見出し画像

作家の街

 音楽をかけてベッドに入って、眠ろうとして眠れず。音楽がよくなかった。といってダメな音楽だというのではなくて、よいがゆえに脳が活性化してしまって寝つけない、そのような意味においてよくなかった。聴いていたのはモーツァルトのピアノ三重奏曲。枕上の状態との合わせ技でひらめくものがあれこれ。
 アイディアというほどのものではないが、浮かぶことはあったな。かつて文士村というものがあったそうで、その一角には作家連中が家を建ててみっちりと暮らしていた、で合ってるのかな、まあそういうことがあったと。そこから連想して、これをひとつ再現できないものかなと。
 どこか安い土地を選ぶ。ただし限界集落とかだと不便なので、もうちょっと賑わいがあるとこ。駅前にバーや居酒屋があるところがいい。そうしてマンションでもアパートでも一戸建てでもいい、賃貸でも分譲でもよい、そこに作家たちを誘致して住んでもらう。隣近所全員作家である。
 それの何がいいのか。会えば挨拶する。お互い暇なら茶か酒に誘ってダベる。締め切りが近い先生は放っておく。月一回の町内会では何か本のこととか印税のこととかを話す。朗読会を開いてもいい。ビブリオバトルもよいでしょう。毎晩飲み歩いていたところで誰も注意しない。裏路地で吐いて、太宰、なぜ死んだのだ、とか変なことを泣きながら叫んでいても、ああ、あの先生また飲んでるなあ、と思うだけ。
 要するに作家のまとまりがその街にあると。同業者組合、ギルドですか、それの地域密着版というか。
 この続きのアイディアがあったような気がするが忘れた。ほれ、画家たちがパリの一画にたむろして議論したり飲んだりしてたでしょう。ああいう感じにちょっと憧れてみただけ。

 さて眠れないのであるが。

この記事が参加している募集

サポートありがとうございます!助かります。