66○　1/5 書き下ろし「パン屑の点在する道で」

「パン屑の点在する道で」


どこをどう足掻いても
たちまち迷ってしまう性分故
あのお話の通りに
パン屑を目印として歩いていた
予想はしていたが
様々な理由が食いつくしてしまい
振り返っても
記憶も一緒に置いてきた時分
前に進むしかなかったのだ

過去は暖かい
一度知った人生は
今からなら都合よくダイヤルを回せるから
不都合な汚れは取り除いて
いいとこ取りを狙える
でもそれは
夢幻で終わりの話
闇の道を歩いていく途中で
上等なパンを手に入れることがあるだろう
豊潤で口内に幸せを
後に続く人たちにお裾分けを
そんなことを想像しながら
懐中電灯の光の先に
目を細めている

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黄赤青(きせきせい)