理由なんてやめたい


就活時代、腐る程聞かれたこと
「弊社を志望する動機をお願いします」

このために、私は幾通りのエピソードを考えただろうか。


「相手の心に響くエピソードを書かなきゃいけないよ!」なんて指導があって、
ES(エントリーシート)のエピソードは起承転結と自分らしさを盛り込めるために必死だった。
文章を書くことはしんどくなくてESで落ちたことは幸いなかった気がするけど、
面接で、目の前にいる人の心を動かす様な志望動機を話さなきゃいけないなんて苦痛にもほどがあった。
スーツは面接前に近くの駅ビルで着替えて、
面接が終われば、またその近くのビルに戻って私服に着替える。
スーツとヒールはあまりにも息苦しかった。

確かに、相手のことを考えるなら、
理由ってちゃんと話さなきゃいけないのかもしれない。


でも自分なりに考えて話した時に、
「もっとこっちに伝わる様に、どうしてそうなのか詳しく教えてくれない?」と言われたときは、

思わず「これが私の動機で、これ以上求めてくるのはあなたのエゴじゃないのか!!」と叫びたくなったけど、順応にそこから作り話を始めた。



でも、
理由って、心が向くことほど「ない」ものなんじゃないかと思う。
心が向くことほど、他人には理解できない様な「単純」で「しょうもない」ことなんだとも思う。



高校生の頃、私は関西に住んでいるのに、北海道大学を第一志望にした。
ほとんどの人が関西か、あるいは関東の大学を志望する中で、私は「北海道しか行きたくないのじゃ!!!」とムキになるほど北海道ラバーになった。この後、寄生虫の如く机と椅子にしがみついて勉強した結果いぼ痔になるし、でもそんなこともお構い無しで勉強した。

「なんで北海道?」「いきなりどうしたの?」と聞かれたら、
理由は「好きな人が北大目指すと言っていて」
当時の自分にとって、これ以上でも以下でも無く、
この後私は2回も北海道大学のオープンキャンパスに足を運ぶし、北大模試も受けるし、実際に受験しに行くし、結果落ちて落ち込むけど、いまも北海道に毎年旅行に行く。北海道大好き。

もし「なんで北海道が好きなの?」とこれを説明して、と言われ、
「当時好きな人が・・・・」なんて正式の場で書いたり、言ったりしたら、

「なんて軽率な理由で」とか
「しょうもない単純さ・・・」
って思われてしまうだろう。

でもめちゃくちゃ本気だったし、夢中だった。



30歳の大学院生の友達がいて
その人は京都大学の大学院で天気を研究しているのだけど、元々は文系で、大学院から理転までして天気を研究している、もう8年くらい?か

その人に「なんでそんなに長い間天気の研究を?」って聞いたら
「遠距離していた彼女を見送りに空港に行ったとき、当時の彼女が「明日晴れるかな」って聞いてきたときに俺答えられなかった。」
と言っていて。

ちょっといい話っちゃいい話だけど・・・・
それで8年も天気漬けになる人生もすごいな・・・・・(しかもずっと昔にその彼女ともう別れてるわけで・・・)

って正直思った。


でも、彼はそれで食べているし、いまもそれを研究している。



なんか、そんな感じでいいんじゃないかなあって思った。



理由とか、動機とか
そんなに言語化しなきゃいけないのかなぁ


今でも、たまに、「どうしてデザイナーになりたいと思ったの?」とか

たまに聞かれたりするけれど
ちゃんと答えなきゃいけないとき、それらしいもっともなことを考えて言うけれど、
正直未だに自分の中で綺麗な答えはない

ただ、好きなんだし、
それをしている自分がしっくりきて
言われたことやるだけの仕事より、自分でできる「何か」がある方が強いと思ったとか、

言い出せばいろんな紐ずけがあって

誰かの心に響く様な動機なんて多分ないとおもう。



「理由がなくちゃ」

「動機が明確じゃなきゃ」

とか考えちゃうと、その時点で自分を歯止める気がして

でも心がそっちに向いていて
目線や情報もそっちに向かっている自分がいるなら

「なんかもう好き!」とか
「たまらん!」(笑)とか

もうそんな感じでいいじゃないのかなあ。


理由ってなんだ

動機ってなんだ



恋愛も多分同じで、好きな人に対して告白するときに

「貴方様を私の恋人候補にする動機について、私は貴方の〇〇な所にとても感銘を受けたからです。普段であれば通常のところ、Aな人が多いのに対して、貴方は〜〜の様な行動をすることができます。これは今後私の将来にとてもいい影響を与えて・・・・(以下略)」みたいなこと絶対言わないし、


「好きです!」一括で終わりだし、

それ以上真剣に求められることもないと思う。

でも、告白の場合はそれが通用する!


でも社会では、通用しない!

理由なんているのかなあ



そんなことを思う様になって

誰かに「それはなんで?」とか
あんまり聞かなくなった。

でも仮にそんなことを尋ねたとして、
詳しく詳細に「〜なことがあって、そのとき〇〇に感動してさ、〜〜〜を志そうと思ったんだよね。」みたいに事細かに話してくれる人よりも

「好きだから!」
「わからないけど、なんかしたくなった!」

とか、超シンプルに答えてくれる人の方がなんか好き。


もっと言うと、

その理由は?とか求めるよりも、

「それのどこが好きなの?」とか尋ねると
もっと楽しい話になると思う。




理由なんて綺麗に説明できるのは

もっともっと先の様な気がする

それまでは気持ちの向かい側との埋め合わせだ。

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