共犯
点で光を放っていたかつての彼女。指でつんと押してみても動じない、芯からしなやかな存在。
凛とする。そこには風が通っている。吹いているその匂いが私は好きだった。大切に、大事に、どうかお願い、彼女は。
でも、いつの間にか時間と人とにがんじがらめのみこまれのみこんで、声が聞こえなくなって、そこには手を伸ばした轍が残る。彼女は殺される。
私は知らない。11ヵ月だからしょうがない。
私は知らない、見ていない、レイヤーの底にいるから、平らだもんね。
私は知らない、見ていない、分からない、ふりをする。
凛とした。そこには風が通っていた。吹いたその残り香が私は好きだった。大切に、大事に、どうかお願い、彼女は。
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