農地復興のためにデザインでできること | 田中農場プロジェクト vol.1
こんにちは。デザイナーの川上です!
みなさん、鳥取県八頭町にある「田中農場」を知っていますか?
田中農場は、化学肥料や農薬は極力使用せず、土づくりにこだわり、農産物を栽培している農業法人です。
その田中農場ですが、2023年8月に鳥取を襲った台風によって、農地に甚大な被害を受けました。そこで、農地復興のために、田中農場はクラウドファンディングを開始。ワンパクでは、応援の意味を込めてボランティアで、リターン品のパッケージデザインに携わりました。
今回は、田中農場のご紹介とそのパッケージデザインに携わった際のストーリーについてお話ししようと思います。
田中農場とは
田中農場は、鳥取県八頭町にある山あいで米や野菜を育てる農業法人です。30年以上、化学肥料や農薬も最低限しか使用せず、作物本来の力を活かして育てる農業を続けています。また、完熟堆肥などを用いた土づくりや苗づくりにこだわってきました。
標高の高い地区、姫路高原では田中農場の最高級米である「天空源流こしひかり」を栽培しています。扇ノ山の源流を引き、有機物の循環農法で大地が本来持つ力を最大限に引き出し、化学肥料は一切使用せず栽培された天空源流こしひかりは、大自然の中でたくましく育ち、ふっくらとした甘みが特徴の美味しいお米です。(お米についてはvol.2で後述)
台風により田んぼが崩落
一粒一粒、愛情を込めて作物を育て上げてきた田中農場。
しかし、2023年8月、過去20年で最も大きな被害を出した台風7号が鳥取県に襲来しました。その台風の影響で、天空源流こしひかりを栽培している姫路高原地区の田んぼが崩落したのです。田中農場の田んぼの約1割が崩れ落ち、水路も寸断されて、来年度以降の栽培がとても難しい状態となってしまいました。
そんな過去最大の台風の中でも、天空源流こしひかりは折れずに粘り強く生き抜きました。
農地復興のためクラウドファンディング開始
一刻も早く農地を復興するために、大型台風にも負けなかった天空源流こしひかりを活用し、クラウドファンディンを開始した田中農場。
そんな状況の中、ワンパク代表阿部のご友人で、田中農場のEC支援や販路開拓などを手掛ける株式会社ダブルノットの高林さんから、「田中農場の復興のために力を貸してほしい。」というお話しをいただきました。
そこでワンパクでは、復興のために何か少しでもできることがあればと思い、クラウドファンディングのリターン品「天空源流こしひかりギフトセット」のデザインを担当させてもらうことになりました。
ワンパクのミッションである "一緒に考え、一緒につくる。" を体現するため、このプロジェクトでは、田中農場と同じ目線に立ちながらお米のパッケージデザインに携わりました。
「天空源流こしひかり」パッケージデザイン
デザイン制作をはじめる前に、田中農場の代表である田中さんからお米づくりに対するこだわりや思いについてお話を伺いました。伺ったお話をもとに、まずはデザインの指標となるコアバリューを設定。その後、コンセプトとデザインの方向性検討を行いました。
田中さんや高林さんと意見交換をしながら、最終的にA案の「風土の空に浮かぶ雲」というコンセプトに決定しました。
このコンセプトをもとに、パッケージ表面と裏面のシール、ギフトボックス用の熨斗のデザインを進めました。
パッケージ表面
「天空源流こしひかりギフトセット」には、お米(450g)が3つ入っています。そこで、お米が3つ並ぶ構図を活かし、パッケージのシールでお米ができるまでのストーリーを表現することにしました。左から、春・夏・秋と移りゆく季節と鳥取の八頭町姫路地区の風土を、下部には鳥取の扇ノ山の源流で育つ稲の様子を描いています。
雲は、お米の形をイメージしてふっくらとした形にしています。デザインに合わせて、「ふっくらした、雲のようなお米」というコピーも作成しました。
裏面のシール
裏面のシールでは、情報の読みやすさを一番大事にしています。その中でもお米についてのメッセージは、想いや表現を効果的に伝えることのできる明朝体にすることで、田中さんの想いが支援者のみなさまにより伝わるようにしました。
ギフトボックス用の熨斗
熨斗はギフトボックスが支援者のみなさまの手元に届いた際、一番最初に目に入る場所であるため、田中さんの想いを伝えるメッセージエリアとしました。主役のメッセージを引き立てるため、装飾は控えめにし、メッセージがしっかりと目に留まるように工夫しました。
そして、2023年10月にクラウドファンディングを開始。
約1ヶ月間支援を募った結果、なんとクラウドファンディングは無事達成!!
一刻も早く、農地が復興することを願っています。
最後に
今回のプロジェクトで貢献できたこととして「田中農場と支援してくれる方を繋ぐ架け橋になれたこと」があると思います。今後、地方創生に積極的に取り組みたいワンパクとしても、このプロジェクトに携わることができて、とてもいい機会となりました。
また、プロジェクト推進中に開催された試食会で(vol.2で後述)、田中さんから直接お話を伺ったり、農場で育てたお米を食べる機会もありました。その体験があったからこそ、今回の取り組みにより一層身が入りました。
これからも、この貴重な経験を活かし、田中農場のさらなる発展を応援していきたいと思います。
次回は、デザイナーの村石が「田中農場のお米」について紹介します。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
田中農場のお米やお野菜について
今回実施したクラウドファンディング
株式会社ワンパク
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