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夢から覚めると其処は 鏡と鏡の間
二枚の鏡あわせの狭間で僕は 
過去と未来の自分から手招きを受けていた
鏡は無限に僕をうつしあうので 
どちらともの鏡の底 
そう、鏡の終着駅に辿り着く事が出来ず
行先の書かれていない一枚の切符を握りしめ 
僕は 終夜の列車に飛び乗った
どこか懐かしい 空気を感じながら…

気がつけば同じ所を走っていた
真っ直ぐに伸びる線路は
答えを導く物だと思い
まぼろしという列車に飛び乗って
何年がたつのだろう

線路には幾つもの分岐点があり
軋む音と共に身体を揺らし
いつか辿り着くであろう何処かの無人駅で
トランク一つ、息を吸えるだけの血液と
瞼を閉じて見続ける事
そして無駄に出来た隙間に
仕方なく衣服を詰め込んで
僕は空気と化す筈だった

軋む音がする、音が…
その軋む音が重なれば重なる程に
僕は、身体を揺らす
だが、線路は永遠に真っ直ぐに伸びており
列車はいつか走ってきた線路を再び走り
音が音を追い越し、影が影を捕まえる
銀輪の球体に住まわせて貰っている以上
線路には幾つもの分岐点が
あるように見えるが
実は一本の映画のフィルムのように
繋がっていて
それは複雑な迷宮列車
うつつという列車なのかもしれない

何処かで聞いた覚えのある
車両アナウンスが聞こえてくる

「魔も無く丑三つ時でございます お降りの方はおられませんので 列車はこのまま通過致します」

車窓から見えるのは真っ赤な花 
懐かしい風が運んでくる あの時間の場所
暗がりの朝 哀しげの 唇を切りし親の縁 
双子の花は摘まれ 廻り続ける赤い風車

誰が頼んで うまれてきたのか 
名無し宛無し戸籍無し 手紙無く
子供を買いに賽の河原まで 
辿り着いたは大宇宙 飛びまわる赤い蟲

ゆらり揺られた赤子のキセルは 
行方知れずの桃源郷 土産無く

月の落ちた村には 生きし風など吹きはせぬ
枯れた彼岸花から 流れ落ちる赤い涙

月の落ちた村には 生きし風など吹きはせぬ
枯れた彼岸花から 流れ落ちる赤い涙

涙を枯らした僕はいつか 
この地に戻ってくるだろう
彼岸花から流れ落ちる赤い涙が種となり 
再び 此処に花が咲き乱れるのだ
その時はまた 温かい手で 包んでください 
花と共に

2003年
聴視激エンターテイメント!3(オムニバス)
※彼岸花/走ルという行為を改めて見直す定義、走レ!の2曲で参加

2017年
怪帰怨源蒐

作詩・作曲/宮悪 戦車

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