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【経済】年金と国の借金問題

マネーストックとマネーフロー

ストックは過去からの蓄積を「ある時点」で切り取った数字。○月○日時点における銀行預金の口座残高や住宅ローン残高などのこと。フローは「ある期間中」に増えたり減ったりした数字。毎月の収入と支出、四半期の売上と費用などのこと。GDPは四半期や1年間に生産された付加価値の合計の数字のことなのでマネーフローになる。

マネーストックとは、「日銀を含む金融部門全体が供給する通貨の総量」のこと。具体的には、企業や家計などの経済主体が保有する現金や預金の残高。日本銀行が四半期毎に発表している「資金循環統計」のうち、家計部門の金融資産残高を個人金融資産という。個人金融資産は現金、預金、株式、保険、年金準備金などを合計する。土地、建物などの不動産は含まない。

資金循環統計が確認できるサイト

日本の個人金融資産の大きな特徴は、半分以上を現金、預金が占めていること。保険や年金と合わせると全体の8割を占めている。アメリカと比較すると株や証券の割合が低い。
30代から40代は子供の教育や住宅ローンを組んだりする時期なので、借金の方が多くなる。60代で返済をして、負債がなくなり一気に純資産が多くなる。世帯主の年齢階層別の金融資産額の推移は一般的なライフサイクルを反映した数字になっている。

日本は既に2004年の人口ピークを超え、世界に先駆けて人口減少社会に突入した。人口が減ると、モノを作る人も消費をする人も減るので、国内市場が縮小するということに繋がる。市場が小さくなれば企業同士のシェア競争も激しくなるので、海外市場に進出せざるを得ない。逆に言うと、提供をしているサービスが海外市場にもヒットするか否かが、企業が成長するかどうかに繋がると言える。

年金について

日本は超高齢社会に突入しており、現役世代の国民年金の負担が年々増えている。人口減少に伴い、一人の高齢者(65歳以上)を、一人の現役世代(20歳〜64歳)の人が支えている計算になる。働き手は減って、高齢者は増え、子供の数も減っている。とにかく出生率を上げないことには国民年金の負担は減らないが、人口は1世帯につき最低でも2人以上を産まないと絶対に増えないようになっているので、今の日本の景気だと厳しいのが現状である。

日本の公的年金は大きく3つに分かれる。20歳になると全ての国民に国民年金への加入が義務付けられる。しかし、サラリーマンと公務員の妻は保険料の負担はない。勤務先の会社や自治体が代わりに納めることになっている。一方、サラリーマンになれば厚生年金、公務員になれば共済年金に入ることになる。どの公的年きも、一定の年齢以上になると毎月決まった額の年金が支給される。

引退した高齢者は、収入のフローが途絶えてしまう。だから年金を支給して足りない分の生活費を賄うというのが本来の年金の趣旨だった。ただし、この概念にはマネーストックの考えが抜けている。日本の個人金融資産の大部分は高齢者が持っている。子供の教育や住宅ローンの支払いに手一杯の現役世代はストックを増やす余裕が無い人が多い。フローの面で見れば高齢者は収入が少なくて支えなければいけない存在かもしれないが、ストックの面で見れば、お金がない現役世代がお金持ちの高齢者を支える逆転現象が起きている。
戦前戦中生まれの人たちは、若い時に戦争に行って苦労しており、資産形成の大事な時期に働けない人も多く、年を取ってもたいした資産を持っていなかったし、絶対数も少なかった。なので年金制度は、彼らの苦労に報いるため理にかなっていた。ところが戦後生まれの団塊世代は、高度経済成長の恩恵を十分に浴びて、十分なストックを貯め込んできた。団塊世代を戦前戦中世代と同じような制度で支える意味があるのかは、今でも議論の余地はある。ただし塩漬けになっている預金を吐き出させるために相続税や銀行預金課税などを行うとお金持ちはキャピタルフライトをするかもしれないし、少なからず現役世代にも負担がかかってしまう。

国の借金について

高齢者が増えて、働き手が減っているので、このままでは公的年金は持たない。なので年金を払う金額を増やして、もらえる金額を減らすしかない。さらに支給開始年齢も段階的に引き上げられていっているが、それでも年金制度を維持するためのお金は賄えていない。賄えていない部分は国の税金から補填している。現在、国民年金の国庫負担割合は50%を占めている。正確に言うと税金でも足りていない。今の政府は税収よりも歳出の方が大きいので、足りない部分は国債を発行して賄っている。

日本の国債はほとんど日本人が買っている。その原資が塩漬けになっている個人金融資産だ。資産を預けられた金融機関も日本国債を買っている。つまり日本政府の借金が積み上がっていると言っても、それは日本人が貸しているだけで日本国内をお金がグルグル回っているだけ。だから日本の借金が多くても問題ないという説と、そろそろ国債が大暴落して財政破綻の危機が近づいているではないかという説もある。
ヨーロッパ中を混乱に陥れたギリシャでもは170%だったのに対して、日本は200%を超えている。

国の借金を減らすための手段は2つの種類がある。「増税路線」と「経済成長路線」だ。1番わかりやすい増税は消費税の増加で、他にも煙草税や酒税、法人税や所得税の増加なども経済政策として行われやすい。
経済成長路線は規制緩和で、企業に自由に競争してもらい、儲けた利益を分け前として法人税でもらうと言うのが基本的な発想だ。赤字法人は法人税が免除されるので、経済活動が活発化し、黒字法人が増えれば、それだけ税収が増えると言うことになる。
財政再建と経済成長のどちらを重視するか、政治を見るときのポイントにもなる。

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