れます。つまり、常連さんです。そしてその常連さんも少しずつ増えていきます。
一度足を運んでくれたお客さんにリピートしてもらうためにはどうしたらいいか?それを考えていくとブランディングにつながっていきます。
ブランディングというとちょっと敷居が高く感じますが、ようするに満足して帰ってもらう、次も来たいと思わせるためにすることだと思えばいいです。
お客さんによって見ているところや価値観は全然違います。おもしろくなかったとしても、予想以下の出来栄えだったとしても、応援したいからまた来るわ!と言ってくれる人もいます。逆に、1回来て期待していたものと違うから落胆してもう2度と来ないという人もいます。
たとえば、販売や飲食などのお店、つまり接客する場所では、店内の掃除やお客さんへの言葉づかいはどこでも気にすると思います。それは単なる「接客業の常識」ではなく、ブランディングにつながっているからです。
ホコリっぽいお店より、綺麗で整理整頓されているお店のほうがいいですよね。
タメ口の店員より、丁寧に話す店員のほうがいいですよね。
ムスッとしてたり常に無表情の店員より、笑顔の店員のほうがいいですよね。
ネット通販でも、メールのやり取りで丁寧さや誠実さって伝わりますよね。
今日は在庫ないけど、2日後に入荷するので取り置いておきましょうか?入荷次第連絡しますよ?と言ってもらえたら嬉しくないですか?
たとえ、接客がヘタでも、ミスをしたとしても、心からありがとうございます!申し訳ありません!と言えば気持ちは伝わります。
相手にまた来てもらいたい、相手をできる限り落胆させないようにしたい、という思いで接したり情報を発信していくことでリピーターになり、それがブランディングにつながっていきます。
ゴミが落ちていたら拾いましょうよ、備品が壊れていたら直しましょうよ、蛍光灯が切れていたら取り替えましょうよ…
そういう当たり前であろうことができていない人やお店、施設がめちゃめちゃ多いです。逆にいえば、できていないからそこをやるだけで、あそこのお店はきっちりしていると思われやすくなるんです。チャンスです!やらないともったいないんです!
東京ディズニーランド・ディズニーシーではパーク内にゴミが落ちていないことは有名です。私も何度か訪れていますが、目立ったゴミは落ちてないですし、かなり昔の話ですが開園直後のほとんど人がいないときにパーク内をざーっと歩いたときに本当にゴミひとつ落ちてなかったのを確認したことがあります。
あんな広大な敷地でゴミがひとつも落ちてないです。普通のお店、いや結構デカい商業施設であってもディズニーの敷地にはまず満たないでしょう。結局、そこなんです。落ちているゴミを徹底して拾うことで差別化され、ブランディングにつながります。
たったゴミ拾うだけでいいんですよ。やらなきゃもったいないんです!
たぶん、集客やブランディングっていうとみんな難しく考えたり、企業としてこう取り組む!みたいな指針がないとできないものだくらいに思っている人が多いかもしれません。
しかし、個人でできるレベルのことってたくさんあるんですよね。むしろそういうのの積み重ねや継続が大切なんだなと思います。
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