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小説

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こちら時空管理局。何らかの影響によりこのアカウント内に小説が発生してしまった。パルス誘導システムを使用して、マガジンに閉じ込めておいた。もし興味があったら見ておいてくれ。以上
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2022年11月の記事一覧

ビリビリビリ

ビリビリビリ

足の爪先から、今まさにそれは登り始めている。あっという間に足首を超えて、ふくらはぎ、膝へとまいろうかというところである。ところがそれは勢いが一気に衰えた。

ふくらはぎを超えるか超えないかほどの位置でとどまると、それは下へ下へと急降下していく。

今はもう、足首を超えてつま先へと収束してしまったようだ。

私のしびれはもう大丈夫かもしれない。

───ところがどっこい、立ち上がると見事に膝から折れ

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大超短編小説|ファッションセンス

大超短編小説|ファッションセンス

 ふと、窓が気になった。
 手のひらでカーテンをどけると、暗闇に顔が浮かんでいる。随分と使い込まれたそれは、まぎれもない私の顔だった。その後ろにはガラスに反射した部屋が見える。時計は午前二時過ぎを指して、秒針が逆に動き続けていた。
 丑三つ時か、なんてことを考えていると死んだはずの母親が壁から現れた。さもそこに入り口があるかのように当たり前に入ってきた母親は、生前お気に入りだったヒョウ柄のセーター

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