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【理系脳で考える経営】経営で陥りがちな3つの罠と、その打開策

TAKAです。経営の話をすると、議論が白熱することがよくあります。私の周りでも頻繁にそうなっていますが、ついつい陥りがちな「罠」があると思っています。テーマが重要であればあるほど、白熱すればするほどです。今日はそんな経営における「罠」について考えてみたいと思います。

よくある経営会議での会話

社長A:いま、当社にはXYZという課題が生じている。なんとかこれに向けて打ち手を考えて、早期に実行し、さらなる成長に繋げていくべきだ

役員B:是非関係するメンバーを集めて、議論しましょう。主な論点はPQあたりだと思います。当方の部署でも議論をしているので、もう少し詳細を詰めて報告させてください

社長A:ありがとう。この課題解決には全社を挙げて取り組んで欲しい。社内の全てのリソースを使ってでも、よりよい解決策を提案してくれ

こういう感じの議論、身に覚えありませんか。全く違和感ないように見えるんですが、自然と「3つの罠」にハマってしまっています。

経営議論の「3つの罠」

いきなり結論ですが、以下の「3つの罠」です。会社で議論をしていると、経営陣を含めた当事者の中で、以下のような「罠」にハマって議論をしてしまうのです。

1)議論しようとしている課題が無意識かつ先に特定されていまっている(=議論している内容自体が本質的なポイントではない!)

2)課題に対する論点や解決策の方向性が限定されてしまっている(=勝手に延長線上の議論にとどまったり、狭い視野で考えてしまっている!)

3)現場の限られたリソースが(無意識に)前提条件になってしまっている(=リソース[プロダクト、メンバー、経営チーム、資金余力等]を前提に考えてしまって、問題解決の議論にもなってないし、リソースありきでは解決できない!)

こうなると、実際に議論されている課題よりもより上位の課題が見落とされてしまいます。また、解決方法も手持ちの札(=リソース)を使った局所最適に陥ってしまいます。

この「3つの罠」が大変恐ろしいのは、当事者がなかなか気づきずらいことです。森の中で、正しい道を進んでいると信じながら、実はジャングルを彷徨ってしまうことになるのです。登山で遭難してしまうように。

典型課題に潜む「罠」の実例

具体的な事例の方がイメージが湧きやすいと思うので、いくつか列挙してみます。

・ 課題はプロダクトのUI/UXだと考えていたが、そもそも戦う市場・狙う顧客を間違えていた

・ 課題は営業効率(=生産性が低い)ことだと思っていたが、そもそもプロダクトの出来が十分ではなくPMFしきっていなかった

・ 課題はブランディングや認知の問題だと思っていたが、そもそも営業がプロダクトの価値を訴求しきれておらず、顧客が価値を理解しきれていなかった

・ 課題はプロダクトの機能だと考えていたが、そもそも価格設定が間違っていた

・ 課題は組織間の連携が十分取れていないことだと考えていたが、そもそも組織の分け方・権限移譲・KPI設定が間違っていた

・ 課題は、経営メンバー・従業員の質の問題だと思っていたが、成長を加速するに十分に投資ができていなかった

・ 課題は、戦略が未熟であることが理由だと思っていたが、そもそも実行する経営メンバーの質が十分ではなく、実行力や戦術面が不足していた

そろそろやめます(笑)この手の実例はいくらでも挙げられます。こういう経験って、経営者ならいくつも思い当たるのではないでしょうか。こんな状況に直面した際に、「3つの罠」にハマりやすいのです。

逆算思考という理系脳で経営を考えてみる

まず理系脳とか逆算思考って何の話だ、と思った方のために少し解説をしておきます。私、研究者やエンジニアをやっていたこともあり、良い意味でも(悪い意味でも)結構な理系脳者です(笑)。

いわゆる最適化問題を解く際に、ニューラルネットワークというのがあったのですが、昨今AI関連のテクノロジーを見ているとよく使われているあれですね。参考までにwikipediaの該当箇所を貼り付けておきますが、最適解を導くためのアルゴリズムです。

<ニューラルネットワーク>
ニューラルネットワークはシナプスの結合によりネットワークを形成した人工ニューロン(ノード)が、学習によってシナプスの結合強度を変化させ、問題解決能力を持つようなモデル全般を指す。狭義には誤差逆伝播法を用いた多層パーセプトロンを指す場合もある。一般的なニューラルネットワークでの人工ニューロンは生体のニューロンの動作を極めて簡易化したものを利用する。
ニューラルネットワークは、教師信号(正解)の入力によって問題に最適化されていく教師あり学習と、教師信号を必要としない教師なし学習に分けられることがあるが、本質的には教師なし学習と教師あり学習は等価である。

難しいことは理解いただく必要はなく、ポイントは、「正解から逆算的に考える」ということです。この逆算思考で考えるのが理系脳の人は得意だったりすると思います。

逆算思考で考えると、以下のような会話になります。役員Bが理系脳の持ち主だとして読んでください。

社長A:いま、当社にはXYZという課題が生じている。なんとかこれに向けて打ち手を考えて、早期に実行し、さらなる成長につなげ気いくべきだ

役員B:確かにこの課題は何とかしないといけません。打ち手を考える前に、課題を解決した後に、どういう状況になっていることを目指すべきでしょうか。

社長A:それはどういう意味だ?

役員B:この課題は、本質的な課題の氷山の一角、枝葉かもしれません。抜本的な課題を特定し、そこから解決していかないと良い結果が得られない可能性があります

社長A:確かにそれはそうだ。ただ、なぜ課題の解決方法を議論するのではなく、目指すべき状況を議論する必要があるのだ?

役員B:それは本質的な課題をしっかりと炙り出すためです。正解(=ゴール)を明確にし、そこに向けて何が欠けているのか、どうすれば正解に近づけるのか、考えることで関連する様々な課題が見えてくると思います

社長A:なるほど、そういうことか。時間は限られているが、その方向で進めよう。頼りにしている、課題が出てくれば前者的にトップダウンで動かしていくことも出てくるだろう。その際は遠慮なく私を巻き込んでくれ。しっかりと課題に対峙して、打つべき手を打っていくようにしよう

こういう議論ができる会社は強いと思います。局所最適ではなく全体最適解を導ける。それだけに留まらず、そもそも正しい課題設定をできる可能性は飛躍的に高まります。

とはいえ、課題設定を間違えないことは、この逆算思考法だけでは回避できないです。他の方法については、また別の機会にnoteしてみたいと思います。

カバー写真
とある田舎の古い建物がある場所で撮った水瓶です。なかなかこういうきれいな水瓶がメンテナンスされて置いてある家も珍しくなってきました。きれいに水がはられて良い雰囲気でした。
水鏡に映るものが正しいとは限らない、その先に見える道も一本道に見えますが、本当に正しい道とは限らない。

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