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存在しているという概念
自分は無力だ
とか
無力に感じる
とか
良く聞くし
多分これからも聞くし
自分も昔に
口に出したり
内に秘めていたり
身近な人に対して
好きな人に対して
何かしてあげたいけれど出来ない
何かしてあげられたのに出来なかった
無力かもしれない
なんて
当たり前で
無力じゃないなんて
おこがましいとさえ
存在している時点で
いなくなる私たち
存在しているからこそ
もがいている私たち
縋っているのは希望という期待
速度が明らかにゆっくりとなった
この先、詰まりが発生しております
聞き慣れた台詞が
言い慣れた口調で車内に流れる
この時間帯のこの区間
高確率で詰まりが発生する
わかっているのにそれに乗る
わかっているけれど高確率の隙間に縋る
すべてはあっけなく脆く
崩れ落ちたかのように積み重なっている
洗濯機から出したばかりのものたち
面積が大きいものから掬い上げ
澄んだ春の空気の中に
広げていく
着ないからと貰ったズボンを干したとき
取れそうなボタンが揺れた
繋げている糸がほどけて緩くなっている
まだ離れてはいないけれど
確かではない存在
あやふやで
儚い存在
不快な異物となりしもの
歯に固いものがあたり
不穏な鈍い音がした
不快で
口の中では確かな存在感だったそれは
外に出すと
あっけないほどに小さい
無いかもしれないと思ったし
あるかもしれないとも思った
期待は消え
異物だけが残る
出したはずの異物は
口の中で残存となる