![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/45831810/rectangle_large_type_2_8320b4907170b01234ac4b34c3b41a36.png?width=800)
110○ 2/18 書き下ろし「貯金」
「貯金」
塵も積もれば山となった一つは、僕の意識とは関係なくゼロになる。蓄えていくのは複数無数の選択肢が転がっていて偶然の出会いもある。本日への期待に胸膨らませ空へと飛んでいった体は、勇み足ゆえのトラップにかかり、風船のように割れ落ちた。長い時間をかけて雨に雪に混ざって降りてくる脱け殻を集めて貯める。小さな価値。無様な姿を見ながらも貯める。大きな意味。年中吹き晒しの生傷を抱えながら、貯める。貯めて貯め尽くしたら溢れる手前で放出するのが、自然の成り行きなのかもしれない。
***
黄赤青(きせきせい)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?