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娘の元主治医に陽性転移した話

最初は信頼できなかった

娘が双極性障害で入院した時の病院の主治医。最初はとっつきにくかったし信用もしていなかった。退院してからは外来の10分診療でお決まりの質問。「どうでしたか?」など当たり障りのない会話。次第に薬をもらいに行く目的だけに通院するようになっていました。

娘の躁状態が再発する

最初は二週間に一度だったのがだんだんとおっくうになり感覚が広がり六週間に一度に伸びたころ娘に異変が起きました。突然主治医に敵対心を持ち始めたのです。主治医に対する攻撃的な要望が次々と浮かんできてしきりにスマホに書き込んでいました。ある外来の日ソレを私に読み上げさせて主治医の態度を改めるよう要求したり、主治医に攻撃的な態度を取り始めたのです。

急な出来事に主治医は動揺しているようでした。その後家での様子があまりにもハイテンションで、娘本人が前回の躁状態の時と同じだと自覚し私に主治医に連絡するように言いました。

電話で主治医に「躁状態です。薬の調整が必要です。」と言われました。急遽病院へ行き診察してもらいました。それからは外来ではなく別枠で話を聞いてくれるようになり、だんだんと信頼関係が築けてきました。私も娘のことだけではなく旦那の認知症のこと、家庭のことなどいろいろ相談するようになったのです。

熱心に話を聴いてくれた主治医

主治医はとても熱心に話を聞いてくれました。そうしているうちに私は主治医の前では本来の自分を恐れずにさらけ出せていることに気づいたのです。それはとても心地のよいものでした。それからというもの二週間に一度の娘の診察に同行する時間が唯一の癒しとなっていったのです。

自分のこの気持ちは何なんだろう?恋なのだろうか?いいや違う。白衣を着ている診察しているときの先生が好きなんだ。ネットで調べたら陽性転移という言葉があることを知りました。精神科の主治医に好感を持つことなのだそうです。きっとこれは行き過ぎると依存になってしまうかもしれません。

好きな気持ちが最高潮に達したときの突然の異動

でも家の状態が最悪でストレスだらけだった私はますます先生に依存していきました。そして自分の気持ちが最大限に「すき」で盛り上がっていたときに突然の異動を告げられたのです。

ショックで今まで話していた内容も思い出せないほどでした。ちょうど何かの参考になればと思いボイスレコーダーを持参していたので、診察が終わったあといろいろお話しをさせていただきました。そして先生の許可を得て録音させてもらいました。

やっぱり先生が好き

あれから半年ほど経った今も眠れない夜や不安な時はボイスレコーダーを再生してしまいます。先生の優しい口調が好き。声も好き。本当に聞いているだけで癒される世界に一つだけの私が先生から頂いたプレゼント。

最後の受診のときは泣かないでお別れしようと決めていました。感謝の手紙をしたため、色紙に先生からメッセージも書いてもらいました。先生にはたくさんお世話になりました。もう二度と会うことはないと思うのですが、ずっと感謝の気持ちは持ち続けていきたいです。

好きな気持ちが感謝に変わるとき

現主治医とは半年ほど経ってようやくなじんできた感じです。「二週間前に突然異動を告げるなんて●●先生が悪いね。」なんて明るく言われたのだけれど、前主治医のことをなにか悪く言われたみたいで悲しかったです。

今の先生と娘の相性はあっているみたいで程よい距離感のようです。主治医と患者の距離が近すぎるのも問題だと言われますが、本当に誰も頼りにする人がいなかったあの時の私にとっての時間を支えてくれたのは元主治医なのです。

私にとっての人生の恩人。そして心を許せてたくさん話せた数少ない人。先生は「戦友だね」と私たちの関係を表現してくれたけれど。今ごろ先生はどうしているのだろうか?元気でいるといいのだけれど。

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#子育て #精神科医

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