前(ぜん)

渋谷。

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渋谷。

最近の記事

ぼくは、きみの雛だった。

月が休むことなく夜を照らすように、ぼくはきみのことをずっと肯定していたい。さながら生まれたばかりの雛が最初に見たものを親だと認識するように、ぼくは教室できみを一目見て生涯愛する人だと直感したから。きみが戦争に賛成するなら、ぼくはまず受け入れる。きみが道端のホームレスに唾を吐くようなら、まず話を聞く。きみが誰かを殺したいと切望するなら、その想いを決して否定しない。愛するとは、意思をもって、醜悪さを受け入れることでしょう。

    • 宗教でも自己啓発書でもない、美学のこと

      見えない道を歩く。太陽も草木も薄汚れた看板もコーラの空き缶も見えない。広がるのは真っ白な空間。あるいは深く深く広がる暗闇。僕らの人生そのものだ。昨日から続いている今日がどうなるかなって誰もわかりはしない。なのに「将来の夢に向かって計画を立てろ」と大人は忠告する。それって本当に必要なのか。計画通りに物事は進むのか。計画通りに進んだ人生は楽しいんだろうか。甚だ疑問でしかない。 と思っていたけれど、計画を立てるのも悪くないかもと最近思う。月も星も妖しく誘う娼婦も見えない空間の中で

      • 書くことはもっと自由でいい

        誰に向けた言葉でもいい。カフェで目の前に座ってスマホのオンライン学習に励む女子高生にむけて息抜きの言葉を投げてもいいし、隣に座るメガネ姿の親子に芸術の尊さを述べてもいい。 それは自分に向けた言葉でもいい。フリーライターとしてバリバリ頑張っていた1年前の自分でもいい、高校3年生の時に鬱屈とする受験勉強をしつづけた俺に慰めの言葉をかけてもいい。 とにかく、書きたいという衝動に身を預ければいい。そのときに出てくる言葉を塞がないで、解放して、誰かに届けて、世界の誰かに認めてもらえ

        • 100年後の東京人も感動する作品は?

          ぼくが目指している作品は、人に忘れられない、何十年も心のなかに残るもの。100年後を生きるぼくの孫が20歳になったときに、そっと手にとって、いまの悩みがどうでもよくなるような喜びを秘めているもの。 本や映像をうみだす価値とはなにか。コンテンツは一種のコミュニケーションである。作り手が日常生活や過去の経験において感じた大切なメッセージが、意識的にも、無意識的にも、作品には込められている。それは登場人物のセリフや街の映し方、1シーンの時間、映像のエフェクトにもあらわれる。受け手

        ぼくは、きみの雛だった。

          猟奇的に思う。「天才になりたい」

          天才になりたい。 天才になりたい。 天才になり世界の黄色い歓声を全身で受けとめて、その快感をもとにオナニーしたい。自分だけの女にその精液をたらふく飲ませてやりたい。 100年後も、緑色の皮膚をした未来人にも語り継がれる、そんな作品を地球に残して死にたい。それは天才だからできることだ。 いや、天才だから作品を残せるのか、作品が残ったら天才なのか。 そもそも天才とは? 天才にはなれるのか? そんなの知らない。 知ってたら、その旗の方向にボクも歩くけれども、さっぱり

          猟奇的に思う。「天才になりたい」

          まわり道か、まっすぐな道か。

          順当にいけば正解なのか、遠回りしたら不正解なのか。 舗装された高速道路を進むのか、泥濘んだ険しい山道を進むのか。 ぼくはいま、どちらを歩いているのか。わからないけど、昨日より進んでいる。 #詩

          まわり道か、まっすぐな道か。

          私はしらない

          私はしらない。銀河も、アフリカも、日本も、家族も、親友の性癖も、自分のドス黒さも、きれいな景色も。何もしらない。 #詩

          私はしらない

          生まれかわり

          からだに詩が流れこむ。体内を動きまわる。それは血液のように。 美しい絶望を神があたえないように、醜い希望を彼女は好まない。彼女が歩みをすすめるごとに、世界はガラスのように脆くなる。 迫りくる死は、けっして音をたてない。静かにおとずれ、「悲しいね」と人間はとなえはじめる。 そして、時がたつと、ゆりかごはゆれはじめるのだ。 #詩

          生まれかわり

          朝の海で

          朝の海で波の音をまちつづける彼女。やわらかい風が世界に生む小さい波。 渚にちかづく、泣いている彼女。 悲しいからではない、虚しいからだ。 彼女の白いからだに穴がいくつも生まれて、そこを風がとおりすぎていく。 いつからこんな虚しさを抱えているのだろう。 波でぬれた砂浜をはだしで歩いていく。波にかき消されていく足跡と足音。 世界でいちばん美しい方程式を書くあの数学者でも、答えはわからない。 けれども、彼女がながす朝の涙は、ぼくの心をひどくしめつけた。それはたしかだっ

          「誰もお前のことを見てない」悲しいけれども、希望だ。

          「お前はつまらない人間だ」 いつもそんなことを、周りから、そして自分から、言われているような気がする。いつから自分は「面白いやつでいなくてはいけない」という呪いにかかってしまったんだろうか。なんて、自分を小さい世界に閉じ込めてしまう呪いか。自分の言葉や考えを萎縮させる呪いのことか。苦しいんだ。 *** それはふとしたきっかけだと思う。参加した会社の飲み会で愛想笑いしかできずに終わったとき。自分のエピソードを話している途中に店員がお酒を運んできて、いつしか他の人の話で盛り

          「誰もお前のことを見てない」悲しいけれども、希望だ。

          火星には、Dカップ以上の女子しかいけない

          人類はいつか火星に住むのだという。くわしい話はしらないが、いつか地球は人で溢れかえって、土地がたりなくなってしまうようだ。たりないと人口密度は大きく跳ね上がる。地元のまちが朝の満員電車のようにぎゅうぎゅうするのはゴメンだ。まだ混むだけならマシだ。それが原因で悪口を言いあったり、殴りあったり、銃を持ちだしたりするかもしれない。土地が足りないから、知らない人と、友人と、親戚と殺しあう未来があるのかもしれない。そんな未来を回避するために、火星移住計画というのはあっぱれな発想だ。大胆

          火星には、Dカップ以上の女子しかいけない

          文章は、ぼくを勇者にしてくれる

          恨みつらみを、手加減なしにぶつけられるのが文章だ。 リアルのコミュニケーションとはちがい、文章には制限がおおい。文章が笑いだすこともないし、怒ることも、身振り手振りをすることもない。基本的に、色もトーンも終始一定だ。黒い記号だけで、自分の思いや考えを相手に伝える。言葉だけでは伝わりにくいことも多いだろう。LINEですれ違って恋人同士にならなかった男女がなんと多いことか。誤解のタネを生みやすいのも文章の特徴の1つだ。 しかし時として、文章はリアルのコミュニケーション以上に正

          文章は、ぼくを勇者にしてくれる

          「聖域」をなくす女の子、つくる女の子

          学生時代、好きな文章をかく女の子がいた。その子の趣向や感情がポップに反映された文章で、主観まみれだけど、とても読みやすい文章で。その子自身の明るいキャラと客観的にわかりやすい文章力がうまく両立されていた。文豪のような文章力ではなく、多くのファンを生み出すような、素敵な文章を書いていた。 そして、彼女は新卒で編集プロダクションに入社した。そこでは多くの編プロと同様、多くのライターの文章を削ぎ落としたり付け加えたりして、より良いものに仕上げる編集業、そして自分もライターとして企

          「聖域」をなくす女の子、つくる女の子

          「何者かになりたい」と、なぜこんなにも、激しく思うのか。

          なぜ、「何者かになりたい」と強く願う人が、こんなにも多いのだろうか。例外なく、僕もその思いを、心がちぎれそうになるほどいだく一人だ。おそらく、というか90%以上の確率で、その人は今の自分を「ただの人」だと認識している。他の同僚とくらべても平均的な売り上げしか叩きだせない営業マン、変わった職業には就いたがそれといって現実は変わらない絵師、夢を追いかけるがバイト暮らしから抜け出せないバンドマン。 目の前で取り組んでいることが平均的で、夢への道のりが進んでいるとは思えないとき、あ

          「何者かになりたい」と、なぜこんなにも、激しく思うのか。

          SNSなんてどうでもいいから、俺をみてくれ

          「PV数を稼ぐなら、あの○○(有名ライター)にお願いしましょう」 そういった声が編集者から聞こえてきた。あるカフェでの一幕。おそらくクライアントと次の記事について話をしているんだろう。そしてクライアントは多くの人に見てもらいたい商品やサービスがある。だから多くのPVを獲得できる人を編集者に要請している。そして出てきた答えが、Twitterのフォロワー数がおおい“あの人”なのだ。 もちろん僕には声がかからない。理由はカンタンだ。文章力もまだペーペーだし、Twitterのフォ

          SNSなんてどうでもいいから、俺をみてくれ

          Twitterのフォローを外した人へ。

          あなたは、誰を見返してやりたいですか? 自分をふった高校の初恋の人。 渾身の作品にたいして「お前は才能がない」と吐き捨てた編集者。 Twitterのフォローを外していた友人。 自己紹介をつまらなさそうに聞く飲み会で出会ったブス。 俺のことをつまらないとレッテルづけた人々へ。あなたたちは10年後、後悔することでしょう。表舞台で活躍する俺をみて「あーこの人どっかで見たことある。確かあの時にみたような…ああ、仲良くしておけばよかった。そしたら友達に自慢できたのにな」と。そ

          Twitterのフォローを外した人へ。