見出し画像

「幸せ」になるための未来のエッセンス

TAKA(@Murakami_Japan)です。今日は少しゆるふわなnoteを書いてみようと思います。そういう気分になったのは、普段滅多に読まない本を読んだ後だから。少しインプットをもらったので、思考やアウトプットがしたくなりました。

読んだ本は「予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ」という日立製作所フェロー、株式会社ハピネスプラネットCEOの矢野和男さんが書かれた本です。

どんな内容の本だったか

矢野さんの知識の幅の広さを反映してか、もの凄く多様な視点や内容から語られた本で驚きました。基本的にはタイトルが示す通り、これからの社会のあり方、人の生き方について考察し、示唆を与えようとする内容だったと思います。

そのために触れられているのは、社会、企業の職場環境、人間関係、幸せの定義、労働生産性、AI、データ活用、資本主義、格差社会、統計学、物理学、多様な観点や視点が盛り込まれていました。300頁を超える大作(もっと書きたいことはあったはずですが出版の都合で削り落としたように推察します)となるのも頷けます。

これを読むと人が「幸せ」になるためのエッセンスが見えてきます。いくつも大事なことが書かれていましたが、私の印象に残っている点を抜粋しておくと:

・未来が予測不能であることは当たり前で、予測可能であるという前提置くことが都合が良い場面が多いだけであり、都合を実態と勘違いしてはいけない

・ルールや標準化は効率性を高め、物事をスケーラブルにするが、一方明確なデメリットが存在し、今後はデメリットが大きくなる点を認識しなければいけない

・20世紀は工業化の時代であり、過去から学んだことを取り入れたり、標準化することで肉体労働を置き換える生産性の向上が実現できやすい時代であった

・格差が生まれるのは自然なことであり、平等=格差がないわけはなく平等であっても格差は生まれる

・格差は生じるが格差を拡大させるのは、その連鎖によるものであり、連鎖を断ち切る仕組みを考えることで格差は緩和できる

・幸せとは一個人の一つの視点ではなく多様な視点から測られるものであり、かつ静的な状態ではなく動的なもの

・変化を前提としない仕組みやルール、教育から、変化を前提としたものへ置き換えていく必要がある

共感したこと

矢野さんと私の共通点として改めて感じたのは、根っからの理系人間であるにもかかわらず「人」に興味があるということでしょうか。加えて、単一的な学問や分野には意味がなく、それを横断し、融合し、統合していくことに大きな可能性と価値があると明確に感じながら実践していることも大きな共通点だなと思いました。

勝手ながら、なぜそう思うのかというと、矢野さんの場合は半導体、私は宇宙とやってきた時間や内容、結果は異なると思いますが、共通してある種の敗北感や閉塞感を感じ、その上で全く違う世界へ足を踏み入れて、その後、前に進みながら色々なものを吸収しながら今の思考や行動につながってきた方だからこそと推察しました。

その上で「この100年が特殊であった」ことを明確に自覚し、これからはそのルール自体を変えていく必要性、そうしなければ今後のより良い発展があり得ないと痛感していることではないでしょうか。全く同じような感覚があります。

さらには、物理学と経済学を行き来しながら、物事を思考されている点も共通した考え方の基盤にあるのを感じて、なるほどやはりそうかと勝手に共感をしました。

考えたこと①: 何が予測不能なのか

確かに矢野さんが指摘されるようにいつコロナがやってくるかなど予測不能だし、日々予測できなかったことは大量に発生していることは事実です。そうして、そういう事態に対応していくためには、変化を前提とした仕組みが必要なのは完全に同意するところです。

ただ、一方で長期的に向かっていく方向性で一定予測が可能なものもあるはずです。ここままでは日本の労働力人口が減っていくだろう、このままだと大気汚染が進むだろうということは実は予測ができます。そうして、どういう未来を目指すのかという目標やミッションは決めていけるはずです。

ただ、その過程でその通りに進まないことは当然に起きるので、予測したものが正しいと信じてそれ以外の備えをしないと、結局は物事は良い方向には進まないのだろうなと思います。すべてが予想不可能だと思い込み過ぎることもよくないので、この辺りの仕訳はしっかりしていく必要があるなと考えました。

考えたこと②: 変化に強いルール作りとは

ルールがないと無秩序になりかねません。変化に強いルール作りとはどのようなものでしょうか。やはり一人一人の教育水準を引き上げていくことが必要なのだと思います。それや矢野さんが指摘されるような変化に強い「易」を取り入れた教育なのでしょう。

私の著書「サステナブル資本主義」でもルールの功罪、そしてどうやってそのルールを作っていくのか別のアプローチで触れていますが、いずれにせよどうやって実現していくかが重要なテーマになるのだろうと思います。

考えたこと③: 定量的な目標の必要性

矢野さんは人の「幸せ」を定量かすることで、社会のあり方や企業組織運営など、多くの場面の効率性や生産性を引き上げ、物事を正しい方向に導いていける可能性があると考えられていると思います。「幸せ」が動的なものであるとして、ある種の変化をモニタリングしていくものだとすると、もう一つ目標設定として長期的ないわゆるゴールとなるようなものも同時に必要だとあらためて再認識しました。

国家も企業もそうですが、ミッションや長期的な目標をいかに共感性を持って導き出せるか、その羅針盤に従って航海をしていくために人の「幸せ」という大きな方向性を示す定量的なKPIがモニタリングできる意義は大きいと感じます。

最後に

私も僭越ながら「サステナブル資本主義」において、全く別の視点、別のアプローチで未来の社会のあり方について論じています。面白いなと思ったのは、やはり未来のあり方を論じるためには、単なる経済学や統計学といった閉じた世界で議論をしていても仕方がないということでした。

また、「人」に着目した形で未来の社会を議論していく必要があるということ、歴史的にみても、社会的にみても、この100年が特殊であって、今大きくルールチェンジ、ギアチェンジが必要な時代が来ているということを、矢野さんの本からも感じました。

矢野さんの「予測不能な時代」を興味深く読まれた読者、また興味を持っている読者の方には、きっと私の著書である「サステナブル資本主義」も興味を持って、共感を持って読んでいただけるのではないかと思います。

最後は宣伝になってしまいましたが、矢野さんの本は様々な知識や過去の偉大な論文や考えに裏打ちされ、まとめられた本なので大変素晴らしいですので、是非手に取って読んでみてください。また、よければ合わせて私の本も読んでいただけると嬉しいです。

初の著書「サステナブル資本主義」祥伝社9月30日発売、絶賛予約受付中
www.amazon.co.jp/dp/4396617658

追伸)カバー写真の犬は昔、ロンドンに住んでいた頃に撮影したものです。写真が好きなくせに、完全なピンボケ写真なのですが、あまりに可愛いので急いで撮影したので完全に撮り逃したました(笑)それでもあまりにも可愛いので消さずにとっておいた写真です


面白いnoteあったよって、友人に紹介ください。励みになります。