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アップルのロゴを見ると創造的になる

Appleのロゴを見ることで独創的なアイデアが浮かんできやすくなるという趣旨の論文を読んだのでメモ(1)。

創造性に関する過去の文献を見てみると,身を置く場所や行動が独創的な考えを生み出せるのかを左右することが明らかになっています。具体的な研究の例を挙げると以下の通りです。

・少し暗い場所では独創的な考えがしやすい(2
・天井が高いと創造的なアイデアが思いつく(3
・大きな動きは創造的な思考を促進する(4

今回紹介する論文は部屋の天井の高さによって創造的な思考を促進することを教えてくれます。

2008年にウォータールー大学のグレイニー・ウェッシモンズらが企業のロゴマークを事前の情報として与えることで創造性が変わるのかについて調べるために実験を行いました。

実験の対象となったのは,大学生341名でした。

実験参加者はランダムに2つのグループに分かれ,PC画面上に出てくる数字(0-13)を全て足し合わせる課題をおいてもらいました。その2つのグループには,数字が出される間にほんの一瞬の間提示される企業のロゴに違いがありました。

<グループ1>
Apple

<グループ2>
IBM

その後,普通の用途とは違う方法を考える創造性課題を解いてもらい,グループ間の得点の違いを比較しました。

実験の結果,Appleのロゴを見た場合にはIBMのロゴを見た場合と比較して創造性課題の成績が良くなりました。

本実験の基となった実験1ではAppleとIBMのブランドに対するイメージとして以下の2つの指標でAppleがIBMよりも評価が高いという結果を報告しています。

・ポシティブな印象
・好意度

一方でIBMの企業のイメージとは「伝統」や「責任感」の方が結びつきが強いことが分かっています。

これらの結果から企業のブランドイメージの好意度の高さの違いがポジティブな感情の喚起によって創造性を高めた可能性が考えられています(56)。

(1)Fitzsimons, G. M., Chartrand, T. L., & Fitzsimons, G. J. (2008). Automatic effects of brand exposure on motivated behavior: How Apple makes you "think different." Journal of Consumer Research, 35(1), 21–35.

(2)Vohs, K. D., Redden, J. P., & Rahinel, R. (2013). Physical order produces healthy choices, generosity, and conventionality, whereas disorder produces creativity. Psychological Science, 24(9), 1860–1867.

(3)Carver, Charles S. and Michael F. Scheier (1998), On the Self- Regulation of Behavior, New York: Cambridge University Press.

(4)Gollwitzer, Peter M. and Gordon B. Moskowitz (1996), Goal Effects on Action and Cognition, New York: Guilford.

(5)Carver, C. S., & Scheier, M. F. (1998). On the self-regulation of behavior. Cambridge University Press

(6)Gollwitzer, P. M., & Moskowitz, G. B. (1996). Goal effects on action and cognition. In E. T. Higgins & A. W. Kruglanski (Eds.), Social psychology: Handbook of basic principles (pp. 361–399). The Guilford Press.

■アップルを創った怪物―もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝/スティーブ・ウォズニアック (著), 井口 耕二 (翻訳)

■スティーブ・ジョブズ I/ウォルター・アイザックソン (著), 井口 耕二 (翻訳)

■スティーブ・ジョブズ Ⅱ/ウォルター・アイザックソン (著), 井口 耕二 (翻訳)

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