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大声で罵倒すると痛みが飛んでいく

罵倒すると痛みが和らぐと言う趣旨の論文を読んだのでメモ(1)。

過去の研究を見てみると,相手を罵るような叫び声を出すことでプラスの効果が得られることが分かっています。具体的な研究例を挙げると以下のようなものがあります。

・罵倒すると握力が強くなる(2
・罵るような叫び声をあげると筋力が上がる(3

このように罵倒を上げることは筋力の増強などパフォーマンスを向上させることができます。

今回紹介する論文は罵倒を上げるには筋力を上げること以外にプラスの効果を持っていることを教えてくれます。

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2009年にキール大学のリチャード・ステファンらが叫ぶことで痛みを我慢できるようになるのではないかについて調べるために実験を行いました。

実験の対象になったのは大学生67名でした。

実験参加者はランダムに2つのグループに分けられ,5℃と25℃(室温)の2つの水が入ったバケツに5分間手を入れてもらいました。その2つのグループに以下のような違いがありました。

<グループ1>
一定のリズムで声をあげる

<グループ2>
何もしない

そして最後に感じた痛みなどに関する質問紙に回答してもらいました。またバケツに手を入れている時には心拍数も測定しています。

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実験の結果,罵倒を言った場合において何もしない場合と比較して感じる痛みの度合いが低かった。また罵倒を上げた場合において何もしない場合と比べて心拍数が高くなった。

そしてこの罵倒を上げることによる痛みの軽減と心拍数の現象の効果は男性よりも女性で顕著だった。

この効果が生じる理由として罵倒を上げることで私たちは脅威に直面していると無意識のうちに認識します。

それにより闘争逃走反応が生じ(4),痛みを感じにくくなっていたのではないかと考えられています(56)。

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(1) Stephens, R., Atkins, J., & Kingston, A. (2009). Swearing as a response to pain. Neuroreport, 20(12), 1056–1060. 

(2)Ikai, M., & Steinhaus, A. H. (1961). Some factors modifying the expression of human strength. Journal of Applied Physiology, 16, 157–163.

(3)Stephens, R., Spierer, D. K., & Katehis, E. (2018). Effect of swearing on strength and power performance. Psychology of Sport and Exercise, 35, 111–117.

(4)Cannon, W. B. (1922). Bodily changes in pain, hunger, fear and rage: An account of recent researches into the function of emotional excitement. D. Appleton.

(5)Rhudy, J. L., & Meagher, M. W. (2003). Negative affect: effects on an evaluative measure of human pain. Pain, 104(3), 617–626.

(6)Rhudy, J. L., & Meagher, M. W. (2000). Fear and anxiety: divergent effects on human pain thresholds. Pain, 84(1), 65–75.

■赤を身につけるとなぜもてるのか?/タルマ ローベル (著), Thalma Lobel (原著), 池村 千秋 (翻訳)

■あなたはあなたが使っている言葉でできている Unfu*k Yourself/ゲイリー・ジョン・ビショップ (著)

■ネガティブな感情が成功を呼ぶ/ロバート・ビスワス=ディーナー (著), トッド・カシュダン (著), 高橋由紀子 (翻訳)

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