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小説の爪とぎ 9

 いい感じに眠れて目覚められた本日、ノルマをやっておったらもう夕方である。このノルマは小説とは直接には関係しない。というかやらなくてもいい。じゃあノルマじゃないじゃん、となるが、やらないと落ち着かないんですね。たぶん私は何もしないことに耐えられないのだろう。最も何もしないことに近いのが寝ているとき、次いで音楽を聴いているときである。ぼーっとして聴いている。

 何もしない問題というのもなかなか奥深いもんで、デフォルト・モード・ネットワークの発動のためにはぼーっとしていたほうがよろしい。ひらめきが得られる。そしたらそれが小説のためになる。眠れない夜に頭の中でぐるぐる考えごとをしていて、そのうちこれはというアイディアが出ることがある。これなどは何もしないことの効用であろうと思うが。

 貴殿は本をたくさん読んできたといってもらえたのだが、いやなかなかどうして、まだまだ読みたいところだ。読んでない本など積ん読どころの話ではない。ほぼ家具である。倉庫である。これらを全部読むことはかなわぬだろうが、どこにお宝があるかと思うとわくわくすんね。おもしろい本ってあるからね。本のおもしろさに取り憑かれた結果として小説を書いているとこがあるよ。

 ヨーゼフ・マルティン・クラウス、いい音楽ですよ。交響曲のまとまりの何周目かをいまやっておるが、このソツのなさというのか、完成度、構成力、表現力、そうしたものが私をうっとりとさせる。いい本があるようにいい音楽もある。探し回っては買い込んで、ああ後戻りのできぬ沼、残酷な預金通帳。いやまあ楽しいですけど人生。けっこう幸せだろこれ。

 最もうまい酒の飲み方。数ヶ月間我慢してからの一杯をやること。また酒の話をして申しわけないが、あと一ヶ月後のその酒はきっとうまいと思う。ちょっと高いビールをもらっていて、そいつが待っているのだ。美酒に酔おう。このあと勝っても負けてもやりとげたことには変わりない。勝ったときにはまた祝杯をあげるわけだし。じゃあがんばりますか。うまい酒のためというモチベーション。

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