チョコレート

チョコレート

記事一覧

実らなかった恋

とうに終わった夏の恋をポケットからたまに取り出して、「何がいけなかったんだろう」と思うけど、最初から何も間違いはなかった。結末は決まっていた。 だって、連絡を取…

青春を

今取り戻している最中。夕刻。駅は学生でごった返す。改札横のファミマの前で抱擁しながら笑顔の高校生カップル。 私はそんな青春を知らないから。女の子の方が集団レイプ…

2

ミズキ

「あ、晴れた」 君が呼んできた雨雲だったけど、6月の空は降って、そして止んだ。 「もう来年までしばらく来ないね」 キャンバスには子どもが描いた向日葵。 「ご飯で…

生まれ変わった私を

あなたに見て欲しい。 あなたに会いたい。 生まれ変わったあなたを見ていたい。 あなたに会いたい。

甲子園に出場している高校生を見て

「大人っぽいな」「大人だな」と思っていた時期があったように、電車乗ったときに同じ車両にいる人たちを見て「若いな」「自分にもあんな時代あったな」と思う日が来るんだ…

1

何もしない、をあえて、選ぶ。

うだるような暑さの夏の日の午後。錦糸町の喫茶店を出たあとすぐに銭湯へ向かおうとしたがやめた。喫茶店の窓から見えた公園で涼むことにしたのだ。 公園で何かするわけで…

1

大前提の話。

諦めないことは大前提で、強く思い続けるだけでは不十分で、動かないことには何も今の、目の前の状況は変わらないってなんで誰も今まで教えてくれなかったの。

薄暗い漫画喫茶で

向き合った男が、マスクを外した私に向かって言う「可愛い」と。聞きなれたような言葉、言われて嬉しいような、素直に受け取れないような響き。その言葉はきっと、アイドル…

どこに向かって

何を焦って、私は何になりたくて、誰の助言に従えばいいのか、ずっとずーっと分からないまま。それは年をとっても同じ。永遠に自分がやっていることが正しいのかどうかなん…

私が夏を感じるとき

・蝉の声が聞こえ、やがてそれが耳につくように四六時中BGMになったとき ・買ったセブンイレブンのアイスコーヒーが汗をかいているとき ・風呂上がりにふいてもふいても…

6

生きる目的を

ベッドの下、コップの中、JR新橋駅の空、会社にある自販機で落ちてきたペットボトルのお茶を拾ったその手の周り、初めて行った高柳駅のホーム、乗りこんだタクシーの席、住…

人生は同胞探しのゲーム

僕等はいついなくなるか分からない恐怖や孤独と戦いながら、共に熱狂できる仲間を探す旅に出ている。 やりがいとか生きる意味とか色々ある中でやっぱり誰かに認められたい…

高いビルに囲まれた都会の街を歩いていると

自分の脳天を突き刺さすが如く人が落ちてくるんじゃないか、と思うときがある。そんなことはそうそう起こらないと分かっていながら。 「歌舞伎町を歩くときは上を見て歩け…

春馬君は永遠に、凡人の死は知られもしない

春馬君の訃報に、国境を越えた海外のファンまでテレビの前でうずくまり突然の別れにむせび泣く。 これからを期待されていた人気若手俳優の突然の死。 ファンでなくとも彼…

気持ち悪い

ラインのプロフィール写真にしている、飼っているペットの犬とその犬の目。カメラ目線。写真を撮るために、我が子を一番可愛く撮るために仕立て上げられたその場の空気感、…

共犯

点で光を放っていたかつての彼女。指でつんと押してみても動じない、芯からしなやかな存在。 凛とする。そこには風が通っている。吹いているその匂いが私は好きだった。大…

実らなかった恋

とうに終わった夏の恋をポケットからたまに取り出して、「何がいけなかったんだろう」と思うけど、最初から何も間違いはなかった。結末は決まっていた。

だって、連絡を取らなくなった、たった2日で「あ、平気だわ」と思ったよ。もう私に君は必要ない。

二人の通過点に過ぎなかった。君のために流す涙はもうない。

不眠で死にそうになっていたとき、「私が見てみたい」と言ったから、きみはかけたこともない眼鏡をかけて

もっとみる

青春を

今取り戻している最中。夕刻。駅は学生でごった返す。改札横のファミマの前で抱擁しながら笑顔の高校生カップル。

私はそんな青春を知らないから。女の子の方が集団レイプに遭ってこれ以上、青さを体感できなくなればいいのに、と思った私の心。

目に見えるものが全てではないのに、全てに見えるからすごく、すごく苦しい。

なんで?

悔しい羨ましいキラキラしているような感じ。

あの時、同じ風景を見れていたら、

もっとみる

ミズキ

「あ、晴れた」

君が呼んできた雨雲だったけど、6月の空は降って、そして止んだ。

「もう来年までしばらく来ないね」

キャンバスには子どもが描いた向日葵。

「ご飯できたよ」

今まで人一人の人生を歩んできたけど、これからは人二人の人生も歩む。

空飛ぶBMWであの時彼女を生かした川も、通天閣も、沖縄の珊瑚礁だって見えるよ。

「今日は猫毛も纏ってみようか」そんな日々が続いていきますように、と。

もっとみる

生まれ変わった私を

あなたに見て欲しい。

あなたに会いたい。

生まれ変わったあなたを見ていたい。

あなたに会いたい。

甲子園に出場している高校生を見て

「大人っぽいな」「大人だな」と思っていた時期があったように、電車乗ったときに同じ車両にいる人たちを見て「若いな」「自分にもあんな時代あったな」と思う日が来るんだろうか。

何もしない、をあえて、選ぶ。

うだるような暑さの夏の日の午後。錦糸町の喫茶店を出たあとすぐに銭湯へ向かおうとしたがやめた。喫茶店の窓から見えた公園で涼むことにしたのだ。

公園で何かするわけでもない、ただぼさっとベンチに座り込んで前の噴水の周りにたかる人間を観察する。

考えてみれば、地元にいたときなんか、行きたいところに行けなかった。もちろん子供だから親の許しを得ないとものを買ってもらえない、学生だったから校則の決まりでアル

もっとみる

大前提の話。

諦めないことは大前提で、強く思い続けるだけでは不十分で、動かないことには何も今の、目の前の状況は変わらないってなんで誰も今まで教えてくれなかったの。

薄暗い漫画喫茶で

向き合った男が、マスクを外した私に向かって言う「可愛い」と。聞きなれたような言葉、言われて嬉しいような、素直に受け取れないような響き。その言葉はきっと、アイドルやモデルに対して言うニュアンスとは明らかに違う。そういう美人や綺麗に無縁の生き物なので。

全く違う意味合いで無責任に言い放たれた言葉はその空間だけで通用し、特にこれといった大きな意味を持たない。言われていないけど「(想像していたより)」「

もっとみる

どこに向かって

何を焦って、私は何になりたくて、誰の助言に従えばいいのか、ずっとずーっと分からないまま。それは年をとっても同じ。永遠に自分がやっていることが正しいのかどうかなんて分からない。

誰の言うことも聞けないまま。

私が夏を感じるとき

・蝉の声が聞こえ、やがてそれが耳につくように四六時中BGMになったとき

・買ったセブンイレブンのアイスコーヒーが汗をかいているとき

・風呂上がりにふいてもふいても顔の毛穴という毛穴から汗が噴き出すとき

・洗濯物が乾くのが早くなった時

プール帰りの小学生の集団が私の前を通り、腕時計の短針は午後2時を指す。コンビニで買ってきたアイスとコーラで、クーラーをがんがんにつけていたらお腹を壊すも懲りな

もっとみる

生きる目的を

ベッドの下、コップの中、JR新橋駅の空、会社にある自販機で落ちてきたペットボトルのお茶を拾ったその手の周り、初めて行った高柳駅のホーム、乗りこんだタクシーの席、住んでるシェアハウスの屋上、社用PCのスクリーン、玉川中学校温水プールの水中、開いた傘、精神科で書かれた診断書。

探しているけどどこにも私の生きる目的、何故生きてどこに向かっているのか答えは書かれていない。

どうか、誰か教えて。私をこの

もっとみる

人生は同胞探しのゲーム

僕等はいついなくなるか分からない恐怖や孤独と戦いながら、共に熱狂できる仲間を探す旅に出ている。

やりがいとか生きる意味とか色々ある中でやっぱり誰かに認められたいし、他者を通して自己を確認する作業を止めない。

高いビルに囲まれた都会の街を歩いていると

自分の脳天を突き刺さすが如く人が落ちてくるんじゃないか、と思うときがある。そんなことはそうそう起こらないと分かっていながら。

「歌舞伎町を歩くときは上を見て歩け」と某週刊誌に書かれているのはまさに、ホストやキャバ嬢が頻繁に飛び降り自殺を図るからだそう。

「降らないで」と思いつつ、夜の空を飛んだ命や人のことを想う。

春馬君は永遠に、凡人の死は知られもしない

春馬君の訃報に、国境を越えた海外のファンまでテレビの前でうずくまり突然の別れにむせび泣く。

これからを期待されていた人気若手俳優の突然の死。

ファンでなくとも彼の名は知っている、有名な作品に何度も出ていることも。

クローゼットの中で首を吊った状態で見つかる場面さえ、映画かドラマの中のワンシーンかと思う、何かのセットか演技か。

凡人の孤独死と彼の死と何が違う。

有名人であれば死を取り上げら

もっとみる

気持ち悪い

ラインのプロフィール写真にしている、飼っているペットの犬とその犬の目。カメラ目線。写真を撮るために、我が子を一番可愛く撮るために仕立て上げられたその場の空気感、犬の雰囲気諸々「どう?私のペットが一番可愛いでしょ」と言わんばかり。

犬は犬。そのままで可愛い。どこに糞をしても、こちらの言うこと一切聞かなくても、KYに寝ても、当方の指を噛んでも、生きていて息をしていて生命そのものの存在がキュートなのだ

もっとみる

共犯

点で光を放っていたかつての彼女。指でつんと押してみても動じない、芯からしなやかな存在。

凛とする。そこには風が通っている。吹いているその匂いが私は好きだった。大切に、大事に、どうかお願い、彼女は。

でも、いつの間にか時間と人とにがんじがらめのみこまれのみこんで、声が聞こえなくなって、そこには手を伸ばした轍が残る。彼女は殺される。

私は知らない。11ヵ月だからしょうがない。

私は知らない、見

もっとみる