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SDG’sな理事会運営を考える(11)

 このシリーズでは、マンション管理組合の「理事会」について、その役割や運営方法について、具体的に考えてきました。

(理事会の役割)
   ① 「総会」で決議された(管理委託契約等の)事業を執行すること
   ② 管理費等の収納状況(滞納状況)を確認すること
   ③ 滞納があった場合は督促する手立てを検討すること
   ④ 総会(=最高意思決定機関)を招集し事業等の実施を提案すること

そして・・・最終テーマは、理事会に寄せられるマンション住民からの苦情や相談を理事会では、どう取り扱うべきか?(それとも)取り扱うべきでないのか?を「音の問題(=騒音苦情)」を題材に考えてきました。

     「SDG’sな理事会運営を考える(1)
     「SDG’sな理事会運営を考える(2)
     「SDG’sな理事会運営を考える(3)
     「SDG’sな理事会運営を考える(4)
     「SDG’sな理事会運営を考える(5)
     「SDG’sな理事会運営を考える(6)
     「SDG’sな理事会運営を考える(7)
     「SDG’sな理事会運営を考える(8)
     「SDG’sな理事会運営を考える(9)
     「SDG’sな理事会運営を考える(10)

 最終テーマでは、理事会が「近隣同士のトラブル」に関して取り得る手段として以下の3つを提示し、前回は②についてお話ししました。

   ① 啓蒙を行なう。
   ② 当事者から話を聴く。
   ③ 当事者同士が話し合う場を設ける。

 ・・・ということで、今回は③のお話をします。

しつこいけれど・・・絶対忘れてはならないこと

 相談のあったマンション住民(今回の場合は・・・相手の住民も含む「当事者全員」)に対し、予め下記の「管理組合(理事会)のスタンス(立ち位置)」をキチンと理解&納得してもらう!ということを・・・絶対に忘れないでください!
  (1)原則、近隣間のトラブルは理事会で取り扱う問題ではない
  (2)同じ屋根の下に住む者同士なので、許される範囲で善処する

 これを理解&納得しておいてもらわないと、両当事者の期待値が高くなり過ぎたり、理事会として精一杯善処したことに対して逆恨みされたり、怒りの矛先が向いたり・・・みたいなことがあるからです。

③「当事者同士が話し合う場を設ける」とは?

 相談者から話を聴いていると・・・一方的な見解に基づいて話が進むことが多いと思います。
 仮に相談者が事実と違う話をしたことで・・・「気持ちが楽になった!」と相談が収まれば良いのですが、「それならば何とか対応して欲しい」と相談者がエスカレートすることもあります。

 「理事会としては(どちらかの立場に立つことになるので・・・)できません!」と断れれば一番良いのですが・・・
 相談者によっては「困っている私を見捨てるの?」みたいなスタンスで介入を強く求めて来られるケースがあります。

 その時に、理事会が行えるギリギリの対応が「当事者同士が話し合う場を設ける」だと思います。
 「理事会」という第三者立会いの下・・・両者が話し合う環境(会場)を提供する、ということです。

こうなった当事者は・・・

 当事者同士では話し合いできないから「理事会」で話をする・・・ということで「理事会」に出向いて話し合う訳なので、当事者双方に問題解決したいという思いはあっても、その関係は良くないと思います。

 どちらかが頑なで「何を言っても話が通じない」というパターンもあれば、双方険悪で一触即発ムード・・・みたいなパターンもあるでしょう。
 いずれにしても・・・建設的な話し合いは難しいケースが多いのではないか?と思います。

話し合いの前に大事なこと

 前回の 「SDG’sな理事会運営を考える(10)」の トピック「相談者の話を聴くときの注意点」でお話したとおり・・・
 話し合いの前に「時間を決めること」が必須です。・・・話し合いがまとまらなくても時間が来たら、「終了!」するためです。

 それは・・・話し合いに付き合う「理事役員のため」という側面もありますが、「当事者双方がクールダウンする」ためにも必要だと思います。
 理事役員さん的には辛いけど・・・「次回の理事会に持ち越し」といったパターンも経験したことがあります。

 当事者的から「1月も待てない!」と言われたら・・・
 この役割は・・・本来、管理組合の仕事じゃないです。だから「これ以上は対応できません」と、はっきり伝えて良いと思います。
 それでも第三者が必要ならば、最終的には弁護士等に依頼するしかないと思います。

話し合い時に理事役員が最も注意すべきこと

 それは、「中立を守る」ということです。当事者の双方から敵にも味方にも思われてはいけません。このスタンスは絶対に守る必要があると思います。それには、何事も「断定しないこと」「否定しないこと」が大事です。

 相談者の中には、被害妄想的?非現実的な話をされる方がおられるかもしれません。(それだけ追い込まれておられる・・・視野が狭くなっておられる・・・ということだと思います)
 そんな場合も「それは無い」とか「あり得ない」等の否定的な発信しないことです。・・・できれば沈黙を守るべきだと思います。

 もし仮にコメントを発信する必要が生じた場合は「色々な意見があります。どれも一理あると思いますが一般的には・・・○○かもしれませんね」みたいに、「あなたの話も否定しません」というスタンスを保持することが大事です。

もう一つ大事なこと

 そして・・・「お二人ともこの問題を解決したいとお考えになって、ここに来られたんですよね!」ということを確認し続けること、これも大事です。

 当事者同士は、相手への不満から・・・相手を攻撃しがちです。攻撃しても自己満足するだけで何の解決にもつながりません。
 「解決するために来たんですよね。解決に向けた話し合いをなさってください」と言い続けるというも大事なポイントだと思います。

ここまですれば解決するのか?

 答えは「NO!」です。
 たぶん、ほとんど解決しないと思います。でも・・・問題が解決しなかったとしても、両当事者に「できる限りのことを理事会にしてもらった」と思ってもらえたら成功だと思います。
 また、話し合いによって・・・解決策が見いだせなくても、双方が同じテーブルで話し合ったことは、問題解決(相互理解?)の一助になることもあると思います。

気を遣いすぎる・・・対応無理!

 そう思われたら、③「当事者同士が話し合う場を設ける」は、見送るという判断もアリだと思います。
 なお標準管理規約には「理事役員は誠実に役を務めななければならない」と書いてありますが、「無理をして務めろ」とは書いてませんし・・・(笑)

 それはともかく・・・
 そのココロは、もともとこうした個々の問題への対応は「マンション管理組合」が担うべき仕事ではないということもありますが、無理をすると思わぬ結果をもたらすリスクもあると思うからです。
 
 「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」という古事もあります。
 この意味は「アクションのやり過ぎは、アクションが足りないのと同じ効果しかない」ということですが・・・
 私は、「やり過ぎたことによって、足りない時より悪い結果になる」ということも充分あり得ると思いっています。(「引き際が大事」みたいな?)

 ですから、仮に相談者から「困っている私を見捨てるの?」と言われたとしても・・・これ以上は対応できないと思ったら時は、「これ以上は対応できません」と、はっきり伝えて良いと思います。

 おっと、今回は3200文字を超えました~(笑)
 ということで・・・今回は、ここで終わります。次回は「番外編」で、理事会の時間管理について考えたいと思います。  (つづく)


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